安全保障(山猫)

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三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

昨日の朝生での重要論点を振り返ります。総動員の大戦争のあとは、余りに被害が甚大なので、軍拡と総動員体制の危険、はじめに攻撃を仕掛けた国の責任が言われ、敗戦国にしばらく再軍備を禁ずるという取り決めがなされていた。だが第一次大戦後敗戦国ドイツを圧迫しすぎ、再軍備を掲げヒトラーが台頭。

2016-08-07 00:40:35
三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

そのためもあり、第二次世界大戦後の敗戦国日独の再軍備禁止はあまりやりすぎてはならないとの認識が初めから米国にはあった。さらに冷戦の時代状況もあり再軍備を禁ずる風潮は弱まった。しかし肝心の日本は防衛を丸投げできてハッピーであった。同盟堅持の政権も安保反対の野党も現状を変えようとせず

2016-08-07 00:42:59
三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

軍備だけをジリジリ基準を緩めて行った。しかし憲法9条2項に再軍備禁止が定められているので、軍ではないと強弁する羽目になり、矛盾を官僚的に覆い隠す用語アートや文書作成スキルを制服に叩き込んだ。そんな自衛隊幹部は次々と官僚化しごまかしに耐えられなかった人は辞めるパターンが定着。

2016-08-07 00:46:31
三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

ところが自民党はそんな矛盾を解消することを怠り、シビリアンコントロールの名の下、政府に都合の良い解釈しか自衛隊の活動に関し議論の場に提供されないことになった。これはシビリアンコントロールの権限を国会から奪うもので、自民党一党優位と相俟って日本の政軍関係を損なってきた。

2016-08-07 00:49:11
三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

また、自衛隊を(垂直型の)警察組織的統制に位置付けたため、警察組織と自衛隊組織という二大実力組織を、一党優位体制のもと政府与党が統制する形となりセカンドオピニオンは出にくかった。曲がりなりにも機能したのは予算の制約と公務員のプロ意識、外部環境が変化せず大した政策変化がなかったから

2016-08-07 00:54:15
三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

ところがそんな再軍備の権利を棚上げしたがる国に変化が訪れた。冷戦の終結の意味合いがようやくイラク戦争を経てアメリカ国民の頭の中に浸透したからである。そもそもなぜ日本が再軍備したくないのかを理解できなくなった米国政治家や専門家らは日本に防衛負担の変更をもっと強く申し出るようになった

2016-08-07 00:57:09
三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

いままでならば、いや平和的な世論がありまして、とのことで説明可能なはずだった。しかし新しい世代の専門家や知日派が減った米国政治家は全くそのロジックを理解することができなかった。彼らにとってはアプリオリに非武装を訴える国がズルをしているようにしか見えなくなってきたのである。

2016-08-07 00:59:01
三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

つまりは、再軍備を禁ずる9条2項をどうするかというのは、国内的には自衛隊にごまかしを強要することだが、こと平和に関しては、再軍備をしたら戦前回帰して他国へ攻め入る軍事大国となると思うのか、再軍備をしても平和国家でい続けるという宣言なのかの世界観の違いなのである。

2016-08-07 01:02:37
三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

とどのつまり、9条1項は当時の世界が到達していた不戦条約的価値観であり特に日本がずば抜けて優れた規定を自らに課しているわけではない。 9条2項は戦勝国によって日本に課された再軍備の禁止のさだめであり、それは敗戦国としての特異性ではあっても世界の歴史に誇る条文というわけではない。

2016-08-07 01:05:07
三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

安保環境の変化、という去年よく聞かれたフレーズは、おそらくは言っていた与党の当事者の想定や想像力を超えて、真実であった可能性がある。それは安保環境の変化というよりむしろ時代の変化であり、遅れてやってきた「冷戦後」の始まりだったということになるだろう。

2016-08-07 01:08:27
三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

ここで問いかけてみるとしよう。9条2項を削除したとしても引き続き、平和国家でい続けるというのはどういうことなのだろうかと。言葉上は政界の左右をまたいで合意されている平和国家というのは、なんだったのだろうか。政府与党も野党も大規模紛争介入をやる気が無さそうなことははっきりしている。

2016-08-07 01:12:02
三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

平和国家とは、自民右派からすれば、自前の抑止をもつ国際法遵守国ということになろうし、民進左派からすれば攻撃兵器を持たず大方の抑止機能は同盟に頼る国となろう。これはあくまでホンネ部分での同盟との距離感の差にすぎない。だが左派の前提を同盟国アメリカ自身が壊しにかかっているのである。

2016-08-07 01:22:38
三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

つまり、米国がトランプ旋風に象徴される抑止へのダメージ行為を行いつつあるので、抑止を丸投げできるかどうかもわからなくなってきたのである。そこで手っ取り早いのは抑止なんていらないと言ってみることだ。そうすると民進左派ではなく、もっと左派になってしまうのだが、それはまあ置いておこう。

2016-08-07 01:25:57
三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

では自民右派はというとこれも問題。自前の抑止はいいが、中国や北に対し米国が行っていた抑止とは異なる条件で抑止を試みることの現実的算段もなしに、核武装を!ということの政治的リスクを負うだけでヒロイズムが完成してしまっているからだ。それでは日米開戦のヒロイズムと大して変わらない

2016-08-07 01:31:24
三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

更に深刻なのは、抑止不要派への反動で生じている抑止万能主義。日本が核を持っても、抑止できるのはせいぜい核ミサイルなどの本土破壊攻撃だけだろう。相手が非正規ゲリラ戦を仕掛ければ当然核なんて役に立たないし(シン・ゴジラヲミヨ)サラミスライス戦略を抑止できた歴史事例をあまり私は知らない

2016-08-07 01:36:18
三浦瑠麗 Lully MIURA @lullymiura

とまあ微に入り細に入り書けばこんなもんですが、昨日は再軍備の可否をめぐる認識、政軍関係の不健全化、自衛隊のエリート懲罰問題、「冷戦後」の始まり、左派の自社さ連立時の同盟受容の効果のいま、そこに突きつけられているトランプ問題、抑止万能主義への戒めなどが盛り込まれていたわけなんです。

2016-08-07 01:40:43