芝村裕吏氏による2.26事件の背景解説

昭和11年の今日、2月26日に発生したいわゆる2.26事件について解説いただきました。
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芝村裕吏 @siva_yuri

2.26事件の背景ですか。

2011-02-26 10:49:09
芝村裕吏 @siva_yuri

2.26事件というのは、日本の近代史においてあった出来事で、青年将校とそれに指揮された下士官・兵の反乱になります。首都東京に戒厳令が敷かれて、当時の繁華街である銀座や有楽町でも人の姿が見られなくなり、警視庁は制圧されました。要人も相当数殺害されています。

2011-02-26 10:55:50
芝村裕吏 @siva_yuri

時に昭和11年。世界情勢としては軍事的緊張が高まり、いつ日米戦争が起きてもおかしくない時でした。同時に、中国での連続的な戦闘行為が恒常化してもおりました。軍事費は国家予算の三割を越え、予算配分を見るならば、軍にこそ権力が集まって居てもおかしくない状況でした。

2011-02-26 11:01:10
芝村裕吏 @siva_yuri

極度の軍事的緊張は軍事的膨脹を生み、同時に軍事を行う人々の政治力を拡大させます。 その代表が武士階級であり、その繰り返しとも言えるのが、昭和11年の我が日本の軍人達でありました。

2011-02-26 11:04:10
芝村裕吏 @siva_yuri

軍事的緊張では、軍事専門家の話をききたくなるものです。こうしないと敵に勝てないよといわれれば、なるほどそうかと思って従うケースも増えていきます。 我々が国を指揮をしなければ、負ける。と言われて国の主導権を奪われるケースもでます。

2011-02-26 11:07:42
芝村裕吏 @siva_yuri

大切な事は、先ほど述べた極度の軍事緊張が軍事膨脹を呼び、軍事膨脹が軍人の政治力を高める。というメカニズム、そう言う下りです。 政治不安定な国で軍人の経歴があるものが首班に座る事が大きいのは、このメカニズムによるものです。

2011-02-26 11:11:10
芝村裕吏 @siva_yuri

同時に、これは昭和11年の日本の情勢でもありました。今、我々は歴史の授業で2.26は皇道派の青年将校による反乱として学んでいますが、これは当たらずとも遠からずくらいの表層的な話で、再現可能な仕組み(メカニズム)として教えてはいません。

2011-02-26 11:14:02
芝村裕吏 @siva_yuri

表層的な事象をどれだけ学んでも、歴史は役に立ちません。歴史が役立つのは、あるケースで物事がこう動くという、仕組みを知る事にあります。

2011-02-26 11:15:52
芝村裕吏 @siva_yuri

閑話休題。昭和11年に戻りましょう。表層でいけば、皇道派青年将校は昭和維新を名乗って君側の奸を除くとして行動に出ました。意見としては今の日本は間違ってる。政治腐敗をどうにかし、特定層の富の独占をやめ、農村の困窮が収束するべきだというものですね。

2011-02-26 11:21:33
芝村裕吏 @siva_yuri

まあ、日本で維新・革命を名乗る人々の共通の特徴ですが、1.確率や統計を無視して日本は間違ってると言い出す。 2.成功者を叩いて、多数の民衆を味方にしようとする。 3.ここにこういうかわいそうな人がいる と、叫んで味方しないのは人道的な罪と思わせる。 があります。

2011-02-26 11:24:04
芝村裕吏 @siva_yuri

主義主張や右左をおいて、彼らの言う事は非常によく似ています。これは覚えておくべき事だと思います。 現代でもそうです。それに乗って投票した人も、たくさんいるはずです。

2011-02-26 11:26:28
芝村裕吏 @siva_yuri

そんな流れの中、陸軍同士の争いがありましたが、勝ったのは既得権益側でした。まあ、民衆の支持も思ったより全然得られなかった、言うたら時流を読み間違えた。軍事的にできると計算は出来て、じっさいそれで高橋是清は殺せたが、そこで終った(政治的な動きには結びつかなかった)という話です。

2011-02-26 11:30:52
芝村裕吏 @siva_yuri

が、しかし。 大きな視点で言えば、そう言う事件が起きたからと言って、何も変わらなかったのが、国という規模の大きなものです。

2011-02-26 11:35:05
芝村裕吏 @siva_yuri

所詮は軍事緊張を背景にせっせと軍事力を増やし、政治力を得ていた人々の中での話。2.26を不熱心に勉強した人が勝敗を間違えて覚えても(あるいは記憶になくても)、あるいは皇道派のやろうとしてたことをよく知ってても、その後は綺麗に繋がってしまいます。

2011-02-26 11:37:24
芝村裕吏 @siva_yuri

2.26という事件そのものが軍事的緊張の一つで、さらに陸軍を統制するために権力と、投資が必要で、ああ、そうだ、彼らのような潜在反乱分子を大人しくさせるために一つ彼らを納得させるような政策も作っていただけると、と言って、政治力をさらに高めるのを許した点が、問題の本質です。

2011-02-26 11:41:03
芝村裕吏 @siva_yuri

結局、陸軍の台頭を削ぐのに使えなかった点で政治家と国民の敗北、シビリアンコントロールの失敗であり、その後の戦争までの流れを生みます。

2011-02-26 11:44:31
芝村裕吏 @siva_yuri

2.26は君臨すれども統治せずの天皇が、例外的に政治決断を行った(これ以外だと終戦決断以外ない)と、先帝陛下自身がおっしゃってますが、それはあくまで一瞬の決断、一瞬の話。陛下のお心と、反乱を鎮圧するどんな銃弾より優れたものだった点はさておきも、流れは変わりませんでした。

2011-02-26 11:53:30
芝村裕吏 @siva_yuri

当たり前ですが、当時の日本も立憲君主制なのです。 天皇親政を皇道派が叫んでクーデーター起こしても喜んで同調する陛下ではありませんでした。

2011-02-26 11:56:59
芝村裕吏 @siva_yuri

以上、説明終わり。 少しは説明の足しになったかしらん。 何時にもまして難しい事いいやがってという方にはすみません。

2011-02-26 12:00:35