安藤馨『統治と功利』読書メモ集

安藤馨『統治と功利――功利主義リベラリズムの擁護』(勁草書房、2007)の読書メモをまとめました。
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荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

安藤馨さんがベンタムベンタム書いてるけど、これってベンサムのことなのか? 専門家集団ではベンタムで読むのが通なんだろうか(ということで遂にあの伝説の『統治と功利』を読み始めました)。

2017-01-09 11:56:06
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

なるほど。 twitter.com/ISayNothingTru…

2017-01-09 12:09:17
$noi @simpliciter11

@arishima_takeo ベンサム自身はベンタムと呼んでいたそうです(『功利と直観』という本に書いてありました)

2017-01-09 12:07:32
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

消防隊員が消火活動に当たるとき、明らかにより多くの人命救助が可能な状況でそれをうち捨てて自分の家族の救命に向かうことは統治功利主義によって(もしくは不偏性要請自体によって)禁じられる。たとえ家族の焼死がその消防隊員の人生を破滅させるとしても、である。by安藤馨『統治と功利』

2017-01-09 13:52:57
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「最も注意すべき点は、統治功利主義は統治者が直接功利主義を採用する余地を擁護しようとしているのだから、統治功利主義は統治者の遵法責務を認めない、ということである。必要とあらば、統治者は功利主義的観点から法を逸脱するべきなのである」(安藤馨)。シュミットっぽい話だな。

2017-01-09 13:55:15
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

パノプティコンは「監視」のテクノロジーであり統治の技法であった。そして、統治者を統治するのは被治者なのである。by安藤馨『統治と功利』185p

2017-01-09 14:38:38
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

統治功利主義は内在的には人格にまったく意義を認めないけれども、人格には統治の基点として功利主義的に大きな意義がある。by安藤馨『統治と功利』241p

2017-01-09 14:47:58
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「統治制度こそが諸意識の幸福をもたらす統治のためにのみ道具的に「人格」を創り出すのだということをあからさまに正面から主張する統治功利主義に於いてこそ、制作され損ねた「人格」や予期形成に失敗した「主体」を排除することなく考慮対象に含めることができる」(安藤馨)。なんか重要そう。

2017-01-09 14:49:21
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

我々は「人格」を統治功利主義の目標達成上の純然たる手段と見る。その目標は感性的主体としての諸意識の利益の衝突を最も望ましい形で解決することである。「人格」は人間であることとは原理的に無関係である。我々の目的は後者であって前者ではない。by安藤馨『統治と功利』242p

2017-01-09 14:50:35
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

我々が未だ生まれぬ将来世代に予期を抱くか、そして更にそこに愛着=共感を抱くかは基本的に偶然的な事情であって、「自愛の原理」のような特定の愛着パタンの保持を統治功利主義が必然的に命じることはない。by安藤馨『統治と功利』250p

2017-01-09 14:52:21
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

監視によって得た情報を統治者が秘密裏に自己利益のために使うことができないような構造さえ用意されるならば監視それ自体はなんら問題ではない。by安藤馨『統治と功利』276p

2017-01-09 15:04:42
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

家族を統治単位とした時代から個人を統治単位とする時代へと移行した後に、ついには各刹那ごとの意識主体の切片を統治単位とする時代が来ることそれ自体には何らの不思議もなかろう。by安藤馨『統治と功利』277p

2017-01-09 15:07:30
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「統治功利主義は、我々を「人格」の桎梏から解放せしめるものとして目下の統治技術の発展を基本的に称揚し、濫用を防止しつつその正しい(=幸福を最大化する)使用を確保せしめるような統治アーキテクチャが如何に可能かを問おうとするのである」(安藤馨『統治と功利』)。目指せ、幸せな全体主義!

2017-01-09 15:18:13
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

@arishima_takeo 「人格亡きあとのリベラリズム」ってすごい「分人民主主義」(鈴木健)っぽいな。

2017-01-09 15:21:45
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

メモ。統治功利主義がスゲーのは、①自由や自律を基礎的な価値に採用しないのに依然リベラリズムたりうる点、②「人格」という個人の単位を「桎梏」と読み換えて人格的一貫性に縛られないより細かな統治=配慮を可能にさせる点。

2017-01-09 15:27:11
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「カント主義者には申し訳ないが人格の観念それ自体は道徳と必然的な関係など有してはいない」(安藤馨『統治と功利』78p)。申し訳ない!!

2017-01-09 15:39:26
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「我々は同様に「人格」という擬制的実体を、それを構成する個々の刹那的意識主体へと還元し、それを暴露・解体(し、またこれを功利主義的に優れた形へと再構成)することを目指すのである。〔中略〕人格を瞬間的な快苦経験の主体の集合と見なす見解はベンタム本人によって採られていた」(安藤馨)。

2017-01-09 17:11:16
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「ある意識主体に対し、その意識主体が「人格」であり、「責任」を有する、と称してサンクションを科すことそれ自体がまさにサンクションに対する予期の形成を通じて「人格」それ自体を作り出すのである」(安藤馨『統治と功利』237p)。難しいけど、なんとなく分かる。

2017-01-09 17:19:12
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

@arishima_takeo 統治功利主義下の社会でも「人格」が維持されうる。それは「人格」が功利主義的に使えるから。予期と愛着は「人格」とは「似ても似つかないパタンを原理的には採りうる」。

2017-01-09 17:24:57