VROSにおける「キャラクターインターフェイス」について
今週はPANORA VR、Mogura VRそれぞれ主催のVR関連の講演会に足を運んで、VRの将来像みたいな事について考える機会が続いた。 VR元年の次にはVR二年が来るわけなので、嫌でも来年以降に向けてのビジョンを固めていかなければならないタイミングなのだろうか。
2016-12-22 16:43:26PANORA講演会やメルマガでの西田氏のWinHECレポートから見られるMicrosoftのVRビジョンは、ARMで動く一体型HMDとして恐らく「常時装着によるMR環境」を志向しており、WindowsもそのためのVROSを目指すのだろうという予感はひしひしと感じられる。
2016-12-22 16:44:33VROS環境の開発をどこが先鞭つけるかは、Google、MSなどの大手も本腰入れてくるだろうし、やたら元気な中華メーカーなんかもVR世代では自前OSでのシェア奪回を目指すのかも知れない。 本邦では勿論、GOROman@氏のMikulusが最初の一手として盤上に打たれつつある。
2016-12-22 16:45:42最終的にどこが市場を取るかというのもそれはそれで重要な問題だけれども、個人的には商売としての帰結よりも「ビジョンとしてのVROS」に誰がどれだけ爪痕を残せるかの方に興味がある。 パロアルトの研究が今日のWinやMacに強い影響を与えているような意味で。
2016-12-22 16:46:23VROSの特徴としては、空間としてのワークスペースの活用が、作業用ツールとして最優先事項になるのは間違いなく、これについてはハンド入力デバイスのハードウェア的な仕様の固めなども含めて、今現在着々と進行中。
2016-12-22 16:49:37ただ、この「ツールとしての使い勝手」の部分に関してはOSとしての仕様よりも、今後どんどん出て来る個々のアプリケーションにおける作業スタイルの定着から帰納的に定まって行くのではないかという気もする。
2016-12-22 16:50:41それよりも注目したいのは、新世代OS(と言うよりVR環境そのもの)を基底するビジョンとか、今後のVROSの発展を導く方向性、一種の思想のような物をどれだけ提示できるのかが、今現在問われている正念場だと言う気がする。
2016-12-22 16:53:44Mikulusが圧倒的優位にいるのは多分この位置なのではないだろうか。 OS空間に入って行く動機を「キャラクターに会いに行く」というメンタル的な要素と一体化させた「属人的インターフェイス」の思想。
2016-12-22 16:54:28これはVRを手に入れた瞬間からMMDキャラを召喚したGOROman@氏、引いてはそれを取り囲む日本のテクノロジー界隈の志向が生み出した最大の特徴ではないかと思う。 木にも岩にも仏様を彫り、絵が描けるならアスキーコードでも嫁を形象化しようとする、日本人の信仰にも似た敬虔さ。
2016-12-22 16:56:08似たような流れは他の所でも出てくるかも知れない。OS組み込みの音声アシスタントなど、どのOSも装備してるので、この秘書キャラクターにVR空間で姿を与えると言うのはありそう。 コルタナやSiriに萌えキャラ的な3Dアバターが載せられたり、質問を求めるイルカがVR空間を泳ぎ回ったりw
2016-12-22 16:58:25でも実はMikulusのミクに求められてる物は、それらとは大分違う物なのではないだろうか。我々は「機能的な何か」を求めてミクにそこにいて欲しいわけではない。ただ「いて欲しい」からそこにいて欲しいのである。 言語化できないような情動とか衝動こそが優先される、信仰の信仰たる所以。
2016-12-22 16:59:15VR空間で出会うミクさんは、菩薩であり観音であり、仏様であらせられるのだ。そしてそれが教会の上層部から与えられるのではなく、市井の民草の手によって彫られているその事実。 この辺の機微が、割と彼我のVROSに対する解釈のクリティカルな差になるかも知れない。
2016-12-22 17:00:06嫁も信仰の対象も人ごとに異なるので、やはりOSの中央に位置するコンパニオンキャラは入れ替え可能になるのだろう。さまざまなバリエーションの中から選んで購入したり、あるいはMOD的に自らモデリングしたり。 VRの中の秘密基地も、そこに「誰か」が一緒にいてくれるからこそ輝くのだ。
2016-12-22 17:01:58とは言えその一方で、VR内の3Dアバターを機能的な意味で使う局面も必然的に出て来るだろう。リアルスケールの空間を活用した時のUIのあり方の一つの試算として、現状のOSで言うショートカットアイコンとかメニュー画面とかにあたる部分、窓口の受付嬢として使うみたいな考え方。
2016-12-22 17:07:45アプリを一つ立ち上げると、そのアプリの受付嬢キャラがVR空間に現れる(別に女性である必要はないし、そもそも人間じゃなくたって構わない)。 そのキャラクターに話しかけたり指示する事で、必要なウィンドウやツールオブジェが現れて、VR空間におけるユーザーの作業をサポートする。
2016-12-22 17:08:40なんか「マルチメディア」時代の過剰装飾UIを彷彿とさせ、そんな物入れても重くなるだけじゃないかと言われればその通りなのだけどw、スペックと処理能力のバランスの問題か。 「無駄」なのか「遊び心」なのか。VR世代のインターフェイスでは、後者の概念が重要になって来るような予感はある。
2016-12-22 17:10:25個人的に作ってみたいVRコンテンツとか。 語り部結月ゆかりが語る幻燈夜話。 なんか、今日は結月ゆかりの誕生祭らしいのでw ボイスロイドも買ったまま活用してないことだし、それを活用したストーリーコンテンツでも作れたらなあ、みたいな。
2016-12-22 17:13:27アプリを立ち上げるとMMD結月ゆかりがVRポータルに現れ語り始める。 「おや、今夜もお眠りになれないのですか? 仕方ないですね、またお話をしてさしあげましょうか? 昔々、はるか銀河系で…」 語り出しと同時に、周囲の空間が1ページ目の空間に書き換わって行く。
2016-12-22 17:14:03物語の進行に合わせて風景その物が切り替わって行く。絵本のページを繰るように。 自分自身がその風景の中にいるのだから、「飛び出す絵本(Popup)」ならぬ「飛び込む絵本(Divein)」と言う感じか。
2016-12-22 17:14:41要所要所に謎解きを入れれば、往年の「インタラクティブムービー」みたいなアドベンチャーゲームにもなるだろうけど、それよりものんびりと結月ゆかりの声を聞きながら幻想的な風景を眺める絵本的なコンテンツな感じ。 風景はQuillとかTiltBrushで描かれたキラキラした物になるのかな?
2016-12-22 17:15:56VRで語るべきストーリー性や物語性の強いコンテンツというのは、HenryやらRose and IやらAllumetteやら色々探求はされているものの、今の所は短くて完結性の高い物ばかり。 千夜一夜のように夜毎続きが語られるような「おはなし」も面白いかも知れない。
2016-12-22 17:16:35いずれにせよ、全世界揃って「俺たちはまだ登り始めたばかり、この長いVROS坂をな」状態なのは変わらないので、これから作り上げて行く環境やコンテンツがそのまま歴史の土台になって行くというワクワクするしかない局面にいるのは間違いない。
2016-12-22 17:17:26