補助動詞と中学英語

わざと地味なタイトルにしました
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uroak_miku @Uroak_Miku

1)「食べた」や「走った」の「~た」は、「~たり」が語源と言われています。

2017-01-08 06:06:53
uroak_miku @Uroak_Miku

2)「~たり」は「つ」と「あり」の混血という説があります。学校文法では「て+あり」と教わるのですが。

2017-01-08 06:08:57
uroak_miku @Uroak_Miku

3)「~たり」の用法は主に三つ。 ・犬 主に飛びつきたり(完了) ・川 流れたり(存続) ・雲 細くたなびきたり(存在)

2017-01-08 06:12:57
uroak_miku @Uroak_Miku

4)「~たり」が近世になって「~た」になった。いや正しくは ・~た(完了) ・~ている(存続) ・~てある(存在) の三つに分岐した。

2017-01-08 06:22:10
uroak_miku @Uroak_Miku

5)ここから先は想像ですが、「~ておく」「~てみる」「~てしまう」などは、「~ている」「~てある」とはもともと別系統だったと考えます。

2017-01-08 06:23:44
uroak_miku @Uroak_Miku

6)これらの「て」文は「補助動詞」と呼ばれています。中学校の国語で習いませんでしたか。私は中一と中三のときに教わった覚えがあります。最後まで嫌々習いましたが。

2017-01-08 06:26:28
uroak_miku @Uroak_Miku

7)「て」文は、外国人に日本語を教えるときの一大山場です。「私のワイン飲んでしまったの?」と日本人教師が教え子を問い詰めても「はい飲んでしまいました」とけろりと言い返される。その生徒は「~てしまった」を英語の完了形で理解していたため、裏にある非難のニュアンスがわからなかった。

2017-01-08 06:29:28
uroak_miku @Uroak_Miku

8)「~てしまった」の原形といえる「~てしまう」に元々そういうニュアンスがあります。「行ってしまうの?」「うん、こわーいおじさんがいっぱい来たからね」

2017-01-08 06:32:43
uroak_miku @Uroak_Miku

9) ・謎を解いてしまう。(完成) ・行ってしまうの?(抑えきれない感情) ・つい口走ってしまう。(無意識の行動)

2017-01-08 06:38:40
uroak_miku @Uroak_Miku

10)この三つの用法のうち「行ってしまうの?」は、「あなた」が何か抑えきれない感情を吐露しているわけではなくて、このつぶやく話者の側が、何か抑えきれない感情を吐露しています。ここ、大切なので赤ペンで線を引いておいてください。

2017-01-08 06:42:06
uroak_miku @Uroak_Miku

11)「あなた私のワインを飲んでしまったの?」は、この用法の応用編。後で味わうつもりで冷蔵庫に取っておいたのに、あなた断りもなく飲み干してしまったわけ?つまりこの話者の抑えきれない感情の吐露。

2017-01-08 06:45:28
uroak_miku @Uroak_Miku

12)しかし言われたほうは、この非難発言を「謎を解いてしまう」(完成)の用法と解して、「はい飲んでしまいました」と返したのです。

2017-01-08 06:46:36
uroak_miku @Uroak_Miku

13)英語でいう現在完了形によく似ているから、どうしてもそう解釈してしまうのです。

2017-01-08 06:47:09
uroak_miku @Uroak_Miku

14)もし「すみません先生、飲んでしまいました」なら、「うっかり口走る」(無意識の行動)用法の応用、つまり「いけないとわかっていたのだけど、ちょっと口にしたらあまりに美味しかったので止まらなくなってしまった」のニュアンスになって、多少弁明臭いけれど反省のニュアンスはともなう。

2017-01-08 06:49:45
uroak_miku @Uroak_Miku

15)「~てしまう」についてはこれがよく整理して論じられています。http://163.14.136.66:8080/retrieve/563/100SCU05079011-001.pdf 金田一春彦が昭和30年に「ている」分類を行ったのが先駆け。ただ語源の解説がない。

2017-01-08 07:18:30
uroak_miku @Uroak_Miku

16)これも想像ですが「たり」が「た/ている/てある」に分岐していく時代に「てみる」「ておく」「てしまう」などの「て」系補助動詞がそろってったのではないか。

2017-01-08 07:30:58
uroak_miku @Uroak_Miku

17)「夜がふけゆく」が「世がふけていく」のように「て」経由に変容するケースも同じ時代にあったと想像。

2017-01-08 07:31:40
uroak_miku @Uroak_Miku

18)「書き送る」のように「て」を挟むスタイル「書いて送る」にならず熟語的に生き続けるものも。

2017-01-08 07:37:14
uroak_miku @Uroak_Miku

19)おそらく江戸時代の関東話ことばの世界で「て」を使った熟語化の流れがあったのです。

2017-01-08 07:38:31
uroak_miku @Uroak_Miku

20)こういう国語学的な理解があると、英語(に限らずどんな外国語でも)教育にとって見えざる資産として活きてくる。

2017-01-08 07:48:31