FTPL(物価水準の財政理論)に関する一連のツイート

浜田御大経由でシムズ先生のFTPLが喧伝された模様なので、便乗してみました。それよりちょっと前のツイートも。
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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

d.hatena.ne.jp/himaginary/201… FTPLは横断性条件に基づき、政府債務が横断性条件を破ればたちまちインフレが起きることになっている。でもこれは間違い。 政府債務が長らく横断性条件を破っていても日本がインフレになってない。 @pannacottaso_v2

2016-03-29 10:21:54
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

FTPLに従うと、横断性条件をすでに長らくぶち破っている政府債務と異次元緩和のもとではいつインフレになってもおかしくないはずなので、FTPLに妥当性があるとは思えない。インフレ予測の役には立たないだろう。確かレン-ルイスもそう言っていた。 @hongokucho

2016-04-14 09:29:27
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

無理やりFTPLで考えるなら、マネーサプライも広義の政府負債と扱い、加えて、金利を実測の(実質)金利ではなく、もっと違う取り方をすれば良いのではないかと考えている。 政府債務増加率に比してマネーサプライ増加率はかなり低いし、金利もGDPギャップを考慮すべき。 @ikasanma

2016-06-10 09:58:49
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

>自己RT 浜田宏一大先生がシムズの名前を出したことで、経済クラスタでFTPLの関心が高まっている?ようなので、過去のFTPLについての私のツイートを掘り起こしてみた。

2017-01-04 10:33:56
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

私はFTPLの批判者だが、「FTPLは中央銀行が完全に無能であることを示すから、おかしい」という以下のような批判は、FTPLへの誤解に基づいた筋の悪い代物なので、これを逆批判しつつFTPLを再論してみる。 twitter.com/yasudayasu_t/s…

2017-01-10 10:58:00
yasudayasu @yasudayasu_t

それらを除くと、FTPLの立場からすれば、ゼロ金利とか関係なく常時中銀は政府純負債を動かせず物価に何ら影響力を持てなくなる。でも、中銀が政策金利を自由に動かせていた時代でも物価に影響を持てなかったってのは、さすがに現実説明力が乏しいように思う。

2017-01-10 10:09:55
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

まず、FTPLを論じる前に整理しておくべきことがある。国債はどのように弁済されるだろうか。その方法は二種類ある。 一つは、徴税による相殺。 もう一つは、国家貨幣(政府負債の別形態)の追加による弁済。 どちらが志向されるかによって、経済への影響力は変わってくる。

2017-01-10 11:00:35
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

FTPLなどの経済学モデルでは、実は国債と国家貨幣を厳密に区別していない場合が多い。 以前論じたハイパーインフレモデルtogetter.com/li/1031258も、財政赤字を同額の通貨発行として扱うモデルであり、こうした簡便化は応用上問題がありそうだが、それはともかく。

2017-01-10 11:05:39
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

国債は、基本的には、将来時点で国家貨幣に変換されることを約束に発行される債券であり、その面だけを取れば、政府負債(国債)を政府負債(国家貨幣)で弁済するものに過ぎない。だが、もちろん、国債と国家貨幣は、決済能において大きな差があるし、それが故に国債は運用資産として意味を持つ。

2017-01-10 11:09:21
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

国債の市中への純放出は、その分だけ市中の国家貨幣を回収するものになる。 国債の単純増加は、その分だけ国家貨幣の一時的な回収に関する債権者の追加同意を要請する。そこでは、(貨幣を手放すことにそれ自体への報酬であるところの)国債金利には上昇圧力がかかる。この上昇圧力の解消経路は2つ。

2017-01-10 11:19:43
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

一つは、そのまま国債金利の上昇を受け入れること。もう一つは、国家貨幣を追加することで、国家貨幣の希少度を下げること。 ということで、シンプルな経済モデルでは、債務追加は、金利上昇か貨幣減価(=インフレ)のいずれかで解消されるということになる。

2017-01-10 12:15:25
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

実務的には、こうした金利上昇と貨幣減価の選択を、中央銀行が一部担うことができる。 例えば、国債発行に対して利上げで応じたら、クラウディングアウトによって総需要の拡大を防げる。利上げしない場合は、財政赤字応分の総需要拡大を受け入れることが出来るだろう。

2017-01-10 12:18:50
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

もちろん、財政赤字自体が指数関数的に増加する場合は、どれだけ利上げしたって追い付かない可能性があるだろう。特に、国債金利の引き上げが、すぐさま応分の国債発行額増加で転嫁されるようであれば、財政赤字は加速度的に膨らんでいくから、所謂ハイパーインフレに繋がり得るかもしれない。

2017-01-10 12:21:26
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

そうしたケースを除き、中央銀行は、財政赤字を、応分の国家貨幣発行(によるインフレ)か、金利上昇(によるクラウディングアウト)かで選択する力を持っているのである。 この構造が、ポリシーミックスとヘリコプターマネーの厳密な違いameblo.jp/nakedcds/entry…を説明する。

2017-01-10 12:24:42
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

FTPLで、上記のような「中央銀行の裏切り」が問題にならないのは、そもそも中央銀行と財政が合算されているからである。 FTPLが問題なのは、その計算根拠である横断生条件(政府債務の無限遠での無価値化)が推定する金利あるいはインフレ率の予測力が著しく悪いということである。

2017-01-10 12:28:45
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

政府債務増加率に対し、金利あるいはインフレ率が低すぎることに対する説明は以下の通り。 ①長期的には「財政再建」が成功すると予想されている。言い換えると、長期的に見た政府債務増加率はもっと小さくなると予想されているから、金利もインフレ率も小さいのだ。 ②FTPLが何かおかしい。

2017-01-10 12:32:32
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

またぞろFTPLの議論が沸騰してきたようなので、togetter.com/li/1069154で取り上げたことを再論すると、FTPLに則るなら、これだけ財政赤字を加速度的に肥大している現時点において、既にインフレか(実質)金利高騰のどちらかが起きてないとおかしいわけです。

2017-02-02 07:59:46
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

FTPLが示すようなインフレや金利高騰が全く起きてないし、起きる気配もないのだから、FTPLを財政出動の論拠にすることはできない。 むしろ『FTPLが予想するインフレはかなり高いから、一刻も早く財政再建しなくてはならない!』という話になりかねない。というか確実にそうなる。

2017-02-02 08:01:39
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

FTPLが予想するような高インフレが起きない理由としては、『政府がいずれ財政再建を成功させると予想されている(リカーディアン)』というものがあるが、この20年の間に、その確信を破壊するようなことしか起きていない(だから財政学者達は破綻説を喧伝してきた)ので、信憑性に欠ける仮説。

2017-02-02 08:04:34
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

政府の財政再建への期待が極めて弱く、かつ財政赤字が増加しているのに、それに応じたインフレ(FTPLの予想するインフレ)が起きないということは、FTPLの設定や想定(通貨の定義とか、横断性条件とか)が何かしらおかしいということを示唆している。

2017-02-02 08:07:37
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

政府債務激増において横断性条件(債務現在価値のゼロへの収束)が満たされるには、『金利上昇』と『インフレ(による実質債務の減少)』のどちらかが実現する必要がある。 後者のメカニズムからインフレを予想するのがFTPLですね。 twitter.com/uncorrelated/s…

2017-02-02 14:06:46
uncorrelated @uncorrelated

政府が硬貨を大量発行してしのいでいると解釈を勝手に与えているものの、こう言ってしまうと素朴な貨幣数量説に戻ってしまうので何か違うかも知れない。

2017-02-02 13:29:27
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

まさにその通りで、FTPLで考えると、消費増税を延期するような(財政再建を著しく疑わせる)政策によって、高インフレが起きてしまうわけだ。 消費増税延期でも高インフレは訪れなかったという自然実験を確認したところ、FTPLは現実に妥当していないと結論付けざるを得ないだろう。 twitter.com/tokiwa_soken/s…

2017-02-02 14:12:10
ときわ総合サービス研究所 @tokiwa_soken

「FTPLでハイパーインフレが起きる」とゆってる人は「異次元緩和で節度のない金融緩和をやるとハイパーインフレが起きる」「消費増税を延期すると国際暴落が起きる」とゆってた人とだいたい同じw

2017-02-02 12:57:01
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

横断性条件が予想する収束が、金利上昇によってもたらされるか、インフレによってもたらされるかは、国債金利の上昇がそのまま反映されるか、国家貨幣追加によってインフレで解消されるかによって決まることになる。尤も、そのどちらも起こりそうにない。 @uncorrelated

2017-02-02 14:26:34
ときわ総合サービス研究所 @tokiwa_soken

消費増税の延期がなされても、その分は将来の増税で上乗せして払うことになるというように家計が認識すれば、FTPLが想定するような需要増⇒物価上昇というメカニズムが働かないので物価は動かないことになります。これは消費が停滞している現状とも整合的です。 @motidukinoyoru

2017-02-02 15:43:26
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

ある政府が予定していた消費増税を延期したとき、人々は『いやしかし、いつかは必ずや財政再建を達成してくれるはずだ』と期待するか、『これはもう財政再建する気がないということだろう』と予想するか、によって効果は変わることになる。 @tokiwa_soken

2017-02-02 16:13:42
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

各種エコノミストの反応にせよ、破綻本が飽きもせず売れまくるような国民の一般的な思潮にせよ、今の政府には財政再建を成功させる意欲も能力もないだろうと予想されていることを伺わせるものである。 私自身ですら、日本政府が財政再建を達成するとは思っていない。 @tokiwa_soken

2017-02-02 16:16:16