沼崎一郎先生が語る原文、翻訳文とのつきあい方

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沼崎一郎 @Ichy_Numa

岩波文庫の翻訳調日本語に慣れるべし。そうすると、二つ得るものがある。一、アカデミックな文体を身につけられる。二、外国語の正確な訳読ができるようになる。

2011-03-01 16:21:02
沼崎一郎 @Ichy_Numa

翻訳調日本語は、明治知識人が考えた日本語インターフェース。これを使うことで、外国語を日本語に移植できるようになった。学術書の場合は、今でも有効。

2011-03-01 16:23:35
沼崎一郎 @Ichy_Numa

最近、読みやすい「新訳」なるものが出回っているが、読みやすければ読みやすいほど、それは訳者の解釈に基づく作文であって、訳文ではなくなる。少しでも原書に忠実に訳出するために、翻訳調日本語は生まれた。日本語としては難しいかもしれないが、原文の置き換えと思って読むべし。

2011-03-01 16:29:14
沼崎一郎 @Ichy_Numa

日本人は、翻訳調日本語というインターフェースを生み出すことで、外国語文献の移植と摂取に成功した。これからは英語で発信すべきというなら、日本人に使いやすく、外国人に誤解されない、日本人向けの「翻訳調英語」を編み出すべきではないか?

2011-03-01 16:38:50
沼崎一郎 @Ichy_Numa

カルチャーセンターがまさにそう。学ぶことが自己目的化。学んだら「何かやって」欲しいのだが。 RT @ynabe39: 大事なのは「学ぶこと」そのものじゃなくて「学んだらどうなるか」「学ぶことで何を得られるか」なのだという当たり前のことも説得しないとわからない人はとても多い。

2011-03-02 04:36:20
沼崎一郎 @Ichy_Numa

誤訳だらけの翻訳書は困りものだけど、そうでなければ、読みづらいと文句言うのは筋違いだよなあ。忠実に訳そうとすれば、どうしても日本語には通常ないような複雑な構文の文章になってしまう。読みにくくても日本語だから、原文読むよりははるかに楽だよ。

2011-03-02 05:27:40
沼崎一郎 @Ichy_Numa

森鴎外を読むと、文語体読解のトレーニングになるかも。

2011-03-02 05:34:35
沼崎一郎 @Ichy_Numa

大学生になったら、それが当然と心得るべし。どんなに未熟な語学力でも、原文を眺めること大切。それができるように、一年時に習える外国語は全て取るくらいの心意気が欲しい。 RT @SARUBOBOorLIEK 原文片手に翻訳読むのがいちばんってことか… @ynabe39

2011-03-02 05:37:36
沼崎一郎 @Ichy_Numa

私も翻訳するときは「読みやすさ」を第一に考えるから、まず原文から素訳を作り、次に原文は見ずに、素訳を普通の日本語に再翻訳するけれど、それは、言葉を足したり削ったり、文を切ったりつなげたり、時には順番まで入れ替えて、ほとんど新しい文章を書く作業。大意を伝えるための作文になる。

2011-03-02 05:46:47
沼崎一郎 @Ichy_Numa

絶対に原文など読まない、正確さも求めない、ただ大意が知りたいという読者が相手なら、「読みやすい」訳文いや作文を提供すべきだろう。しかし、多少なりとも学問に触れたいという読者が相手なら、「読みにくくても正確」な訳文を提供すべきだと思う。

2011-03-02 05:49:09
沼崎一郎 @Ichy_Numa

学術論文中の引用なら、訳さず原文そのままのほうが読者にも親切。そのうえで、本文中で自分の「解釈」を示せばいい。文系の学術書の場合、そもそも(←出た!)原文が難解な文章であることが多いんだから、読みやすく訳せというのが無理な要求w。 @ynabe39

2011-03-02 05:55:19
沼崎一郎 @Ichy_Numa

対象とする読者層次第ということでしょうね。初学者まで想定するなら「読みやすさ」も必要。 RT @ynabe39: ちなみに自分は学術書の翻訳者としては相当に「読みやすさ重視派」だと思うんだけどな。

2011-03-02 06:10:37
沼崎一郎 @Ichy_Numa

どんなに語学力があっても、難解な外国語よりは、難解な母語のほうがまだ分かりやすい。だから、翻訳書の存在は有難い。

2011-03-02 06:12:21
沼崎一郎 @Ichy_Numa

日本ほど、あらゆる言語の翻訳書が出る国も珍しい。それも、比較的早く出る。台湾の友人が羨ましがっていた。彼は日本語が読めるから、日本語訳のお世話になっているとも言っていた。

2011-03-02 06:14:50
沼崎一郎 @Ichy_Numa

@Jun11921 語感で分かる、文がそのままスーッと頭に入るというのはネイティブの特権です。これだけはどうしようもない。確かに背景知識の有無は影響大ですね。こちらはもう勉強で何とかできる。

2011-03-02 06:17:37
沼崎一郎 @Ichy_Numa

なぜ難解な外国語より難解な母語のほうがまだ分かりやすいかというと、語彙と背景知識の量が全然違うから。それと、語感というかセンスの有無。ただ、それゆえに、翻訳だけを見ていると、母語の語感だけで捉えがちで誤解の元。だから原文に当たることが必須になる。大変だけど。

2011-03-02 06:36:26
沼崎一郎 @Ichy_Numa

海外留学組は、留学先の言語で書かれた学術書のほうが日本語文献より「読みやすい」場合が少なくないが、それは学術的な会話と思考を、日常的にその言語で行うようになるから。要は経験の問題。

2011-03-02 06:42:24
沼崎一郎 @Ichy_Numa

誰でも、適切なトレーニングを積めば、何もしないよりも、確かに「できる」ようになる。しかし、達するレベルには個人差があり、それはトレーニング量を増やすだけではどうしようもない。それだけのことですよね? @noboshin @ynabe39

2011-03-02 07:03:05
沼崎一郎 @Ichy_Numa

昔からよく聞く話。だけど偏見。学問に向いてる言語も無ければ、学問に向かない言語もない。もちろん、日常日本語がそのまま学術日本語になるわけではないが。 RT @t_tome 日本語は学問表現には向かないと思う、素人ながら

2011-03-02 08:10:50