鍼灸業界で医療を追求する前に知っておいて欲しいこと

医療者として理想に燃える鍼灸師の方々のために、こういう見方、現状分析もあるんだよ、というお話です。何かのお役に立てれば幸いです。
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邪悪インコ @pizbird

ふむ…では、駆け出しの鍼灸師の方々が熱く語られているので、ここは鍼灸師側としてではなく、別の視点から鍼灸を眺むる者として、早朝からこっそり。(ログが残るのでこっそりもなにもないのだが…)

2011-03-03 03:36:39
邪悪インコ @pizbird

鍼灸業界というのは、市場規模の推定が何年か前の医道の日本に書いてあったが、3000-4800億円の間と言われている。といっても、その根拠はなかったし、正確なところはどう調べたものやら。富士経済研究所あたりが確か代替医療に関する市場規模の資料を出していたと思うんだが、一部10万円。

2011-03-03 03:39:10
邪悪インコ @pizbird

さすがに自前で企業を持ってるわけでもないし、大学から研究費用が出ているわけでもないので、ちょっとこれは読みにくい。まあ、市場規模は今回は置いておいても大丈夫なので置いておく。

2011-03-03 03:40:24
邪悪インコ @pizbird

ヤフーでググると、鍼灸師の年収は600万円程度なんていう記事が学会参加者対象の調査で出ていると思うのだが、こんなんウソウサ。うちの学部長殿によれば250万円程度が平均年収だと言われている。サラリーマンが確か530万円程度、日本の貧困値は確か150万円くらいだったかな。

2011-03-03 03:42:16
邪悪インコ @pizbird

貧困とされる収入は等価平均所得の半分かなんかでOECDの定義だったと思うが。さてさて。鍼灸師の平均年収は250万円とされているが、年齢別サラリーマンの年収で言えば、20代前半と同程度、30代ともなれば既に100万程度の差がある(男性の場合、民間給与実態統計調査より

2011-03-03 03:45:24
邪悪インコ @pizbird

どこの専門学校も、うちの大学も、見ないフリをしてるんだろうけれど、卒業生の3年以内離職率について調査しているところはない。専門学校卒の院生とかに話を聞くと、同級生の1/3は卒後三年には鍼灸師以外の職業についているとか。彼のところだけ?いやー、そんなことはないと思うな。

2011-03-03 03:48:36
邪悪インコ @pizbird

鍼灸師の有資格者って確か8万人くらいだったと思うんだけど、鍼灸院の数は(整骨を含めてだったかな?)、確か2万件だった気がする。あー、つまり4人に1人が自分の城を持っている計算になるわけだ。ここら辺、数値がちょっと記憶が曖昧なので、また今度、学部長殿に資料をおねだりしておこう。

2011-03-03 03:51:05
邪悪インコ @pizbird

まあ、最初の市場規模の話も、年収の話も、離職率の話も、開業率の話も、つまり何が言いたいかと言うと「鍼灸業界は需給バランスが崩壊した上で、過当競争に曝されている」ということ。あ、ちなみにもっと情報を付け加えると、国民の鍼灸の利用率は1%以下だったかな。0.1-0.2%だったかも。

2011-03-03 03:54:25
邪悪インコ @pizbird

鍼灸師の新規登録者数(つまり、新しく国家試験に合格して鍼灸師になった人の数)は、年間5000人程度で推移している。8万人程度が有資格者の中に毎年5000人………ちと多いよねえ。

2011-03-03 03:56:37
邪悪インコ @pizbird

鍼灸師っていうのは、つまりなったのはいいけれど、職は見つからない、見つかっても安月給、酷いときは鍼を一切使わされず、マッサージに従事させられるときもある。(これ、普通に考えたら違法なんだけど、鍼灸整骨院では罷り通ってるみたいねえ。)まあ、少なくとも愉快な経済状態ではないわけです。

2011-03-03 03:58:39
邪悪インコ @pizbird

一般社会でもそうなんだけどさ、大企業に就職して安定した年収を得ている人、起業して莫大な収益を得ている人っていうのは目に付きやすいけれど、統計取ったら全体の10%以下しかいないわけですよ…。収入分布を見たら一発で分かるのだけれども。額が大きくなれば、もっとその割合は減る。

2011-03-03 04:01:23
邪悪インコ @pizbird

要するに。鍼灸っていうのは食べていくには極めて厳しい業種なのね。

2011-03-03 04:01:56
邪悪インコ @pizbird

うっ…記念すべき10,000Tweetが鍼灸の厳しさについての言及とか泣ける(´Д⊂

2011-03-03 04:02:47
邪悪インコ @pizbird

さて。鍼灸師は知っての通り、医療従事者なんだけれど、病院外で働いている人がほとんど。開業医とも違って、保険が適用されることはごく稀で、自由診療が中心。つまるところ、飲食店とかSOHOとか、そういう一般の個人事業と、取引形態とか見ていると全く変わらないのね。

2011-03-03 04:04:37
邪悪インコ @pizbird

で、だ。昨日のお昼頃に「国家医療とは本質的に不採算事業である」ってキャッチフレーズを流したんだけど、医療に関わる以上は、基本的に採算が取りにくいわけですよ。自由診療だから保険適用よりずっと上の金額を患者さんに要求して、それで採算を取っているわけだけれど。

2011-03-03 04:06:18
邪悪インコ @pizbird

えーっと、どっちから話そうか悩ましいんだけど、じゃあとりあえず保険のお話から。鍼灸師の一部が、鍼灸を保険適用すべしとの声を上げて活動しているけれど、これは結論から言えば無理。何も個人的見解ではなくて、この財政悪化の時代、医療費ってのはどんどん削りたいわけですよ、厚生省は。

2011-03-03 04:08:06
邪悪インコ @pizbird

今、切り離しを試みているのは無意味な延命治療とか、慢性疾患(難病じゃなくて肥満とかそういうのね)とか、所得再分配としては不適当っぽいもの。なかなか難しいけれど…それが終わったら、次は何かな。整形外科も肩こり腰痛とかはどうなっちゃうんだろうね。

2011-03-03 04:10:20
邪悪インコ @pizbird

そんな中で保険適用の範囲を広げろなんて、無理な話なわけですよ。私もあまり現状は確認していないのだけれど、今もう開業整形外科と整骨院(柔道整復)の間では全面戦争状態。もちろん、医師会と柔整会の実力差なんて圧倒的な違いがあるから、柔整の将来っていうのもある程度見えているものがあるね。

2011-03-03 04:12:00
邪悪インコ @pizbird

さっき鍼灸の市場規模を出そうとして、正確な金額が言えなかったけど、代替医療全体の市場規模は確か2.1兆円程度だったかな。こっちも曖昧で申し訳ないけれど、まあ、大半が漢方か柔道整復なわけですよ。あー、でも今ググったら、矢野経済は8000億円とか試算してる。正確なところはいったい…

2011-03-03 04:14:46
邪悪インコ @pizbird

まあ、柔整と鍼灸では保険適用の差から、柔整の方が圧倒的に市場規模が大きくて(鍼灸整骨院の方が鍼灸院より圧倒的に多いね、求人なんか見ていても)、鍼灸に関しては大っぴらに保険適用なんかしていないし、医師会からは相手にされていないけれど、これがもし保険適用の話になるとすると…?

2011-03-03 04:16:16
邪悪インコ @pizbird

ま。どのみち、厚生省が説得できても、財務省が説得できないとむり。柔整の保険適用は去年末だったか今年に、サイキョーの会計検査院から指摘も入ってるし、代替医療自体が国家から信用はされていないだろうね。世間の浸透度や認知度から見ても。

2011-03-03 04:17:29
邪悪インコ @pizbird

さてさて。保険適用が無理とすると、自由診療で頑張るしか業界には残されていないけれど。じゃあ、純粋な医療で鍼灸っていうのはどこまで頑張れるのか、という話になっていく。さっき「医療は不採算」って話をしたけれど、医療らしいことをすればそれだけコストが嵩むのは自明のこと。

2011-03-03 04:18:45
邪悪インコ @pizbird

あ、火を見るよりも明らか、の方が表現としてはかっこよかったかな…。ええっと、それで、まあ、ぶっちゃけていうと、鍼灸師がまあ、一部の人は別としてね、業界全体として医療だけを続けていくのには自ずと限界があるわけですよ。

2011-03-03 04:20:56
邪悪インコ @pizbird

美容鍼灸なんか最近の流行だけれど、あれ、どこまで最初から美容を追求していたんだろうね、当人たちは。日経新聞(いや、アソシエだったか?)かなんかには、エステティシャンより鍼灸師の方が国家資格あるし、信頼できる、なんてリサーチデータもあったな。

2011-03-03 04:22:20
邪悪インコ @pizbird

とりあえずまあ、美容鍼灸っていうのは、鍼灸業界として生き残る道(=食べていく道)の結論の一つなわけね。ちなみに、他にどういう方策が残っているかというと…まあ、いくつかアイデアはあるけれど、そこは今、ペーパーとして書いて専門誌に投稿しようと思ってる。(宣伝

2011-03-03 04:23:55