ジャーナリスト・烏賀陽氏(@hirougaya)が語る「コスメ・ビューティー業界におけるブログに偽装した広告」

ジャーナリスト・烏賀陽(うがや)氏が最近増えているコスメ・ビューティー業界でのブログの広告媒体としての利用することの問題点をかたったものをまとめました。
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烏賀陽 弘道 @hirougaya

今月号の「NUMERO TOKYO」に書いたこと。広告主からお金を代理店経由でもらって宣伝広告のブログを書くブロガーは今後社会問題化する可能性が高い。

2011-02-28 02:11:40
烏賀陽 弘道 @hirougaya

コスメ、ビューティー、健康、などかつての「女性誌」「ファッション誌」のジャンルにあたる分野にそういったブロガーが集中しているは注意する必要があります。

2011-02-28 02:13:17
烏賀陽 弘道 @hirougaya

仕組みは簡単です。例えばエステXが広告代理店Qに広告宣伝料を払う。代理店はブロガーV子さんにそのうちの何割かを払い、Xを体験してもらい(しない場合も)、体験記(基本的にほめる)を個人ブログに書く。

2011-02-28 02:15:42
烏賀陽 弘道 @hirougaya

素人ブロガーを代理店Qが企画したイベントに集団で招待してホテルに集め、トークやシンポジウムに招待してブログに書いてもらう、などという手法もあります。

2011-02-28 02:18:58
烏賀陽 弘道 @hirougaya

しかし、ここで問題なのは、こうした女性産業ジャンルでブログ注目度の高い「コスメライター」「ビューティージャーナリスト」(いずれも自称)や「医療ジャーナリスト」果ては「ヨガインストラクター」「××研究所所長」「医師」「大学教員」などです。

2011-02-28 02:22:13
烏賀陽 弘道 @hirougaya

また、30〜40歳前後になり、ブログ読者、あるいは広告主の狙う客層に近い年齢層に接近した「元タレント」「女優」「歌手」などもこうした業務を引き受けていることがあります。

2011-02-28 02:26:10
烏賀陽 弘道 @hirougaya

こうしたブログが問題になりえるのは、広告主から金銭をもらって商品を推奨する「広告」であるにもかかわらず、その事実をまったく表示していないことです。

2011-02-28 02:27:15
烏賀陽 弘道 @hirougaya

雑誌なら記事なのか広告であるのかが紛らわしい場合は「広告」であることを表示して読者に「なるほど、これは広告なのだな」「だからほめてあるのだな」「その分は割り引いて考えよう」と判断の材料が提供されます。

2011-02-28 02:28:47
烏賀陽 弘道 @hirougaya

ブログに「このエントリーは代理店Qからの依頼で報酬を得て書きました」と書くことは可能なのですが、そうしているブロガーを見たことがありません。つまり読者が商品購買に至るかどうかを判断する材料(しかもかなり重要度が高い)を知らせないままにしていることになります。

2011-02-28 02:30:43
烏賀陽 弘道 @hirougaya

厄介なのは、一般に「ブログは個人の発信ツールである」と認識されていて、こうした広告主、代理店による「ブログの買い取り」あるいは、言葉を強めれば「ブログに偽装した広告」が混入していることはあまり知られていません。

2011-02-28 02:32:15
烏賀陽 弘道 @hirougaya

これは消費者情報の開示、透明性という点で問題を含んでいます。

2011-02-28 02:32:56
烏賀陽 弘道 @hirougaya

もちろん、雑誌にも広告主がページを買い取って記事をつくってもらう「タイアップページ」というのがあって、それは記事と広告が判然としません。しかし読者は雑誌という媒体の長年の経験で、ある程度は「これは広告だろう」と気づくことが多い。ブログにはその蓄積がない。

2011-02-28 02:34:52
烏賀陽 弘道 @hirougaya

あまり知られていませんが、雑誌には「日本雑誌広告協会」があって、こうした広告表示のルールをつくって公開しています。基本は読者が「これは広告なのだな」と判断できるようにする「透明性」の確保です。http://www.zakko.or.jp/jpn/index.html

2011-02-28 02:38:06
烏賀陽 弘道 @hirougaya

ところがブログにはこうしたルールはまだありません。言葉を悪くしていえば「無法地帯」なのです。

2011-02-28 02:39:39
烏賀陽 弘道 @hirougaya

私のカンにすぎませんが、3〜5年で訴訟が起きるでしょう。「ブログを見て商品を購入したが、意に添わなかった」というパターンです。ブロガー、広告代理店、広告主いずれも被告になる可能性が高い。

2011-02-28 02:41:23
烏賀陽 弘道 @hirougaya

空想ではありません。過去には「雑誌の広告を見てサラ金から金を借りて、過度の取り立てで追いつめられた。条件をきちんと表示しなかった広告のせいだ。出版社は責任を取れ」という訴訟は起きているからです。

2011-02-28 02:42:43
烏賀陽 弘道 @hirougaya

コスメ、ビューティーといったジャンルは、健康被害や代金返還の訴訟が多発する「紛争地帯」であることは意外に知られていません。

2011-02-28 02:43:50
烏賀陽 弘道 @hirougaya

私がこうした訴訟を危惧するのは、ブロガーだけが訴えれられるケースが想定できるからです。代理店や広告主はブロガーを見捨てる可能性が高い。企業価値やブランドの低下を恐れて「訴訟にはかかわらない」という態度を取る選択です。

2011-02-28 02:45:29
烏賀陽 弘道 @hirougaya

私がオリコンから訴えられたとき、同意無くわたしのコメントの掲載を強行したインフォバーン社やサイゾー編集部は、訴訟に参加することはおろか、弁護士料の派遣すら拒否して逃げました。その経験から、似たようなことが起きるだろうと思います。

2011-02-28 02:47:07
烏賀陽 弘道 @hirougaya

そうした「ブログ広告訴訟」が起きた場合(1)ブロガーが痛めつけられてブログの活動が沈滞化する

2011-02-28 02:49:09
烏賀陽 弘道 @hirougaya

(2)読者は「あれは広告だったのか」と驚き、ブログ全体を「うさんくさいもの」と見るようになる といった「隠していた秘密が露見してダメージが拡大する」という危機管理上で最悪のシナリオ。

2011-02-28 02:49:25
烏賀陽 弘道 @hirougaya

(3)訴訟を恐れないような、つまり名声の低下のしようがないような質の低いブロガーの露出増加。

2011-02-28 02:49:58
烏賀陽 弘道 @hirougaya

では、どうすればブロガーは身を守れるのでしょうか。

2011-02-28 02:50:52
烏賀陽 弘道 @hirougaya

いちばん安全なのは、こうした「カネをもらってほめてたり推奨して、その事実を隠す」という「ブログに偽装した広告」をやめることです。

2011-02-28 02:51:52
烏賀陽 弘道 @hirougaya

お金がどうしてもほしい、というブロガーは「このエントリーは広告代理店からの依頼で広告料をもらって書きました」と読者に情報開示をすることでしょう。「広告であることを隠していた」となれば、裁判では不利は免れません。

2011-02-28 02:53:35