Nyar_Horten氏が語る『第四次中東戦争における欺瞞と奇襲』

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錆猫 @Nyar_Horten

攻者三倍の法則は守勢側が野戦築城等の防御体制を構築出来る時間があって初めて意味を成す、と某氏が仰っていた記憶が。さておき、おはようございます

2011-02-25 07:03:55
錆猫 @Nyar_Horten

エジプト、シリア両軍が同時にイスラエルに攻撃を開始したのは十月六日の午後二時であった。其元となった共同計画は、見事なほど秘密裏に進められた(続)

2011-02-27 06:09:02
錆猫 @Nyar_Horten

其の後明らかになったのは、数週間後にイスラエル側の捕虜になったエジプト軍将校の95%が十月六日の朝まで、自分達の参加している軍事演習が其のまま戦争に移行するとは知らなかった、ということだった(イスラエル全史:下210頁)

2011-02-27 06:11:55
錆猫 @Nyar_Horten

敵を騙すには先ず味方から、と言います。第四次中東戦争も、其れを起した側からすれば此れ程までに徹底した奇襲計画だった訳ですが、実際には

2011-02-27 06:12:35
錆猫 @Nyar_Horten

彼はそこで、この配置は戦争に突入する前触れであると述べ、それは現在行われている軍事演習とは関わりが無い、と付加えた。二日後の十月三日、シマン・トヴは再び報告書を提出、軍事演習が戦争準備を隠蔽する為のものであるとする、幾つかの状況証拠を指摘した(イスラエル全史:下211頁)

2011-02-27 06:14:58
錆猫 @Nyar_Horten

ダヴィッド・エラザール参謀総長はシリア・エジプト両軍の動きを巡る楽観的な解釋には不安を抱いていた。だから彼は十月五日の金曜日には、常備軍に対して最高厳戒態勢をしくよう発令、同時に空軍の予備役兵の一部動員を命じた(イスラエル全史:下212頁)

2011-02-27 06:17:51
錆猫 @Nyar_Horten

という様に、奇襲を受けた側は事前に開戦の可能性を知り、また可能な限りの対処を行おうとしていた事が窺えます。しかし、そうであるにも拘らず結果的に奇襲される立場に甘んじた理由は

2011-02-27 06:19:11
錆猫 @Nyar_Horten

アラブ世界が不和分裂を繰返していた事も、我々を油断させた。ナセルの死後彼の後を次いだサダトは、戦争開始日を数回発表し、決断の年が来たと度々言った。彼の言葉は嘲笑と共に無視されたのである(砂漠の戦車戦:上115頁)

2011-02-27 06:20:54
錆猫 @Nyar_Horten

イスラエルの軍の首脳部は、エジプトはイスラエルの深部にまで攻撃を加え、イスラエル空軍を一掃するだけの空軍力が無ければイスラエルを攻撃する事は無いだろうし、シリアはエジプト抜きで攻撃してくる事は無いだろう、という「考え方」に囚われていた(イスラエル全史:下211頁)

2011-02-27 06:23:15
錆猫 @Nyar_Horten

開戦の直前、航空偵察やその他の手段による情報は、アラブ軍が国境に集結しつつある事を告げていた。しかし予備役の不必要な動員は経済的に大変な痛手となる為、メイヤ首相と其内閣は、十月六日までは全面的動員をかけないこととした(現代航空戦史事典:221頁/再掲)

2011-02-27 06:24:25
錆猫 @Nyar_Horten

とある様に、自らの油断や敵の欺瞞行動、経済的な負担を考慮した指導層が決定的な対応を採る事を見送り続けた点にある、という事が分ると思います。要するに情報取得機材の優越だけでは奇襲の可能性を察知できても、即其れを防ぐ事には繋がらないということになります

2011-02-27 06:25:35
錆猫 @Nyar_Horten

さて、中国は政軍両面に対する情報戦である三戦に因る周辺国への欺瞞と隠蔽を重視し、又其れによって敵に対し奇襲的効果を得る事で戦略的優位を獲得しようとしている、とQDRで指摘されています

2011-02-27 06:26:50
錆猫 @Nyar_Horten

第四次中東戦争の一件を踏まえた上で以上を鑑みると、事至れば彼等は様々な手段を講じて奇襲的状況を積極的に作り出し其れを利用する可能性を指摘する事が出来ると思います。即ち、斬首戦略は、少なくとも彼等の中では有効な選択肢として機能するのではないかと

2011-02-27 06:28:25
錆猫 @Nyar_Horten

或は、案外我々が台湾有事の可否と其れの阻止手段の削減を口にしている時点で、実は彼等の策中に嵌っているのかもしれませんねー?等々戯言をほざいてみたりしなくもなく

2011-02-27 06:29:29