伴寂尊さんによるたがわ靖之先生の思い出

MASKDEUHBADASSSONG @MASKDEUHBADASS

BUBKA４月号にて「漫画ゴラク完全ガイド」を、＜漫ぶらぁ〜＞大西祥平氏と共に執筆しました。４ページに渡ってゴラク連載作品の熱さ、ヤバさ、間違いない加減を書き飛ばしております。歴代名作ガイドや副編集長インタビューも掲載。ドゲって必読！

伴ジャクソン @ban1968

BUBKAの「漫画ゴラク」特集を読んで思い出したのは、たがわ靖之先生のことだ。「鉄火の巻平」「包丁無宿」「夜の料理人」など数々のエクストリームグルメコミックを生み出し、一時代のゴラクを牽引した名匠。僕は、最末期のたがわ先生に仕事を依頼したことが有った。

伴ジャクソン @ban1968

「ハイパーホビー」で連載されていた、植地毅さんのコラム「デスオモチャ2000年」をムック化する際の話だ。時は、ちょうど2000年。内容も内容ということで、植地さんと担当の僕はとことん遊んでしまおうと、あれこれとアイディアを出し合った。その中で出てきたのが、たがわ先生の名前だった。

伴ジャクソン @ban1968

「たがわ先生に、地方でレアものを探しているおもちゃハンターのマンガを描いてもらいましょうよ！」ちょうど植地さんは、その頃BUBKAでたがわ先生の取材をしていて面識もあり、話も振りやすかったこともあり、さっそく二人でたがわ先生に会いに行った。

伴ジャクソン @ban1968

待ち合わせ場所で会ったたがわ先生は、こちらが恐縮するほどの低姿勢で僕らを迎えてくれた。「植地さん、これにサインして下さい！」そう言う先生の手には「仁義なき戦い浪漫アルバム」が。「今日あなたに会えると思って、これを持って来たんだよ。この本は本当に面白い！　是非サインして下さい」

伴ジャクソン @ban1968

植地さんが苦笑しながらサインをして、「この人が伴ジャクソンですよ」と僕を紹介した。たがわ先生に「え！あなたが！じゃあ、あなたにもサインしてもらわないと！」と言われ、「いや、僕のサインなんて価値ないですよ」と辞退したが、結局押し切られ……それが初めての「伴」名義のサインだった。

伴ジャクソン @ban1968

僕たちの不躾なお願いを、たがわ先生は「それは面白い！　実は今、腕の調子が悪くて仕事は抑え目にしているんだ……でも、これは是非やってみたい」と、実にカジュアルに引き受けてくださった。もっとも、ホビー方面の知識には疎いとのことで、ネームまではこちらで担当することに。

伴ジャクソン @ban1968

植地さんとあーだこーだとやり合って、当時大ヒットしていた『マトリックス』のビジュアルをわざとモロパクした主人公が活躍する８Pほどのネームもどきが出来上がり、さっそくたがわ先生にファックスで送付。たがわ先生にも好評で、そのネームは先生のアシスタントの方に改めてリライトして頂いた。

伴ジャクソン @ban1968

しかし、それから１～２週間後だろうか、たがわ先生から僕宛に電話があった。「仕事の件、申し訳ないけど無しにしてもらえないか？」いきなりの発言に、軽く僕は混乱した。「何でですか、これまですごく前向きに進めていただいていたのに」

伴ジャクソン @ban1968

前から訴えていた腕の不調がいよいよ本格的になり、回復のめどが立たない。僕らに締め切りで迷惑をかけないための、苦渋の決断だった。「俺だって描きたいんだよ！　でも、どうしても腕が言うことを利かない……頼む、わかってくれ……」電話越しの涙交じりの言葉に、僕はこれ以上何も言えなかった。

伴ジャクソン @ban1968

そしてしばらくして、たがわ先生は突然仕事場で倒れ、そのまま亡くなられた。僕と植地さんはお葬式に行き、その場であのネームをリライトしてくださったアシスタントの方とご挨拶することができた。「たがわさんは、あの仕事をすることをすごく楽しみにしていたんだよ」その言葉を聞いて、僕は泣いた。

伴ジャクソン @ban1968

以上が、僕とたがわ先生との思い出です。お付き合いした時間があまりに短すぎるけれど、たがわ先生の無邪気な笑顔は今もって忘れることはできません。そして、これからも、たがわ先生の作品を読み続けます。では、またいつもの馬鹿ツイートに戻ります。ご静聴、ありがとうございました。

にょろ・ぴぃ @nyoronco

BUBKAの「漫画ゴラク」特集を読んだ@ban1968伴ジャクソンさんが語る漫画家たがわ靖之先生との思い出。いい人は早く旅立つものなのか。 http://twitpic.com/457gp5

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abe @hug5001

@ban1968 故人を偲べるなんてブブカのいい仕事ですね。当時は本当に急死というイメージで。元来、体が悪かったのは知らなかったです。没年も世代も　たかもちげん先生と何時もダブるんですよね。代打屋トーゴー読みたくなってきました。