【TSF:憑依】氷井町テラー「あたたかいスープ」

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九重七志@憑依特化 @yorishirosama

近ごろめっきり寒いのです……なにかこう、暖かいものが恋しいのですよ。

2016-11-02 02:44:22
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

……暖かいものをネタに憑依ものって行けるのでしょうかね? では試しに、小話「あたたかいスープ」

2016-11-02 02:45:38
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

▼1▼ 「ただいまぁー! あー、寒かったぁ……」 帰宅を済ませ、鞄を置き終えた少女は、 リビングから漂う素敵な匂いを嗅ぎ当てた。

2016-11-02 02:48:49
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「あれ、なんかいい臭いがする? ママー、今日のごはん、なぁにー?」 しかし母の返事はない。 どこかへ出掛けているのだろうか、 そう思い少女はリビングへと足を運ぶ。

2016-11-02 02:49:47
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「わぁ、スープかな? 美味しそう!」 琥珀色のスープの透明度は高く、 中の具材がはっきり見えるほどだ。 薄切りのハム、細かく切られたニンジン、四角いじゃがいもは大きく切られ、存在感を放っている。

2016-11-02 02:50:10
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「これは私の分だよね! いっただっきまーす!」 少女は、何の疑いも躊躇いもなく、机上のスープに手をつける。 匙と皿がぶつかり、チンと軽い音が鳴る。 暖かなスープをふぅ、ふぅと冷まし、直後には汁を啜る音が響く。閉じた口の中では咀嚼音がしていることだろう。

2016-11-02 02:50:35
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「あー、美味しかったぁ! 食べたことない味だけど、何のスープだったんだろ?」 コンソメでもないし、もちろんポタージュでもない。 とても美味しかったが、いったい何のスープだったのだろう? 後で母に聞いてみることにしよう、そう考えて少女は立ち上がった。

2016-11-02 02:52:13
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「ん……? なんか、身体がポカポカしてきたような……」 生姜や芥子の味はしなかったが、別のスパイスか何かが含まれていたのだろうか? 少女はとりあえず、テレビ前のソファに座り込む。

2016-11-02 02:52:54
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「なんかこう、眠くなってきちゃった……ふぁ~ぁ」 少女は突然の眠気に耐えきれず、備え付けのタオルケットを被ることもなくこっくり、こっくりと眠りに落ちた。

2016-11-02 02:53:24
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

しばらく経ち、少女は不意に目を覚ます。 「……ぁ」 部屋を見回す少女、時計を見て時間を確認する少女。 そして最後に、自分の身体の確認を始める少女。 顔を上げる。

2016-11-02 02:54:17
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

少女は紅潮した顔で、満面の笑みを浮かべる。 『やった、できたぞ! これでやっと――』とでも 言うかのような表情で。 「ふ……ふふ……うふふ……」 笑う。

2016-11-02 02:55:23
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「これで君と、ずっと一緒だよ――」 自らを抱き締めるように両手を伸ばすと、 少女は一筋だけ涙を流していた。

2016-11-02 02:56:29
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

あたたかいスープになりたい。 チーズ蒸しパンになりたい人のように。

2016-11-02 03:01:19