西洋音楽史でのグィードの功績について

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玉木宏樹 @tamakihiroki

グィードは「ドレミ唱法の創始者」として有名な割に、人物像は正確には分からないのですが、グィード・ダレッツォといわれ、「アレッツォのグィード」という意味です。そもそもそんな人物はいなかったという極端な説もあり、そういう意味ではギリシャのピタゴラスとも似た伝説的な人といえましょう。

2016-12-02 15:36:59
玉木宏樹 @tamakihiroki

当時15音階だった音階を20にひろげ今日のC-dur、F-dur、G-durの、後世の機能和声の萌芽となる音階構成を創った功績はめざましく、おそらく彼の時代に錚々たる音楽学者たちが集まって新体制を確立し、その大将として「グィード」の名前を推し出したのではないだろうかと思われます。

2016-12-05 14:41:47
玉木宏樹 @tamakihiroki

数ある音階の謎の中でも最大のものは、グィードのヘクサコルドです。ヘクサコルドというのはギリシャ語で6音音階のことですが、グィードの時代よりずっと以前から、グレゴリオ旋法は7音でしたから、なぜわざわざ退行して1音減らしたのでしょうか。

2016-12-09 15:51:51
玉木宏樹 @tamakihiroki

グィードの「ドレミ唱法」では、絶対的な「ド」は「C」であったんでしょうか。また、各音の高さを決める為に「ドレミ」と名付けたのでしょうか。結論を言うと、それは、結果的に各音の高さのようになっただけである。

2016-12-14 14:27:22
玉木宏樹 @tamakihiroki

グィードの意図としては、当時受け入れられた「ドレミファソラ」の、全音と半音の差を確実に身に付ける為のソルフェージュだったからなんです。

2016-12-14 14:27:39
玉木宏樹 @tamakihiroki

「ドレミファソラ」のドレミの2つの全音と「ファソラ」の2つの全音をつなぐ「ミ」と「ファ」の間が半音であることを徹底し、これによってどんな高さの「ド」から始まっても、「ミ」と「ファ」は半音であることを広めました。

2016-12-14 14:27:52
玉木宏樹 @tamakihiroki

グィード・ダレッツオは1025年頃の「ミクロログス(小論)」の中で全音階について述べているので、実在の人物であることは確かですが、生涯なり、人となりは全く分かっていません。しかし、一応グィードが改革したといわれている音楽理論は、明らかにその後のヨーロッパ音楽の根幹となっております

2016-12-16 14:06:55
玉木宏樹 @tamakihiroki

古代ギリシャからグレゴリアン教会旋法の流れの中で、グィードの改革がなければ西洋音楽は全く違う形になっていたかも知れない、ですから、「グィード」という名のもとでの改革は大変な功績なのです。ところが、我が国だけでなく、音楽史の中でもグィードはけっこう軽んじられているような気がします。

2016-12-16 14:07:12
玉木宏樹 @tamakihiroki

譜線はグィード以前からネウマ譜のようなものがあったようですが、統一されたものはなく、音楽を勉強するには、基本的に音の高さはいろんな名称で呼ばれ、ギリシャのプラトンの頃は音符の数は1620を下らなかった。これではとても覚えきれないし、音楽を勉強するのは大変に困難なことだったようです

2016-12-19 13:28:02
玉木宏樹 @tamakihiroki

グィードは10段譜表を使って、線上と線間に配置した記号が高音を示す、という画期的な方法を編み出したのです。今でこそ5線譜というものが当たり前に存在しているので、これが画期的とは思えないかも知れませんが、それ以前、そしてヨーロッパ以外で音の高さを譜線表記した例はないはずです。

2016-12-19 13:28:16
玉木宏樹 @tamakihiroki

発掘された古代ギリシャの楽譜は文字譜、中国では漢字、日本では独特の文字譜です。ギリシャの完全音階における最高音はネテ、最低音はヒュパテという名前がつけられ、実際の最低音はプロスランバノメノスの音が追加されました。それをグィードは10段譜を使った表記で物の見事に解決したのです。

2016-12-19 13:28:39
玉木宏樹 @tamakihiroki

グィード以前には、音名唱ということはなかったようです。ですから、ドレミ唱法の確立は、はじめて音の高さだけを声にするソルフェージュを産んだのです。ちょっと強引ですが、このことが後の器楽音楽を生み、絶対音楽の観念を育んだとも言えるでしょう。

2016-12-21 15:45:03
玉木宏樹 @tamakihiroki

グィードのドレミ唱法は「ドレミファソラ」の6つで「シ」はありません。これを作ったのが1020年頃ですが、トマス・モーリでもまだ「シ」は登場していません。「シ」が登場するヘプタコルド式になった資料はジャン・ルソーの1678年刊の「歌唱教則本」にガム・パル・シの音階図が登場しています

2016-12-26 11:50:16