証言（オーラルヒストリー）について。両方の立場から

しゃーくさめさめ（Op.Fubo） @same_desu2

昨日ちょっとだけ触れた証言（オーラルヒストリー）との向き合い方について、少し思うことがあるからつらつら書いてみるぞい。 例によってぼく個人の極めて主観的な話だからなんの役にも立たないと思うけど、まあヒマなら読んでくれると嬉しいよ(´･ω･`)

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とりあえずだ、付き合いの長いフォロワーさんなら知ってると思うけど、ぼくって（元1F原発作業員の人だったりサメの人だったりもするけど）東日本大震災の直後にちょっとだけ話題になった「ARIGATOの人」なわけじゃないですか。redfox2667.blog111.fc2.com/blog-entry-256…

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最近じゃこんな感じで、戦時中に墜落した飛行機を調べるのが趣味で、多少なりとも歴史ってもんに触れながらつぶやいててる「墜落機の人」なわけだけども。 #不忘墜落機群 togetter.com/li/791103 #釜蓋山墜落機 togetter.com/li/973265

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で、ARIGATOの件でありがたくも出版社さんの方から声をかけていただいて本を書く機会を得たり、少しだけ雑誌やテレビの取材を受けたりしたこともある。 言ってみればぼく自身が、証言者の立場に立ったことが何度かあるわけよ。p.tl/0Zc9

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…だからこそ気づいたことがあるんだ。それは、本に自分の体験の全てを書けるわけではないってこと。 そして取材を受けるとき…自分が証言をする時に、聞き手の姿勢っていうのかな、どれだけ事前に調べているかや、何を目的に自分の話を聞きにきたのかが、物凄く簡単に見えちゃうんだってことが。

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「この記者さんは事前によく調べてるなあ」って感じた時には詳しくお話ししたし、反対に「そんなことも知らねえのかよ」「なんだよテメー、こっちが話すのが当然みたいなその態度はよ」って感じたディレクターさんには敢えて話さなかったり、最終的には大激怒して取材拒否したこともある。

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もちろんこれらはあくまでぼくの主観、「ぼくがそう感じた」って話であって、向こうはそんなつもりはなかったのかもしれないし、そうであったと信じたいよ。 だけどやっぱり「ちゃんと調べてきてる」人は凄く姿勢がいいんだ。もうはっきりとわかるほどに。「この人になら話そう」と心から思うほどに。

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そしてぼく自身も、本を執筆する時に自分が被災地で目にしながら敢えて触れなかった部分がある。 せっかく詳細に書いたのに編集さんにページ数の都合でカットされちゃったり、とかもあった。 あと、タイトルもぼくではなく出版社側が決めたものになっちゃったりとかねw

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それでも、やったことなんてない本を書くって話に乗って、曲がりなりにも最後まで書いて世に出したのは、編集さんがいい姿勢だったのと、出来るだけ生の記憶が強くあるうちに書き残しておきたかったからなんだ。なんていうかな、「いましか書けないもの」を残したかったというか。

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時が経てば、もういまのようには書けなくなるんじゃないかって。 実際、もしいま改めてあのARIGATOのことを書くとしたら、あの時書けなかったことを書いたり、逆に削ったりとずいぶん違うものになるだろうね。 少なくとも、同じものには絶対にならない。

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ようするにだ、「聞き手の姿勢によって証言の中身や質は変わるし、手記（ぼくのはそんな立派なもんじゃないけど）も書かれた時期によって変わる」ってことよ。 だからこそ、ぼくは #不忘墜落機群 でも #釜蓋山墜落機 でも、極力「当時を知る地元民に証言を聞きに行く」ってのを避けてきた。

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それは、決して「手記や証言なんかそういう聞き手や時期のブレがあるからあてにならん」って思ってたからじゃない。むしろ逆。 相手に自分がかつて感じたような不快感を抱かせては行けない。相手に「こいつなんにもわかってねーな」と思わたら最後だ。だからその前に、自分でしっかり調べなきゃって。

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「こんなに詳しいならば」「こんなに一生懸命調べているならば」話そう、話してもいい。相手にそう思って貰えるようになるまで、自分で調べようって。 そうやって、不忘墜落機群をひとりで3年半調べてきた。史料を当たり、墜落地点に行ったりしながらコツコツと。そしたら、突然奇跡が起きたんだ。

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今年の春、いつものように墜落地点に這いつくばって細かい遺留品を探していた時、声をかけてくれた登山者がいたんだ。 その方は地元白石在住で、ボランティアとはいえ蔵王山岳救助隊の副隊長だった。そしてぼくなんかよりよほど山に詳しく登山スキルもある方だった。

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そして少しお話してみると、その方は、一年前にこの第1墜落地点にお花と線香を添えていた、まさにその人だったってことがわかったんだ。twitter.com/same_desu2/sta…

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気がついたら、堰を切ったようにこの3年半ずっと調べてきたことや、何度も山に登ってきたこと、いま現在わかっていることをありったけ全部話してた。実際にM69焼夷弾の弾着点とかを案内しながらね。 そしたらその方は、下山後に地元でも特に墜落機群に詳しい方を紹介してくれたんだ。 pic.twitter.com/Nzn16lrZ3Q

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もちろんそこでも、不忘墜落機群についてめちゃくちゃ話した。その結果、ぼくのことを認めてもらえてさ。 夏に開催された慰霊祭に呼んでいただいて、来日された墜落機3番機搭乗員のご遺族に、例の膝の皿をぶち割るのと引き換えにようやく見つけた3番機の破片を、直接手渡すこともできた。 pic.twitter.com/dBU76AncV6

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それと、田舎のコミュニティだからね。「不忘墜落機群を、それもわざわざ墜落地点にまで行って調べてるアホな子がいる」って噂はすでにすっかり広まってて、たくさんの人がぼくに声をかけ、また握手を求めてくれたんだ。 いやー、本当に嬉しかったよ。いま思い返しても涙が出るくらいに…。

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第3墜落地点に到達しまだ残っている遺留品を発見することがどれだけ大変か、ましてや右膝の皿をぶち割ってそこから強行下山することがいかに困難か、誰よりも知っている地元の人たちに認めてもらえたんだ。 おかげでいまは、向こうから情報が集まってくるまでになった。

しゃーくさめさめ（Op.Fubo） @same_desu2

だからね、うまくいえないんだけどさ、いきなり証言を聞きに行く前に、まず証言者の声を聞くに値する聞き手になれるよう一生懸命頑張れば、結果は必ずついてくるし、よりいい結果が得られると思うんだ。 ぼくはアホな子なんで例によって身体を張る系だけも、他のやり方はいっぱいあると思うし。

しゃーくさめさめ（Op.Fubo） @same_desu2

…だからこそ、まだなんだ。まだ釜蓋山墜落機の方はそこまでいけてない。足の故障がなかなか治らなくて、山ん中で無茶をやるにはまだ難しいんだけどね。まだ墜落地点でやらなければならないことがあるんだ。それを済ませてからじゃないと、地元の方に話を聞くわけにはいかないんだ。

しゃーくさめさめ（Op.Fubo） @same_desu2

それとな、誰かの証言に触れる時は、特に戦争や災害に関することであれば、それがどんな内容であれ「証言してくれたことそのもの」に敬意を払い、ちゃんと相手のことを尊重するようにした方がいいと思うんだ。

しゃーくさめさめ（Op.Fubo） @same_desu2

ぼくも本を書いた時や、震災絡みのインタビューを受けた後なんかは、思い出したくもないことを鮮明に思い出したり、語りたくもないことを詳細に語ったりした反動で、いまでも嘔吐したりクソに血が混じったりいろいろカラダに不調がくるんだ。 たぶん、これから先もずっとそうだろうね。

しゃーくさめさめ（Op.Fubo） @same_desu2

証言するってことは、それ自体が証言者を物凄く消耗させることでもあるんだ。 ぼくはまだいいけど、高齢の方には相当な負荷になってしまうかもしれない。 そこは、忘れないで欲しいって思うよ。

しゃーくさめさめ（Op.Fubo） @same_desu2

なんか例によって長々とすまんかった(´･ω･`)