法曹家・高嶌先生による「一般公衆の被曝限度の規制」

つぶやきをまとめさせて頂きました、問題ございましたら対応させて頂きますので、お手数ですがご連絡頂けますようお願い申し上げます。
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TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

最近、一般公衆の被曝限度の規制はわが国では設けられていない、との言説がtwitter上で繰り返し主張されています。

2017-01-15 18:41:04
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

この点は過去にもツイートした記憶があるのですが、原子力規制委員会の発足に伴い法令が一部改正されていますし、原発事故関連の集団訴訟とも関連しますので(とりわけ自主避難の客観的合理性を基礎づける事情として)、以下で改めて一般公衆の被曝限度を定める規制の有無につき確認しましょう。

2017-01-15 18:42:42
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

なお、私は法律の専門家ですが、放射線管理に関連する法令については必ずしも詳しくありませんので、誤解に基づく叙述があるかもしれません。ご質問があれば、ご遠慮なくメンションして頂ければ幸いです。

2017-01-15 18:43:51
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

最初に、関連する現行法令のしくみを確認しましょう。  法律(国会が制定する法)のレベルでは、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」があります。

2017-01-15 18:44:28
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

同法の目的は、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用が平和の目的に限られることを確保する…災害を防止…核燃料物質を防護、公共の安全を図るため…必要な規制を行う…もつて国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資すること」にあります。

2017-01-15 18:47:05
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

また、同法に基づき、詳細な定義や規制を定める政令として、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令」が制定されています。

2017-01-15 18:47:44
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」及び「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令」の条文は次の通りです。 → law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S…law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S…

2017-01-15 18:48:03
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

次に、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の規定に基づき、政令たる「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」が制定されています。 → law.e-gov.go.jp/htmldata/S53/S…

2017-01-15 18:48:48
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

この規則の第二条第二項第六号では、「周辺監視区域」という用語が定義されています。その文言は次の通りです。

2017-01-15 18:50:32
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

「『周辺監視区域』とは、管理区域の周辺の区域であって、当該区域の外側のいかなる場所においてもその場所における線量が原子力規制委員会の定める線量限度を超えるおそれのないものをいう。」

2017-01-15 18:50:52
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

この定義から分かるように、周辺監視区域とは、一般人の立ち入りが制限される管理区域の周辺に設定される区域であり、周辺監視区域の外側のすべての場所では、「原子力規制委員会の定める線量限度」を超えるおそれがないことが前提にされています。

2017-01-15 18:51:11
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

では、「原子力規制委員会の定める線量限度」はどこに規定されているのでしょうか。「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」の中には見当たりません。

2017-01-15 18:52:04
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

これについては、別途、「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示」が存在し、その三条において線量限度が定められています。その文言は次の通りです。

2017-01-15 18:52:33
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(実用炉規則第二条第二項第六号等の線量限度) 第三条 実用炉規則第二条第二項第六号…の原子力規制委員会の定める線量限度は、次のとおりとする。 一 実効線量については、一年間(四月一日を始期とする一年間をいう。以下同じ。)につき一ミリシーベルト

2017-01-15 18:54:27
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

この告示については、法令データ提供システムでは現物が見られませんので、原子力規制委員会が平成28年に作成した資料へのリンクを張っておきます。以下の資料の2頁に上記告示の抜粋が掲載されています。 →nsr.go.jp/data/000144249…

2017-01-15 18:56:03
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

一般公衆の線量限度に関連する法令はこのほかにも存在しますが、あまり複雑にならないように、とりあえずこれらにとどめておきましょう。

2017-01-15 18:57:07
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

なお、第185回国会で、一般公衆の被曝線量限度の規制に関する質問がなされ、これに対して政府は次のように答弁しています。一般公衆の被曝線量限度の規制が存在しないとの言明はこの答弁を根拠にしているようですので、これも見ておきましょう。

2017-01-15 18:57:29
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

「一般公衆の被ばく線量限度の規制は設けられていない…国際放射線防護委員会…の勧告等を参考に、核原料物質、核燃料物質 及び原子炉の規制に関する法律…等において、内部被ばく及び外部被ばくを考慮して、原子炉施設の周辺監視区域外等における線量限度を年間一ミリシーベルトと規定している」

2017-01-15 18:58:55
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

次に検討に移りましょう。ここで検討すべきは、以下の3点だと思われます。

2017-01-15 19:00:04
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(1)上記の告示三条は法令か(市民や国、地方自治体に対する法的拘束力を有するルールか)。 (2)告示三条が法令だとして、上記の政府答弁が示す法解釈はどのような意味を持つか。 (3)自主避難の客観的合理性を基礎づける上で上記告示三条はどのような意味を持つと考えられるか。

2017-01-15 19:04:31
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(1)について  まず、上記告示三条が、たんなる内部規則やガイドラインではなく、市民や国、地方自治体に対する法的拘束力を持つルールである(いわゆる「法令」の一部である)ことは明白です。

2017-01-15 19:05:09
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

「告示」にはいくつか性質の異なるものが混在しており、単なるお知らせである場合も存在します。ネット上には、このことを根拠として、上記告示も法令ではないとする見解があったように思いますが、これは明確な間違いです。

2017-01-15 19:05:55
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

というのは、法令が自ら定めるべき事項を規定せず告示にこれを委任している場合には、告示は、法令の援権によって具体的な事項を定めているわけですから、その援権の範囲内で、当然に行政や市民を拘束する効力を持つことになります。

2017-01-15 19:06:47
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

上記の政府答弁も、「法律…等において、内部被ばく及び外部被ばくを考慮して、原子炉施設の周辺監視区域外等における線量限度を年間一ミリシーベルトと規定している」と述べていますので、上記告示三条が法的効力を持つことを当然の前提としています。

2017-01-15 19:07:10
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