- saikasouko140
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いただいたお題『タイバニの兎虎で、「しまった!」をお願いします』 odaibako.net/detail/request…
2017-02-03 01:23:12入院だけはごめんだと駄々をこねる虎徹さんを仕方なく家に連れ帰って、パジャマに着替えさせてやった。なすがままにされつつ、彼は自分の両手を覆う包帯を眺め、しまったなぁ、などとボヤいている。「自業自得です」「そうだけどよぉ」上目遣いはいつもより意味深で。「これじゃ口でしかしてやれない」
2017-02-03 01:22:53ブーツも靴下も脱ぎ捨てて、素のままの足で地面を踏む。剥き出しの足裏はあまりに無防備で、内臓が居心地悪く蠢いてるようなぞわぞわした感覚を抑えきれてはいないけど。草と土と石ころと、それらを支える大きくて深いどっしりした何か。(あぁ、)悪くない。一歩ずつ確かめるように、歩く。空が高い。
2017-02-02 01:05:47いただいたお題『ワートリで忍田さんが弧月で戦う話をお願いします!!』 odaibako.net/detail/request…
2017-02-02 00:01:45「うわ、マジか、腕落としたぞ」 「ちょ、次は足狙いかよ!」 「いっそ仕留めて! できるよね?!」 「うわー、うわー」 「本部長えげつねぇ……」 「なるほど。そうやれば斬れたか」 「真似しなくていい」 「あー、効率悪いもんな」 「そうじゃない」 「顔狙ったほうが早ぇし」 「……」
2017-02-02 00:01:03武器らしい武器は持たない徒手空拳とはいえ、その速さで繰り出される攻撃のひとつひとつは十分重い。その上で、あの捕獲能力。「……!」突き出された腕をかわし、身を低めて弧月を振るう。強硬とされる腕も、曲げ伸ばしする必要性からか、内側は比較的柔らかい。同じ場所を狙い、二度三度斬りつける。
2017-02-02 00:00:41記録から再構築された新型トリオン兵は、思いのほか、小さく見えた。その動きを見計らいながら、弧月を構える。特に堅いのは肩から腕、それから頭。何度か見直した記録の内容を反芻しつつ、迫る姿を迎え撃つ。ギィン、と嫌な音が響いた。(なるほど……)速さと硬さ。これはB級ではひとたまりもない。
2017-02-02 00:00:21「なにより」視線が、城戸の顔を撫でる。刻まれた傷を辿るように。「ここにいれば、あなたの敵にも剣が届く」あなたが敵と見做すものを同じく敵とすることができずとも。少なくとも、あなたを敵と見做すものは斬ることができるから。「……なら、実働部隊は任せた」「任されます」遠い、春の日だった。
2017-02-01 00:49:08そう仕向けたとはいえ、こちらにつくかどうかは五分だと思っていた。そんな城戸の考えを察したかのように、忍田は薄く笑みのような形に口元を緩めた。「あなたと同じ道を選んだつもりはない」ただ、市井の人々を守るという己の目的を遂げるにより良い立ち位置はどこかと、忍田なりに考えた結果だった。
2017-02-01 00:48:57「いっただっきまーす!」白いホイップバターと、金色の蜂蜜をたっぷりかけて、瑞希が満面の笑みでパンケーキを頬張る向かいでは、苦行に耐える僧のような無心の表情で三厳がカトラリーを動かしている。キッチンダイニングから溢れ出した甘いあまい匂いは、三人の家の隅々までを満たしていった。〈了〉
2017-02-01 00:02:05「ちょっと何したの、みっちゃん……」そのまま、三厳の向かいに腰を下ろせば、三月は小さくおかえりなさい、と呟いて瑞希の前にもパンケーキを乗せた皿を置いた。「いつまでやるの、これ」「あと十枚くらいで」「あっ、そう」魅惑的なキツネ色に瑞希は思考を放棄する。三月のパンケーキは絶品なのだ。
2017-01-31 23:58:59普段、主食は日本酒と言って憚らず固形物をほとんど食べない、ましてや甘味など滅多に口にしない三厳が差し出されるままに黙々とパンケーキを食べている様は、瑞希には下手な冗談にしか思えなかったが、残念ながらこれは現実らしい。姉の姿を認めても始終無言のふたりに、瑞希はひとつ溜め息を吐いた。
2017-01-31 23:55:32下の弟・三月はいつもの通り、頭上に黒いうさ耳を揺らめかせながらコンロの前に立ち、手際良くパンケーキを焼いている。問題は、テーブルについている上の弟・三厳のほうだった。「ちょっ、……」瑞希が声をかけあぐねている間にも、見事なキツネ色に焼かれたパンケーキが三厳の手元の皿に滑り落ちる。
2017-01-31 23:54:27玄関に入った途端、鼻をくすぐってきた甘い匂いに宇佐美瑞希は猫であればピッと耳を立てたような表情でいそいそと靴を脱いだ。廊下を駆け抜け、キッチンダイニングを覗き込み……あまりの光景に肩に掛けていた鞄をぼとり、と落っことしていた。そこには、一応、想像に違わず彼女の弟たちの姿があった。
2017-01-31 23:53:52いただいたお題『君にクリームかけて食べたい、でお願いします』 odaibako.net/detail/request…
2017-01-31 00:46:09薄紅に塗られた足の爪は、秘め事そのもののように晒された。校則だとダメなことになってるの。けど、学校じゃ脱がないし。艶々とした爪は作り物めいてるのに、妙に瑞々しくもある。「イチゴみたい」「褒めてるの?」「勿論!」だってすごく美味しそう、クリームかけて……あぁ、ボク何考えてるんだろ。
2017-01-31 00:45:29