【幻創】冬至祭【まとめ】

※サムネイルふざけてて申し訳ありません※ 夏至と冬至に行われる通称”お焚上”イベントをまとめました
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ふぐ丸 えみ。 @emi_sosk

今年もあと僅かですが皆さんいかがお過ごしでしょうか pic.twitter.com/gyJoW6lyfr

2016-12-19 01:47:42
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王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

「えぇ、雨ですか……今晩は、きっと冷えますね。」

2016-11-21 17:30:26
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

「暖炉に火を入れましょう。そうしましょう。」

2016-11-24 10:09:45
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

「あの森の向こうへ行くのかい。そうしたら、愛する人に伝えておくれ。 綿のシャツを、作るんだよと。ナイフもハサミも使わず、針も糸も使わずに。 海水と砂の合間に畑を耕して、革で麦穂を刈り取るんだ。それを竜のうろこで束ねておくれ。 できなければ彼女は私の恋人。」

2016-11-24 12:42:38
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

「えぇ、ふふふ、パセリにセージ、ローズマリーにタイム、ですね。よくご存知ですね。 今日みたいな天気の荒れた日に、森に行くときのおまじない、でしたよね。」

2016-11-24 12:50:41
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

「どの地域にも、薬草を媒介とする"おまじない"は存在するんですねぇ。興味深いです。」

2016-11-24 12:56:35
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

「我が国の軍事組織ですか。王立軍。別名、王国軍、とも呼ばれますね。衛兵組織と陸海空の軍というように複数に部署が分かれています。 えぇ、あくまで基本的には自衛が目的の軍ですね。 徴兵によって人数を賄っているので、王国の民は、軍を離れていたとしても戦える者は一定数いるんですよ。」

2016-11-26 10:00:29
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

血の気の失せた肌に、頬紅を。 青ざめた唇には、うっすら口紅を。 深緑の襞の多いローブを纏い、宝石の縫いとめられた腰帯を締め。広く開いた長い袖口からは、刺繍が密に施された布地が覗き、金の腕輪と指輪が、中の衣を留める。装飾で重い襟を肩口から垂らし、裾の長い深紅のマントを羽織った。

2016-11-28 12:34:26
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

澄んだ白刃を陣を刻んだ鞘にしまい、剣を腰へ。細い指が、月光を紡いだ銀冠を確かめるようになぞり、静かに頭の上へと乗せる。 身を翻し一歩。踏み出せば、衣擦れと金属が揺れる幽かな音がした。血溜まりのようにマントが足元で渦を巻く。 石牢の間の大鏡。その背だけが沈黙と共に映し出されている。

2016-11-28 12:35:26
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

手にした燭台の灯りが、ゆらめく影を引き伸ばして石壁へ落とす。一歩、また一歩。螺旋階段をゆったりとした足取りで降りていく。 ずるり、と深紅のマントが波打ち、地を這った。蝋燭の芯が燃える音すら聞こえそうな静寂。 絢爛な衣が、闇に照らされて浮かび上がる。その重みは主の身体を締め付けた。

2016-11-30 19:30:52
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

『月の無い冬の夜には、街道を一人歩くことはお勧めしない。』 そう言って出ていった教授。今日はひときわ帰りが遅い。まだなのだろうかなんて思って、机上に散らかった書籍をもとの書架へと戻す。 あの人は、この国は息苦しいと苦々しげに呟くのが癖だった。探しに行こうか迷って、椅子に座り直す。

2016-12-01 02:03:02
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

香ばしい木の実、ドライフルーツ、それらをハーブと共に生地に練り込み、さっくりと焼き上げた。オーブンを開ければ、ふわっと部屋に甘い香りが立ちこめる。大地を覆う雪のように、砂糖をふんだんにまぶし。一切れずつ、少しずつ食べていく。 冬を超えることに感謝を込め、王の威光の再生を祈り願う。

2016-12-01 02:17:45
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

「ご安心ください、我が王よ。」 柔和な笑みをたたえ、平伏する。 「全ては恙無く。えぇ……恙無く。」 @orbit_levin

2016-12-01 11:12:35
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

夜半を過ぎて日も昇る明け方、その人は帰ってきた。 『随分と遅かったのですね』 テーブルに伏せ、眠っていた所から跳ね起きる。 『ああ。途中で車輪が壊れてしまってね。街の門が開くまで、待っていたのだよ。』 安堵に師弟は溜息をついた。 『そうだったのですね。無事で何よりでした。』

2016-12-01 16:05:52
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

結局その子の行方を知るものは、村の人々の中には居なかった。 その後は、服の破れた切れ端が見つかったっていうんで、大型魔物の討伐依頼が出されたりなんかした。 おかしいんだ。 森を"超えて"行かねばならない、って、越えるべきは山脈で、森じゃないだろう? おれはぞっとして口を噤んだ。

2016-12-01 16:15:40
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

「あの方はきっと、私のことは忘れておいででしょうが、私は昔、あの方に師事したことは鮮明に覚えているのです。大きな都市に慣れない私に、とてもよくしてくださりましたから。」

2016-12-01 16:21:15
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

この部屋には窓が無かった。 見上げるばかりに高い天井と、二重の鉄格子、重たげな鉄の扉が、牢獄であることを沈黙のうちに語っていた。 食事は日に三回。気温も湿度もそこそこで、居心地は決して悪くない。 どこかの地下、あるいは洞窟なのだろう。壁は塗り込められて、その確信は無かったのだが。

2016-12-04 03:33:40
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

知らない場所だった。 がたがたとゆれるから、馬車にでもゆられているのかな、って思ったの。 狭くて、暗くて、怖かったから。 声を上げて助けを呼ぼうとしたの。 でも。 しっかりと口はふさがれて。 手も足も自由がきかなくて。 どうしようもなくて悲しくて。 ぼろぼろと涙が止まらなかった。

2016-12-05 17:06:46
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

おれ達の村は、何事も無かったかのように、日常へと戻っていった。わずかに生まれた大人達の間のひずみには、何度も首を竦ませる羽目にはなったのだが。 とはいえ、おれ達にはおれ達の生活があり、居なくなった娘一人に、いつまでもかまけているほど、辺境のこの地は今、余裕があるわけでもなかった。

2016-12-05 17:15:53
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

祭りを前に華やいだ街並みも、深夜を過ぎれば人通りはまばらで。今夜も少し飲みすぎたなと、伸びをしながら千鳥足で月下を行く。からからと車輪の回る音が近づき、違和感を覚え足を止めた。 『こんな時間に?門は空いてないぞ?』 街道から王城の方角へと走り去るそれを見送り、夜風に肩を震わせた。

2016-12-05 17:26:12
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

螺旋階段を降り続け、下まで辿り着く。壁に掘られた紋章を、燭台の灯りを頼りに探り。所々が摩耗している、剣と小麦の十字の意匠。それは金貨に描かれているものと殆ど変わらない。レリーフの剣の柄に"鍵"を押し当て短い呪を唱えれば、更に下層へ続く道が現れた。 限られた者しかこの先は知らない。

2016-12-05 17:40:58
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

地下牢のある棟に、その人が訪れることは、決して無い事ではなかった。ある時は視察に。あるいは、罪人の証言を聴くために。 そしてーー今は、場違いな程に豪奢な衣を纏い。湿った小汚い床の上を、長々とした赤のマントを引きずって。 見張りに立つこの場所で、耳を澄ます。その人の足音は既に遠く。

2016-12-08 01:58:30
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

「目を閉じてしまっては、眩しいまでの光が降り注ごうとも、そこは暗闇なのです。」

2016-12-10 00:26:16
王を立てる国@幻創群像劇 @genso_KD

泣き疲れて眠っていたの。 次に目覚めた場所は、高い天井の部屋だった。 ねぇ、と声を上げてみたけど、返事はなくて。硬そうな格子で閉じ込められたんだって分かった。 部屋の隅に、どうぞと一言添えて、きれいな服が畳んであったから、借りることにしたの。裾がふんわりと広がって綺麗だった。

2016-12-10 16:33:58