一色登希彦先生(@ishikitokihiko)が考える、漫画雑誌が果たす役割(ちょっと脱線つき)

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一色登希彦 @ishikitokihiko

【漫画雑誌1】あれこれ漫画への感想で盛り上がるTLを尻目に。先刻雑誌(現在の拙作の掲載紙では無い)の編集氏と打合せをしていて、雑誌の意味とか「良い雑誌って?」みたいな話をしていました

2011-03-01 15:52:24
一色登希彦 @ishikitokihiko

【漫画雑誌2】その話は編集氏が現在携わっている雑誌を持ってきてくれて感想を求められたので自分が「うーん、ツルッとしている」「引っ掛かりが少ない気がする」と好き勝手な感想を述べた所から始まった。例えば新人さんの、デビュー作に近い作品が載っていても、何だか目に止まらない。

2011-03-01 15:58:31
一色登希彦 @ishikitokihiko

【漫画雑誌3】新人さんの作品に限らずどの作品も「上手い」んですたぶん。でも「すっげえ上手い」作品や「下手だが何か知らんけどスゴい」作品がない。そうした作品が少ないと、引っ掛かりの無いツルッとしている雑誌になるのではなかろうか?

2011-03-01 16:03:27
一色登希彦 @ishikitokihiko

【漫画雑誌4】雑誌がツルッとなってどうする?何でも良いから引っ掛かる事が雑誌の命なのではないのだろうか? 雑誌を作る人が「上手い」ものを載せようとするから要請された描き手は「上手い」ものを描こうとするのだろうけれどそう簡単に「上手い」ものなど出てこない。「上手いだけ」が蔓延する

2011-03-01 16:09:16
一色登希彦 @ishikitokihiko

【漫画雑誌5】そして雑誌はツルッとなる。あるいは「かなり上手い人」ばかり集めて少しレベルの高いツルッとした案配になる。1番から9番まで4番打者で固めるみたいに。 つまり未成熟の新人がトライ&エラーのために与えられる場も少なくなる。

2011-03-01 16:14:12
西村誠一 @khb02323

「編集者」が「出版社の一社員」(もしくは契約社員)って視点で考えた場合に、「責任を取れない」/「取りたくない」からでは? RT @ishikitokihiko: 【漫画雑誌5】そして雑誌はツルッとなる。あるいは「かなり上手い人」ばかり集めて少しレベルの高いツルッとした案配になる。

2011-03-01 16:33:43
西村誠一 @khb02323

.@ishikitokihiko 似た話で別業界の昔の話ですが、高価なコンピュータ一式を企業が購入する場合に「IBM一色」になった時代がありました。理由は「仮に安かったり性能が良かったとしても、何かちょっとでも問題があったら、担当者に全責任が求められた」からです

2011-03-01 16:33:48
西村誠一 @khb02323

.@ishikitokihiko 逆に、IBMの製品でなら大問題が発生したとしても「IBMで問題が起きるなら仕方ないよね」って上が認めてくれる傾向が強かったので、現場の担当レベルでは、責任が取れる範囲/責任を負わないで済む範囲がIBMしかなかった時代がありました

2011-03-01 16:33:53
西村誠一 @khb02323

.@ishikitokihiko 漫画雑誌で「かなり上手い人ばかり集めて少しレベルの高いツルッとした案配」になるというのも、構図としては似てるんじゃないでしょうか?(特に大手出版社の場合)。その中で、遭えて我を通す様な編集長なり編集者がいるかどうか?なのでは?

2011-03-01 16:33:59
一色登希彦 @ishikitokihiko

【漫画雑誌6】雑誌のツルッとした無難さは「次号もこんな風にツルッとした無難さだよね」という読者さんの予断を呼ぶから、雑誌を楽しみにするわくわくは少しづつ減少する。 漫画雑誌の部数よりも人気の掲載漫画の単行本の部数が上回ってしまうというのはその果ての事象なのでは?

2011-03-01 16:36:38
一色登希彦 @ishikitokihiko

【漫画雑誌7】良い雑誌とは?と考えるに、雑誌の全ページのある割合は未熟な描き手の未熟な漫画あるいは編集者が無担保で(しかし真剣に)冒険出来る場所であるべき。そうすれば先のRTの通り「佳いもの」と「至らぬもの」「広いもの」と「狭いもの」やらの落差が明瞭になる。

2011-03-01 16:45:28
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

@ishikitokihiko 昔あるメーカーの服をプレゼント提供していただいた時、10種類中2種類のデザインがとても酷く、難色を示したら「これはワザとですよ」とたしなめらました。全部良いデザインだと買い手は迷う。だが形や柄で極端な物があると、「これは違う」と考えの軸ができると。

2011-03-01 16:39:28
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

@ishikitokihiko 続)そうやって、2つを犠牲にして残りの8種類を売った方が、全部を良いデザインで揃えるより、けっきょくは売れるのだという経験から出た考えでした。で、その酷い2種類もタデ食う虫も…で、数は少なくとも売れるとも。酷いデザインでも尖っていれば客に届くと。

2011-03-01 16:44:40
一色登希彦 @ishikitokihiko

【漫画雑誌8】未熟な作品や突っ込みを入れたくなる作品が載っている雑誌は、気になる。時として編んでいる編集者のことすらも気になることがある。その一方でトップレベルの作品も載っていればその雑誌はさらに見守りたい雑誌になる。未熟な作品の作者の次回作が忘れない内に掲載されたら目が止まる。

2011-03-01 16:53:27
一色登希彦 @ishikitokihiko

【漫画雑誌9】未成熟の新人はそのようにして雑誌の中に掲載機会を与えられて成長するし、読者さんはそうした新人作家の成長を雑誌を読み続けて見守る事が出来る。 だから漫画雑誌には「何だかわからんものが平気で載っている枠」があるべきだと思う。全ページの半分くらいはあっても良いかと。

2011-03-01 16:58:38
喜多野土竜 ⋈ @mogura2001

この場合必要なのは、柱となる絶対的エースの存在ですね。鈴木みそ先生の『銭(正字体)』で、奥村編集長が細かいところをぶっちゃけていましたが。 RT @ishikitokihiko: 【漫画雑誌9】だから漫画雑誌には「何だかわからんものが平気で載っている枠」があるべきだと思う。

2011-03-01 17:12:56
山口 宗高 @tanukinman

@ishikitokihiko 分野は違いますが、最近のゲームで同じような事を感じます。絵もキレイでシステムも良くできているけれども、心には引っかからない。良くも悪くも心に爪痕が残る、心を動かすものがいい作品だと思う。アニメだって作画のことばかり言う人にも通ずるかもしれません。

2011-03-01 17:31:21
一色登希彦 @ishikitokihiko

@tanukinman ゲームはあまりやらない自分の個人的な好みに過ぎませんが、ゲーセンで最初に「バーチャファイター」が出た時はハマりました。殴られると「痛ぇ!」という感じがありました。それは以後出てきたよりリアルな数々の格闘ゲームよりも。

2011-03-01 17:51:40
赤司 @akashiningen

@ishikitokihiko 俺は漫画雑誌を沢山読む方だと思いますが、好きな雑誌や、以前好きだったのに好きでなくなってきた雑誌について考えるとき、単体の漫画の質より編集部が透けて見える気がしています。編集部のコーディネート術って雑誌の一つの魅力だと思うのです。

2011-03-01 17:33:42
一色登希彦 @ishikitokihiko

【漫画雑誌10】雑誌からの言い分として「収支が…」「そのような冒険をしている余裕が…」ということなのかも知れませんが、「雑誌」の一番の魅力と意義が狭まってしまっているように思います。 良くも悪くも「なんだこりゃ」というものが当たり前に載っていないなら「雑誌」では無く「洗練誌」?

2011-03-01 17:07:53
一色登希彦 @ishikitokihiko

【漫画雑誌11】何でこんなこと書き始めたんだかわからなくなりそうでしたが、そうだ、もとは、ある人気の漫画が「絵が下手」という軸で論評され始めていたことに違和感がありましたです。名のある方がその責任範囲でおっしゃるのだから自由ですが作品名を挙げて「絵が下手」と漫画を評するのは自分は

2011-03-01 17:16:18
一色登希彦 @ishikitokihiko

【漫画雑誌12】とてもイヤです。加えてその論に併せる形で、絵が至らぬから作品として未完成、と受け取れる論が続くのも。話題になった作品の絵を「拙い」「下手」と括るのはあまりに一面的に過ぎる。漫画という表現手法において「あのストーリー・設定」と「あの絵」が不可分である想像力はありたい

2011-03-01 17:23:59
国田勝彦 @kunitakatsuhiko

@ishikitokihiko 絵のみ切り離して言及されるケースが多いのは、一般読者に対して最も分かり易い基準だからという面が大きいと思います。しかも、「形に破綻がない」絵が上手いとされますね。残念なのは、読者に紹介する立場の人でも、そういう認識しかないケースが目につく事です。

2011-03-01 18:05:01
一色登希彦 @ishikitokihiko

【漫画雑誌13】ツイートだから字数限りあるし「誰からも上手いと言われる洗練された絵ではないかも」という俯瞰を踏まえて発した言葉ならそれはまだ良いですが。「絵が下手」前提で「だけどまあ…」と論が進めば「絵が下手」は事実として置かれてしまって、ああ、この違和感が残る。

2011-03-01 17:30:35
一色登希彦 @ishikitokihiko

【漫画雑誌14】「上手い絵」で描かれれば別の傑作か駄作か快作かわかりませんが別の何かになったかも知れませんが、決して今得ているものと同じ評価を得るようには思えない。描き手でなくても想像付くと思うけどあの漫画のあの絵はとても時間かけて「表に現された」絵です。それを「下手」ってのは。

2011-03-01 17:34:40