〈パワーポーズ〉の再現性問題について

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Tetsuo Ishikawa @fronori

最近書店で『〈パワーポーズ〉が最高の自分を創る』Amy Cuddy著がよく並んでいる。Ranehill et al. (2015)によれば、ポーズによって主観的なパワーの感覚は確かに強まるが、行動の変容やホルモンレベルが上がるとするCuddyらのオリジナル研究は再現できていない。

2016-08-16 11:37:36
Tetsuo Ishikawa @fronori

Simmons&Simonsohn(in press) papers.ssrn.com/sol3/papers.cf… はp-curveを使いCuddyらの2015年総説を検討し、出版バイアス=有意な結果の選択報告を示唆し、ポワーポーズ効果に疑問符 pic.twitter.com/zqn8qHwpL1

2016-08-16 11:47:30
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Tetsuo Ishikawa @fronori

Ranehillらへの原著者らの反論としては、再現実験では被験者に対してdeceptionを行わなかったために追試できなかった可能性を挙げている。しかし、目的を知らされていない、もしくは「騙されて」いなければポーズの効果が出ないのだとすれば実践で役立たないとの手厳しい批判がある。

2016-08-16 11:56:42
Tetsuo Ishikawa @fronori

また再現実験はオリジナルのプロトコルそのままではなく、被験者と実験者のinteractionなどsocialなcontextを排除したり、ポーズを3分から6分に変更したり、細かな差異によって効果の有無の結果が左右された可能性もある。 bigthink.com/neurobonkers/a…

2016-08-16 12:02:50
Tetsuo Ishikawa @fronori

再現実験の見方に対する、統計学者のGelmanのアドバイスが面白い。 ft.com/cms/s/0/9adf11… 頭の中でこう想定してみよう。もし仮に「再現」実験が先に行われ、オリジナルの実験が後に行われていたなら?先に出版されたことは結論を引き出す上での特権的位置ではない。

2016-08-16 12:11:06
Tetsuo Ishikawa @fronori

ポワーポーズの効果から、実験者の確証バイアス(Confirmation bias)を取り除いたら、実際のところどれくらいの効果が残るのかは今のところよくわからないとしか言いようがない。ただし、self‐deceptiveでもいいので効果が出るはずと信じればプラセボ効果はあるかも?

2016-08-16 12:16:31
切り取り線 @kiri_tori

✄----------- 12/11(日) -----------✄

2016-12-11 00:00:00
そいらて @tw_soylatte

この先生もTEDでブレイク。 「〈パワーポーズ〉が最高の自分を創る」 amazon.co.jp/dp/4152096268/ #心理学の本2016

2016-12-11 04:07:45
Tetsuo Ishikawa @fronori

@tw_ykaji @psypub パワーポーズ提唱と啓蒙は素晴らしいのです(実際よく書けたいい本だと思います)が、主張の根拠となる科学的裏付けについては再現性問題で揺れている懸案(参考連ツイ twitter.com/fronori/status… )であるとの補足が必要ではと感じます。

2016-12-11 15:41:46
Tetsuo Ishikawa @fronori

British Psychological Societyのeditorが選んだ先週(かそこら)の心理学と神経科学に関する記事のリンク10選。たまにチェックしているけれど今回はどの記事も面白い!(毎回のことかも)一番上で紹介の自己制御は将来の自己への共感とかタイトルが優れている。 twitter.com/researchdigest…

2016-12-11 15:55:09
Tetsuo Ishikawa @fronori

パワーポーズについてBPS先週の10選から続報へリンクがあった。 chronicle.com/article/When-B… 主唱者Cuddyがセレブとなって新著を出す一方、論文共著者のひとりCarneyはパワーポーズ効果があると今は信じていないとバークレーの自身のウェブサイトで異例の表明。

2016-12-11 16:09:33
Tetsuo Ishikawa @fronori

パワーポーズ共著者Dana Carneyの今年9月終わりの意思表明は faculty.haas.berkeley.edu/dana_carney/pd… 自分は身体性効果をもう研究しない。他の研究者にも研究しないことを推奨。自分の授業で教えない。メディアでも語らない。再現性疑問論文へリンク貼る。随分と食傷のようだ。

2016-12-11 16:20:08
Tetsuo Ishikawa @fronori

パワーポーズ2010年論文でデータを集めて分析したのはCuddyではなくCarneyとYapで、サンプルサイズが小さく、効果は小さくかろうじてあるかないか、自己報告のパワー感の高まりは仮説に合う返答だけを集めてp-hackingした。唾液は追加報酬2ドル提示後の採取でその効果も!

2016-12-11 16:34:28
Tetsuo Ishikawa @fronori

今年10月のCuddyの反論(NY Magazineにも全文掲載) linkedin.com/pulse/my-overv… まだ効果を信じているとのこと。本人は(認めないだろうがplaceboだとしても)それで実際に社会的に成功した。自己啓発に科学的根拠など言わなければ問題なかったのか。

2016-12-11 16:52:05
Tetsuo Ishikawa @fronori

パワーポーズと視線が最後通牒ゲーム、ギャンブル課題、自己報告のパワー感に与える影響。Garrison et al(2016)SPPS m.spp.sagepub.com/content/7/7/623 ギャンブル課題に影響なし。直視でUGの低額拒否率上がる。パワーポーズで自己報告パワー感むしろ低下。

2016-12-11 17:17:01
Tetsuo Ishikawa @fronori

パワーポーズ再現性問題の一連ツイートを @psypub さんにまとめてもらいました。 togetter.com/li/1058485 再現性問題やRRR、それにまつわる統計の問題に関心がある方は twitter.com/fronori/status… から続いたツイートも合わせてどうぞ。

2016-12-12 23:00:16
Tetsuo Ishikawa @fronori

統計の誤解や濫用、再現性問題を憂慮しp値の6原則を発表したASAのプレスリリース amstat.org/newsroom/press… 原著:Wasserstein&Lazar(2016) amstat.tandfonline.com/doi/abs/10.108… pic.twitter.com/kIylcvg87t

2016-03-08 13:07:27

## ■参考

Shigeru ONO @shig_ono

[読書日記を更新しました] 読了:Wasserstern & Lazar (2016) p値に関するASAの声明について bit.ly/1pzMPXF

2016-03-11 03:22:43
Tetsuo Ishikawa @fronori

統計の誤解や濫用、再現性問題を憂慮しp値の6原則を発表したASAのプレスリリース amstat.org/newsroom/press… 原著:Wasserstein&Lazar(2016) amstat.tandfonline.com/doi/abs/10.108… pic.twitter.com/kIylcvg87t

2016-03-08 13:07:27
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Tetsuo Ishikawa @fronori

それぞれインパクトのあったオリジナル研究で有名人や大御所になった研究者らが、自分のライフワークの再現性問題に遭遇し、自ら取り組み再現性の低さやネガティヴ結果を目の当たりにする心境や想像を絶す。認めたがらなかったり、往生際が悪い場合もある。反証され更新され得る科学の醍醐味でもある。

2016-04-05 20:45:34
Tetsuo Ishikawa @fronori

ASAがp値に関する声明を出すまでに学会組織内で声明文の議論に1年もかかったのは、統計の専門家達ですらp値が何であるかやp値が何をするものか見解が一致しないため。根本問題はp値とは何か本当に言える人がいないこと!PLoS Blogs blogs.plos.org/onscienceblogs…

2016-03-12 03:12:13
Tetsuo Ishikawa @fronori

ASAが提起したp値にまつわる6原則に関して、その心を著者に訊く好企画! retractionwatch.com/2016/03/07/wer… "" "post p < 0.05 era"に込められた意図ついても語られる。Retraction Watchがインタビューを実施して掲載してるのが興味深い。

2016-03-08 18:52:14
Tetsuo Ishikawa @fronori

チョコチップクッキーとラディッシュどちらか我慢すると前者で意志力(制御資源)を消耗。Baumeisterらが自我消耗(Ego Depletion)と20年前に名付け三千回以上引用された一大分野は最新のメタ分析やRRRで再現されず。 slate.com/articles/healt…

2016-04-05 19:54:44
Tetsuo Ishikawa @fronori

オキシトシンの鼻噴投与でヒトの他者への信頼が向上して行動が変化する研究の多くは偽陽性の可能性。 vox.com/2016/4/4/11348… 封筒課題は原著者らの手で再現されず、信頼ゲームの論文の著者ですら効果があっても小さいと言う。作用機序は複雑でまだよく分からないのが現状。

2016-04-05 20:09:10
Tetsuo Ishikawa @fronori

「でも問題はもっと深刻だと思う。p値を再構築したり他の何かと置き換えたりしても解決にならない。目指すべきは、不確実性を受け入れること。変動を抱きしめること。これですよ。」by Gelmanいいこと言うね。multiple 'potential' comparisonsの指摘も鋭い

2016-03-19 16:41:22