狩りの軌跡 創作荘アラカルト感想集

私が所属する文芸同人「創作荘」が発行した掌編アラカルト掲載作品の感想です。感想を述べる事を狩りに見立てています。私自身も投稿していますが、自作品につき割愛しています。
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ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

一日一狩の最初の獲物は浅縹氏.@roika_worksの『夜の散歩道』。 #創作荘

2016-10-24 18:38:29
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

.@roika_works #創作荘 1 猫と夜中の散歩を楽しむ。この行為には、何とも言えないエロスがある。ポルノ雑誌や下ネタの類を云々したいのではない。精神的な官能美についての思索である。  そもそもが、主人公は寝巻きに上着を羽織った格好で外に出ている訳で、 2へ続く

2016-10-24 18:52:21
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

2 .@roika_works #創作荘 更に途中から猫を抱くとあっては、既に記号論の域を出ているだろう。夜の町並みの明かりも然り。事ここに至って、彼女と一緒に町を眺めているのではなく、彼女の姿を否応なしに脳裏に浮かべてしまう。それはまるで、両手で囲った輪の中に 3へ

2016-10-24 18:58:09
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

3 .@roika_works #創作荘 彼女を猫ごと封じたくなるような、発作的な衝動まで覚える。こうした発想から逆算するに、冒頭で出てくる牛乳は媚薬(!)だろう。砂糖を入れて甘くするのも当然だ。そして、忘れてはならない鍵がもう一つある。それは『曲線』だ。 4へ

2016-10-24 19:06:00
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

4 .@roika_works #創作荘 スプーンの曲線。踊り場の曲線。明かりの曲線。そして、眠る猫の曲線。エロスに曲線は必要不可欠であり、それが、本作では惜しげもなく用いられている。媚薬で暖まった心に、フェティッシュなサブリミナルが加わる。これはもう、 5へ

2016-10-24 19:12:02
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

5 .@roika_works #創作荘 がんじがらめではないか。以前から、私は、浅縹氏を魔女だと主張してきたが、やはり間違っていなかった。これは、彼女一流のサバトであろう。夜の明かり一つ一つに呪いがかかり、人々は彼女の官能にひれ伏すであろう。ゆめゆめ、油断はならぬ。以上だ。

2016-10-24 19:16:46
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

『創作荘アンソロジー』……出だしから手強い獲物であった。しかし、良き狩りであった。次の獲物はがしゃどくろ氏.@gashasan0902の『春の夜』か。明日の晩が待ち遠しい。

2016-10-24 19:20:03
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

#創作荘 今夜の獲物はがしゃどくろ氏.@gashasan0902の『春の夜』。では、始めるか。

2016-10-25 19:38:14
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

1 .@gashasan0902 #創作荘 のっけから、これはサバトだろうと判断した。妖怪が夜に行う宴会であるから当然だ。澁澤龍彦の『黒魔術の手帖(河出文庫)』には、『サバト幻景』と言う下りがある。『……キリスト教の支配が確立するとともに、中世に生き残った古代の風習は……』 2へ

2016-10-25 19:48:06
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

2 .@gashasan0902 #創作荘 『……すべて悪魔的とみなされるようになってしまった』(109頁。引用終)と語られている。がしゃどくろはそもそも日本の妖怪だし、あの宴会は静かに日常を楽しむものだろう、と言う指摘が来るのを、私は充分想定している。 3へ

2016-10-25 19:56:07
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

3 .@gashasan0902 #創作荘 そうした指摘への、私の回答はこうだ。即ち、日本の妖怪がサバトを開いていけない理由は無い。そして、静かで平穏な日常なるものは、その逆の状態を押さえ込む力が無いと維持出来ない。がしゃどくろ氏は、意識の底で渦を巻き、葛藤し続ける 4へ

2016-10-25 20:01:18
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

4 .@gashasan0902 #創作荘 エネルギーめいたものを整理する必要があったのではあるまいか。いずれにしても、『何も無い日常』は、過ぎ去ってから初めて『何も無かった』と認定される。ある意味では因果で皮肉な言葉だ。今回のサバトは、がしゃどくろ氏が監修しただけあって、 5へ

2016-10-25 20:08:41
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

5 .@gashasan0902 #創作荘 西洋風の『動』のサバトに対する、差し詰め東洋風の『静』のサバトであると言えよう。以上。

2016-10-25 20:13:38
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

二つ目の獲物、『春の夜』は中々に味わいのある獲物であった。明日は奇屋氏.@rayakumo_wの『一片の奇談』。これまた、見逃せないな……。 #創作荘

2016-10-25 20:18:18
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

1 .@rayakumo_w #創作荘 いたずら好きの可愛らしい妖精がそちこちで跳ね回っているような、実に愉快な作品であった。創作荘を訪ねると言う行為自体が、創作荘に巻き込まれると言う、不測の事態と予定調和が同時に満たされるのがまことに楽しい。同時に、本作は、 2へ

2016-10-26 20:37:32
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

2 .@rayakumo_w #創作荘 デジタルをアナログに実行したとも言える。予想は外れても占いは当たると言う、アンソロジー中屈指の名言は、生まれた時には携帯電話が当たり前に存在した世代でないと生まれそうで生まれない。まさに電子と呪術の結実と言えよう。また、 3へ

2016-10-26 20:42:47
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

3 .@rayakumo_w #創作荘 十字路が丁字路(何と刺激的な言葉のセンスか!)に変わり、マンションの出現を経て十字路に戻るとは、此岸(しがん)と彼岸の往来を彷彿とさせる。そもそも、創作とは、自分が掴み取った言葉を(自分で意味を把握しているかは別として)他者へ 4へ

2016-10-26 20:51:53
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

4 .@rayakumo_w #創作荘 解き放つ行為であろう。その時、言葉は記憶や思考の保護を失って一度死に、作品として復活する。即ち言葉の生死を大胆に象徴した描写に他ならぬ。最後に、ドアをあけてすぐ起こった現象は、創作の妖精達からの贈り物だろう。私は、作者が、 5へ

2016-10-26 20:55:20
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

5 .@rayakumo_w #創作荘 あらを拾い、フライパンで炒ってお菓子にする場面をつい想像する。香りにつられた妖精達が、くすくす笑いながらドアをノックする。時ならぬ茶会の始まりだ。以上。

2016-10-26 20:57:19
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

『一片の奇談』、おおいに仕留めがいのある獲物であった。次は蜜柑戦士氏.@mikannsennsi1の『 或る日の図書館』か。明日の晩が待ち遠しい……。

2016-10-26 21:05:12
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

ちと早いが、狩りの時間。今夜の獲物は蜜柑戦士氏.@mikannsennsi1 の『或る日の図書館』。 #創作荘

2016-10-27 18:36:01
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

1 .@mikannsennsi1 #創作荘 夏場の図書館は、独特の物哀しさがある。学生達が黙々と勉強し、受験に備える印象が……昭和の感覚かも知れないが……記憶に残っている。蝉の鳴き声は、一部分にせよ受験に捧げられる青春への挽歌さながらであった。主人公は、司書として、 2へ

2016-10-27 18:42:13
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

2 .@mikannsennsi1 #創作荘 幾つの青春を看取って来たのだろうか。生真面目な助手と、何故か出入りを許されている猫は、一見怠慢で愚鈍にすら思えるこの司書の、精神の深奥を見抜いているに違いない。即ち、司書殿は単に知識の番人としてだけでなく、静かに活かされ、 3へ

2016-10-27 18:47:17
ぞろ目の八ことマスケッター(旧1d6) @hm1d6

3 .@mikannsennsi1 #創作荘 知識に昇華される事で死んで行く、個々の時間そのものを丁重に弔い続けている、と。 書物を機械的に管理すれば良いだけなら、ロボットにでもやらせれば良いだろう。いや、図書館そのものが不要になっていたかも知れない。ともかく、 4へ

2016-10-27 18:51:38
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