『サミュエル・ベケットと批評の遠近法』(未知谷)をめぐって

井上善幸・近藤耕人編著『サミュエル・ベケットと批評の遠近法』(未知谷、2016年) http://www.michitani.com/books/ISBN978-4-89642-513-0.html (目次) ベケット主要作品執筆年代順リスト 続きを読む
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未知谷 @michitani_edit

『サミュエル・ベケットと批評の遠近法』、出来ました! メアリー・ブライデンを偲ぶ会とシンポジウムは11月13日(日)に東京大学駒場キャンパスにて開催されます。詳細はmichitani.tumblr.com/post/152590866… pic.twitter.com/ZIDhOiLhvz

2016-11-11 21:59:25
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Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

ベケット・シンポジウム@東大駒場を聴講。ゲストの赤阪健太郎氏ほか、井上善幸、田尻芳樹、堀真理子、森尚也の4氏による発表はどれもスリリングだった。4氏およびメアリ・ブライデンなど国内外の20の論文を含む新刊のベケット論集『サミュエル・ベケットと批評の遠近法』も会場でお披露目。 pic.twitter.com/0RvHqKCKx3

2016-11-13 22:58:51
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Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

ベケット・シンポジウム@東大駒場で受けた示唆はあまりにも多いので呟ききれないけれど、僅かながら言葉にしておきたい。それぞれメアリ・ブライデンのベケット論を参照しつつ、井上氏は動物性を、田尻氏は音楽を、堀氏は痛みを、森氏は旅を中心的テーマに語った。#BeckettSympo

2016-11-15 22:07:12
Naoya Mori @b4mori1

巻頭のバタイユの『モロイ』論は今読んでも戦慄させられる。『眼球譚』の後書きも心に残るが、この後書きも文学だ。なお、井上善幸氏は、バタイユによるベケットの引用箇所を「編者注」として添えられている。これは原著にはない。 twitter.com/michitani_edit…

2016-11-16 17:26:44
未知谷 @michitani_edit

【新刊】井上善幸・近藤耕人編著『サミュエル・ベケットと批評の遠近法』、今週末より書店に並びます。 「人間の終焉」「テクストよ、語れ」などから構成される、バタイユ、ブライデン、ドゥルーズ&ガタリ、ブランショ、田尻芳樹、岡室美奈子、森尚也ほか気鋭の研究者によるベケット研究最前線です。 pic.twitter.com/dCUgbVKGZ7

2016-11-16 14:51:09
Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

『サミュエル・ベケットと批評の遠近法』が届き、メアリ・ブライデンの論文から読み始めた。カバーを飾るのは、W・B・イェイツの弟でベケットとも親交のあったアイルランドの画家ジャック・B・イェイツの絵。カバーを外した時の佇まいがまたシンプルでいい。紺地に銀の箔押しの装幀。 pic.twitter.com/8TVpvmLqqV

2016-11-24 22:21:20
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Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

ここ数日『サミュエル・ベケットと批評の遠近法』の頁を開くのが楽しくて仕方がない。バタイユ、ブランショ、ブリュノ・クレマンと続く第1章は、編集の妙が感じられる素晴らしい流れ。クレマンは『特性のない作品』の最終章で、奇妙な仕方でベケットを論じたブランショに注目している。#批評の遠近法

2016-11-29 23:37:19
Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

ある作家が論じられる場合、当然ながらその作家の言葉が引用される。他の作家の言葉が引かれる場合は傍証の位置に留まるだろうし、それが論攷の最後に置かれることはまずない。ましてや批評家自身の言葉なら通常は御法度。その禁じ手をやったのが、ベケットを論じたブランショだった。#批評の遠近法

2016-11-29 23:38:06
Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

「かのモーリス・ブランショの語る憂慮、不安、苦悩、期待が、我々の知るところとなっているのも、おそらくブランショがベケット作品のもっともベケット的な読者、時にベケット本人よりもベケット的な読者であったためにほかならない」ブリュノ・クレマン「記憶と回想の修辞学」#批評の遠近法

2016-11-29 23:45:07
Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

アンジェラ・ムアジャーニは、ベケットと精神分析の多面的な関係を照射してくれる。治療を受けたビオン、講演を聞いたユング、ノートにメモしたフロイト、『出生外傷』のランクなどなど。「生まれ損ない」の感覚、不完全な生誕、生と死の境界がない空間としての「墓胎」。 #批評の遠近法

2016-12-04 22:40:17
Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

ムアジャーニはとりわけ、フロイト、クライン、アブラハム&トロークにおける喪とメランコリーの諸形態をベケットのエクリチュールに結びつけている。精神の中に埋葬され、主体内部の流刑地へと追放されながらも生き続ける「失われた者たちの亡霊」。生者の死と表裏一体の死者の生。#批評の遠近法

2016-12-04 22:42:23
大塚紳一郎 @woodcutter0825

何かと精神分析と縁の深いサミュエル・ベケット。お高い論文集ですが、「ベケットと精神分析」というテクストがあるようで気になっています。うずうず。 サミュエル・ベケットと批評の遠近法 岡室 美奈子 amazon.co.jp/dp/4896425138/… @amazonJPより

2016-12-05 09:38:39
Naoya Mori @b4mori1

ベケットは書くことの運動を盲目で無言の穴掘りに喩えている - 「私はモグラ塚のもぐらのようなものだ」そして「書くことは私を沈黙へと導いてきた」。 ーメアリー・ブライデン「気まずい出会いーバロウズ、ベケット、プルースト、(そしてドゥルーズ)」#批評の遠近法 p.139

2016-12-05 15:40:38
Naoya Mori @b4mori1

ベケットが『プルースト』のなかで述べているように、内部から外部への運動はプルーストの「精神の誤った運動」を表している。「唯一の実り豊かな探求は発掘すること、水に浸ること、精神の収縮、下降」であるから。したがって「唯一可能な精神的発展は深さの意味においてである」。 ーブライデン同上

2016-12-05 15:52:31
Naoya Mori @b4mori1

早く頭を袋のなかにはばかりながらそこにはあらゆる時代の私の苦悩がことごとくあるそれでも苦にはならぬ細胞という細胞でどっとあがる馬鹿笑い缶詰はカスタネットのようにカタカタ鳴り身もだえする私の下で泥がごぼごぼ音を立て一息に屁をひり小便を出す。 ーベケット『事の次第』

2016-12-05 17:27:05
Naoya Mori @b4mori1

↓スウィフトやスターンの身体言語のシニカルな笑いとともに、ラブレーのガストロノミックな胃と喉の哄笑がが共鳴している。これはディケンズにはないベケットの黒い笑いであり、ジョイスのセクシュアリティも超えている。 ー近藤耕人「ジョイスの水の言語とベケットの泥の言語」#批評の遠近法

2016-12-05 17:32:24
Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

バロウズはソンタグとギンズバーグと一緒にベケットを訪ねたことがあった。とても興味深い取り合わせだけれど、実際にはぎこちない出会いだったらしい。そのエピソードから書き起こされたメアリ・ブライデン「気まずい出会い」は、バロウズを梃にベケットとプルーストを対比させた論攷。#批評の遠近法

2016-12-05 22:38:50
Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

メアリ・ブライデンが(バロウズを梃に)ベケットとプルーストを対比しながらドゥルーズを参照したのに対し、近藤耕人はジョイスとベケットを対比させつつデリダを参照。私見。ジョイス論じゃなくブランショ論でデリダを参照するとき、ベケットとデリダの関係はもっと濃密になると思う。#批評の遠近法

2016-12-05 22:40:33
Naoya Mori @b4mori1

たとえ決定的な規則を作ってもそこから必ず不規則な偶然性が生まれてくると考えたポアンカレと同様に、ベケットも..普遍的秩序に従い、その枠に収まり切らない<誤差/無秩序>を浮上させた後に、それらを含む新たな秩序の構築を求めてフランス語の執筆に向かって行った ー西村和泉 #批評の遠近法

2016-12-06 15:55:14
Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

アンソニー・ウルマン『ベケットと哲学的イメージ』について呟いたのが4年前だった。その第1章の邦訳が新刊の『サミュエル・ベケットと批評の遠近法』に所収。ベルクソン、パース、ドゥルーズを参照したイメージ論。翻訳希望と呟くと打率5割くらいの確率で実現している気がする…。#批評の遠近法 twitter.com/HAYASHI_twit/s…

2016-12-07 21:31:09
Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

それにしてもアンソニー・ウルマン『Beckett and Poststructuralism』の目次を見ると、フーコー、ベルクソン、スピノザ、レヴィナス、ドゥルーズ=ガタリ、デリダとすごい名前の列挙ですね。『ベケットと哲学的イメージ』という本もあり邦訳紹介されるとうれしいですが。

2012-06-05 18:37:37
Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

『ゴドー』において使われるのは、演劇においてクリシェ化したイメージではなく、他メディアから移植されたイメージだとアンソニー・ウルマン。ベケット演劇におけるイメージにはこの「移植」の意識も孕まされ、その関係とさまざまなコンテクストを想像させる豊かな暗示力を持っている。#批評の遠近法

2016-12-07 21:55:19
Naoya Mori @b4mori1

これほど徹底した生殖の忌避は..存在そのものへの呪詛と深く結びついている。…他方、これは近代小説においてしばしばプロットを展開する駆動力となってきた異性愛=結婚=生殖=家庭という主題系を拒否するという効果を持つ。 ー田尻芳樹「疑似カップルのセクシュアリティ」 #批評の遠近法

2016-12-08 22:09:35
Naoya Mori @b4mori1

ド・マンが翻訳について主張したことー「それらはオリジナルを無効なものとし…オリジナルを殺すのだ」ーが、この場合文字通り生じるのである。ベケットは一種の親殺しを犯しているように見え、「高貴な文体」に終焉をもたらすのである。 ーD.V.ヒュレ「ベケットにおけるダンテ」#批評の遠近法

2016-12-12 16:36:59
Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

『サミュエル・ベケットと批評の遠近法』の読みどころとして特筆できるのは、最新の草稿研究の成果が見られる点。いわばベケットの書斎を垣間見るような刺激。ディルク・ファン・ヒュレ、西村和泉、森尚也、ゴンタースキーの各論(5章)には、随所で唸らされる多くの示唆を受けた。#批評の遠近法

2016-12-12 22:39:33
Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

『初恋』はベケット作品の中でも論及されることが少ないし、最もベケットらしくないタイトルだとも思う。ジョイスが拠り所にしたブルーノではなく、「学識ある無知」のクザーヌスにベケットが寄り添ったとみる森尚也の『初恋』論は、この作品の豊かな読み方を示唆してくれた。#批評の遠近法

2016-12-12 22:42:31