園田英弘+浜名篤+広田照幸『士族の歴史社会学的研究』読書メモ

園田英弘+浜名篤+広田照幸『士族の歴史社会学的研究』(名古屋大学出版会、1995)の読書メモをまとめました。
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荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

『士族の歴史社会学的研究』を読み始めた。幕末期に武士は身分解体されていくが、それは職業としての武士が前景化するに並行して身分としての武士が能力主義に依拠していくプロセスの中で成立するそうだ。これは四民平等に開かれた(能力があればOK)武士観にも通じる。面白い。

2017-01-21 09:06:35
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

近代的な武器、「鉄砲」の登場によって、人数が多ければ戦争に有利だという条件が変わる。「不用の雑兵」問題。ここにおいて武士は単身化を余儀なくされ、主従的エートスよりも実践的能力が優先される(武士から戦争人へ)。

2017-01-21 09:11:05
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

かつての上級武士層が学校を利用して近代セクターの高いポストに到達しているのである。とすると学歴エリートに転化したのはかつての上級武士層が多く、窮乏化して労働者階級の一部に吸収されていったのは下級武士層に多かったことになるだろう。by『士族の歴史社会学的研究』

2017-01-24 10:46:13
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

明治に入って導入された「学校」という社会装置はその初期の段階から、身分-階級構造の再生産機能を果たしていたのである。by『士族の歴史社会学的研究』

2017-01-24 10:47:47
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

身分によって異なった漢学的教養や学校への構えの差が、学校を経ることで「能力」へと翻訳されているのであり、属性と業績のいわば相互浸透が起こったのである。by『士族の歴史社会学的研究』

2017-01-24 10:48:59
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

卒であった者にみられるように農工商といった「生業」への転身に甘んじるか、中上士層に多かったように「庶業」とカテゴライズされる発展途上の新しい職業に就くか、それ以外の「生業」に就く位なら無職にとどまるかといった、「職業」についての観念の違いが存在した。by『士族の歴史社会学的研究』

2017-01-24 11:19:06
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「帯刀姿で小学校の教員としての勤務が認められていた」(『士族の歴史社会学的研究』)。あぶねーだろ(笑)。

2017-01-24 11:30:16
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

いわば学校は、地位喪失感の深い、「生業」に就くことを欲しない士族層にとって、近代的な職業の原型の部分へとたどり着くことのできるルートを提供する装置でもあったわけである。by『士族の歴史社会学的研究』

2017-01-24 11:48:46
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「旧身分の高い層が学校教育を経て明治社会の上層に移動していったのは、ある時期までは、彼らの開明的な意識によるのではなく、逆に彼らの伝統的な身分意識によるものだったことになる」(『士族の歴史社会学的研究』)。面白いね。

2017-01-24 11:51:42
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

園田英弘+浜名篤+広田照幸『士族の歴史社会学的研究』読了。明治維新を経て武士は士族となる。身分と職業が乖離していき、能力的証明を求められるなか、生半可に残った名誉意識を新時代においてどう処理すればいいのか。近代文学研究者がもっと読んでいいと思う。とても面白かった。

2017-01-24 12:01:59