【追記あり】最近目にする「DR値」って何だ?〜ハイレゾはスピーカーで聴いた方が楽しめるというお話〜
ハイレゾ時代になってからにわかに聞くようになったDR(ダイナミックレンジ)値という言葉。ざっくり言えば一曲中の音量の平均値と最大値の差を表す用語です。値が小さいと全ての楽器音が前に出るぺとっとした音像になり、値が大きいと楽器音ごとに差が出来て立体的な音像になります。 pic.twitter.com/ILWST2IZZF
2017-01-15 21:39:40ではDR値が大きいとどんな感じに響くのか?簡単に例をあげると... ・ピアノトリオの楽器の位置が分かり、共鳴する「間」を感じられる ・弦楽器が静かに鳴るなか、突如トランペットが音の場をぶわっと埋め尽くす ・エレクトロニカで電子音が縦横無尽に移動する様が聴き取れる etc...
2017-01-15 21:48:19ハイレゾの良いところは、音の大小を収める器が24ビットと、CDの16ビットより大きいため、余裕をもって音が入れられる点です。16ビットでもそこそこ入るのですが、昔のデジタル録音だと小さい音は薄っぺらーくなってしまうのが欠点でした。なので今の録音現場では24ビットが主流です。
2017-01-15 21:55:35そしてここがポイントなのですが、音の立体感というのはヘッドホンで聴くよりもスピーカーで聴いた方が断然分かりがいいです。 当たり前ですよね、耳のそばで聴くのとスピーカーの前で聴くのとでは「音の鳴る位置」が違うのですから。ところが、ハイレゾ商法の殆どがヘッドホン重視になっている。
2017-01-15 22:02:34何故かといえば答えは簡単。そっちの方が手軽に売れるから。iPodなどで音楽を持ち運ぶ文化に慣れきっている人々にとって、ヘッドホンの方がなじみがいいのです。勿論、ヘッドホンにも「ディテールが聴き取りやすい」という長所はあります。ただ、立体感という点ではスピーカーに劣る。
2017-01-15 22:06:50なので、よく聴かれることの多いポップスのマスタリングは、うるさい外でもヘッドホンで細部が聴き取りやすいよう、DR値が小さめになってることが多いです。ハイレゾ宣伝でも「ディテールが壊れない」「アーティストの鳴らしたい音」なんて表現が多く、立体感に言及されるのはごくわずか。
2017-01-15 22:10:11自分はDR値がちゃんと取られてる録音・マスタリング音源がどの辺りに多いのかをある程度把握しているので(例えば最近のECMレコードとか、クラシックのワンポイント録音とか)まだ選べますが、そういう情報を持ち合わせていない人にとって、今のハイレゾ市場は不親切です。
2017-01-15 22:19:45勿論「音圧を上げて!でもディテールも!」という要望もあるので、今の録音・マスタリング状況を全部DR値大きめの仕様に変えるのは難しいでしょう。なので、悲しいかな、現状ではハイレゾ音源を聴く時・選ぶ時は聴き手の側がある程度情報を持っていなければなりません。
2017-01-15 22:26:14なので、これからハイレゾをフルで楽しみたい方は以下の2点を踏まえておいた方がいいでしょう。 ・できる限りスピーカーで聴く(今だと安くていいアクティブスピーカーが結構あります) ・ネットで「この音源が奥行き感じられて楽しいよ!」などの情報をチェックする
2017-01-15 22:31:52勿論、好みのジャンルやアーティストの音源がDR値小さめ、あるいはそもそもハイレゾが無いなんてこともあってガッカリすることもあるでしょう。でも、立体感のある音源に出会って「こんな音の世界もあるんだ!」とまた新たな音楽と出会える可能性もあります。音の世界はまだまだ広いのです。
2017-01-15 22:35:10以上、『最近目にする「DR値」って何だ?〜ハイレゾはスピーカーで聴いた方が楽しめる』というお話でした。音楽の楽しみ方は多種多様ですが、こんな音の世界もあるんだなぁと思っていただけると幸いです。
2017-01-15 22:41:56追記。世間ではよく「ハイレゾ対応」と銘打ったスピーカーやヘッドホンが出回ってますが、無理に買う必要はありません。それらは超高音域に対応させるためのツィーターをつけているのですが、超高音域が聴こえなくても立体感は十分表現されます。聴き比べて音色の気に入ったものを買いましょう。
2017-01-15 22:46:19追記(@gyokimae 氏による指摘)
低DR(あえて「値」はつけない)が「楽器音の多いPops」に適しているとした根拠が気になる twitter.com/mimimomak/stat…
2017-01-15 23:23:31「最近目にする「DR値」って何だ?〜ハイレゾはスピーカーで聴いた方が楽しめるというお話〜」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1070880
2017-01-15 22:56:40@gyokimae 少し言葉が足りなかったようですみません。自分が想定したのは、楽器音を増やすことで音の隙間をなくしているアレンジングだと、音が渾然一体となった方が気持ち良いのかなという解釈で記しました。古くはフィル・スペクターの「ウォールオブサウンド」アレンジとか。
2017-01-15 23:27:08@mimimomak フィルの話は順序が逆ではないかと思います。「規格外の多重録音」「残響も大胆に収音する」「マイク間でカブリを発生させる」 いずれも音像を濁しDRを下げるため、時代を問わず通常は忌避されます。(続く
2017-01-15 23:55:22@mimimomak 低DRが大編成に向いているのではなく、ベタっとした低DRの壁サウンドを作りたいがために、フィルがあえて必要以上の大編成を、幾度も重ねて、汚く録った。のではないかと。 この映像が詳しいです。 youtube.com/watch?v=LRmRBr…
2017-01-15 23:56:56@mimimomak また「DR値」は、楽曲のクレスト・ファクターの程度を知る上である程度の指針になりますが、必ずしも体感上のダイナミックレンジとは一致しません。比較的近年に設計されたアルゴリズムに結びついているという背景もあります。よって、
2017-01-16 00:07:15@mimimomak これを録音の評価に際して引用する向きは認識していますが、今回の文脈ですと、数値と結びつかない、より普遍性のある「ダイナミックレンジ」あるいはただ「DR」の方が適切かと。ハイレゾとポタに関するご指摘はもっともに思われただけに勿体なく、老婆心からのご指摘ご容赦く
2017-01-16 00:09:29@gyokimae 確かに数値と体感は必ずしも一致するものではないですね...的確なご指摘、大変有り難いです。
2017-01-16 00:14:43