(新連載まとめ12)朝の三分小説〜おかん〜(夏の強化合宿編)

おかん191からおかん211まで。この編中に200回を突破します。  さだみつが主役の前回と打って変わって、今回はいつも通りおかんが主役。夏休みを利用して強化合宿を行います。  果たして何の強化合宿なのか。意味は分かりませんが、合宿自体は修学旅行とかにありがちなクソみたいなノリで進みます。しかも何ら結果を残さないあたりがドライで好感が持てますね。意味のない試合に臨み出した辺りで心地よい虚無感に襲われた方も多いのでは。  後半は合宿から一転、暇を持て余したおかんが夏休みの宿題をする中で無に目覚め、ホワイトおかんにパワーアップします。夏休みの宿題で無を悟るところとか、その後のハローワークを襲撃するあたりに作者の私見が偏っている気がしないでもないです。 続きを読む
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カメックスシ @agodenderu

おかん191 おかんは強化合宿のため白樺湖に来ていた。ビーナスラインに連なる高原の中にあり、夏でも快適な場所である。おかんはここを勝手に強化合宿の聖地だと思っている。そして、この強化合宿に参加したのはいつものメンバーだ。 白樺湖で強者が交わる時、おかん達の夏が始まる。

2016-07-28 07:01:39
カメックスシ @agodenderu

おかん夏の主題歌「夏ゲート」 七百年ぶりの夏だねぇ ずっと武家屋敷なんだと 思っていた僕の実家が 普通の二世帯住宅だと知った時から 僕に夏は訪れない だけど 花火大会みたいな顔した 君がいれば 夏ゲートくぐれそう 今年は暑い これは夏のせい? デング熱のせいなの!? ギビビビビ

2016-07-29 06:56:39
カメックスシ @agodenderu

ムーンライトさだみつの夏休み1 7月31日日曜日 アサガオ・オブ・エターナルを育てていたシュンヤくんが取り込まれてしまい、シュンヤド・アサガンティス・エネミーへと進化してしまいました。でもシュンヤくんは「ククク、これで少年サッカーでエースが出来るぜ」と喜んでいたのでよかったです。

2016-07-31 10:22:33
カメックスシ @agodenderu

おかん192 白樺湖に集まったのはよく顔を見るメンバーで セミ男 悪魔神官レザロ ムーンライトさだみつ(大) マーガリン将軍 木崎湖の女神 恐竜時代に一番荒れていた岡本くん とどうしようもなく暇な人達だ。 「とりあえずどうする」 「自己紹介とかしたいし喫茶店いこうぜ」 「いいね」

2016-08-01 07:00:33
カメックスシ @agodenderu

おかん193 とりあえず喫茶店に集まって自己紹介とエスプレッソをしたおかんであった。 「なあ、俺お土産持って来たんだけど」 とセミ男が唐揚げのラジコンを持って来た。 「わりといらない、食べれらないし」 「うん」 「そうか」 唐揚げに翼が生えて野生へと帰って行った。

2016-08-02 06:59:20
カメックスシ @agodenderu

おかん194 「見てください、ボートがありますよ」 とムーンライトさだみつ(大)が言うのでみんなでボートに乗りながら百人一首をする事になった。 百人一首はエキスパートルールでおこなわれたのだが 「うるせぇ、こっちは夜勤明けなんだよ」 とカッパからクレームが来た。

2016-08-03 07:02:10
カメックスシ @agodenderu

おかん195 「おらぁ、賠償金払えや」 キレたカッパは石を投げてきた。 「この時期のカッパはうるせぇな」 セミ男はカッパを縄で縛ろうと湖に飛び込んだら返り討ちにされた。仕方がないので全員でカッパを倒した。 「チクショー、俺に手を出したらカッパ族の王、Δ(デルタ)様が黙ってないぜ」

2016-08-04 06:57:59
カメックスシ @agodenderu

おかん196 カッパの身柄ははすみやかにかっぱ寿司へと引き渡された。 百人一首大会は夕方まで続き、夜はバーベキュー大会という流れになった。 「なんだろうこの肉は」 「将軍、深く考えない方がいいぜ」 岡本くんは肉食生物なので豪快に肉を食べていた。 「さだみつも食べときや」 「うん」

2016-08-05 06:56:11
カメックスシ @agodenderu

ムーンライトさだみつの夏休み2 8月8日月曜日 暑かったのですが、古代魔法で森くんの家がかき氷に変えられていたのでみんなで食べました。ごぼう味はがっかりするのでやめて欲しいです。森くんのお父さんは抵当の問題をずっと気にしてました。

2016-08-07 21:57:39
カメックスシ @agodenderu

おかん197 バーベキューは無事に終了して、二次バーベキューが始まった。 「やっぱりしっかり食べて体力つけないとな」 「強化合宿だからね」 おかんはバーベキューレベルが上がった。新たに火焔斬りを覚えた。(消費バーベキューポイント18)

2016-08-08 07:03:02
カメックスシ @agodenderu

おかん198 やがて夜になった。 「実は重力五倍のペンションを借りてるからそこで修行しよう」 とおかんが言えば木崎湖の女神は 「UNO持って来た」 という訳でペンションUNO大会が始まった。 ここでの修行はわずか一時間で三重県四日市で三時間修行するのと同じくらいの効率である。

2016-08-09 06:58:08
カメックスシ @agodenderu

おかん199 翌朝、おかん達は筋肉痛になった。 「やっぱり運動不足に重力五倍はきついわー」 「やっぱり外でカッパでも釣ろうぜ」 「熱いしやる気出ないっす」 「カッパよりウナギだろ」 「こら、なんだお前達のその気の抜けた態度は」 だらけきったおかん達の前に現れたのは監督だった。

2016-08-10 06:58:47
カメックスシ @agodenderu

おかん200 監督の発案で各自落下しながらシャドーボクシングをするトレーニングを始めた。 「監督、このトレーニングに意味があるとは思えません」 ムーンライトさだみつ(大)の疑問に監督は 「そうか」 と答えた。実際に意味は無い。 地区大会一回戦まであと10日。

2016-08-15 13:42:15
カメックスシ @agodenderu

おかん201 おかん達は演歌を聞きながらレンガを左手で積む基本的な修行をしていた。 「これに何の意味があるというのだ」 五十才を越えたマーガリン将軍には少しきつそうだった。 「そうか」 監督は家が欲しかった。 地区大会まであと6日。

2016-08-17 06:57:37
カメックスシ @agodenderu

おかん202 監督には修行するおかん達の姿がかつての自分の姿と重なって見えかけたが、やっぱりここまでひどくはないと思い直した。 「あれはないよなぁ」 その頃おかん達は川の水の利権をめぐって隣の村と争う基礎トレーニングをしていた。 地区大会まであと1日。

2016-08-18 07:00:30
カメックスシ @agodenderu

おかん203 地区大会の直前、監督は真実を告げた。 「実は俺は半分くらいサイボーグなんだがもしお前達が勝ったらもっと改造して左手で書道とか出来るようになろうと思う」 わりとどうでもいい、その思いで初めてチームの心は一つに纏まった。 地区大会は一回戦で敗北、おかん達の夏は終わった。

2016-08-19 06:59:52
カメックスシ @agodenderu

おかん204 地区大会に負けて自暴自棄になったおかん達は一日中、湖で遊んだりバーベキューをしたりしていた。そんなおかん達を見かねたムーンライトさだみつは 「遊んでばかりいるんだったらちょっとは夏休みの宿題手伝ってよね」 「えっ、宿題ってやらないといけないの」

2016-08-22 06:55:52
カメックスシ @agodenderu

おかん205 夏休みの宿題のゾンビ百体斬りにおかんは苦戦していた。 かつてはゾンビ漁をしていたおかんであったが、天然物のゾンビだけを百体も討伐するのはこの長野においてもなかなか大変な事だ。 どれくらい大変かといえば中臣鎌足抜きで大化の改新をするくらい大変な事だろう。

2016-08-23 06:57:08
カメックスシ @agodenderu

おかん206 おかんは夏休みの宿題をするうちに自分がなぜ宿題をしているのだという憤りを覚え始めた。それ以前に宿題とはしなければならないのか、しかも自分の学生時代には夏休みの宿題なんてなかったはずだ、むしろ学校は毎日夏休みだったし宿題もなかったはずだ。 宿題なんてなかったのだ。

2016-08-24 06:59:44
カメックスシ @agodenderu

おかん207 おかんは世の小学生の夏休みの在り方を問い続け、悩み、苦しみ、迷い、怒り、悲しみ、その果てに得た答えが「無」であった。 宿題など人生の無駄遣いでしかないと、今ならば迷わずに言い切れる。 「無」に至ったおかんの心は、あの漆黒おかんとは正反対、ホワイトおかんとなった。

2016-08-25 07:00:23
カメックスシ @agodenderu

おかん208 「無」の境地、ホワイトおかんになって力が沸き上がるのを感じた、無なのに。 「すごいなんか翼とか生えてきたし、これならアルキメデスやでかいルンバさんレベルの敵とも互角に戦える。早く戦ってみたい」 しかし、おかんの前に敵は現れなかった。世間の敵達は夏休みを謳歌していた。

2016-08-26 06:56:47
カメックスシ @agodenderu

ムーンライトさだみつの夏休み3 よくわからないけどおかんがホワイトおかんになりました。おかんというのは母的な存在の人で主に無職です。おかんの友人達もなんかよくわからない理由でパワーアップしました。 二百回記念プレゼントの軍手は三重県伊勢市の村岡鉄斎くん(78)に贈られました。

2016-08-28 13:25:04
カメックスシ @agodenderu

おかん209 「敵、敵ってなんだ、そうだ」 おかんは敵という響きから自然にハローワークを連想した。 たどり着いたのは車山ハローワークだ。そこにはかつておかん達が束になっても勝てなかった因縁の相手、ドン・マーベラスがいた。 「おかんめ、生きてやがったか、お前を倒して就職してやる」

2016-08-29 06:55:58
カメックスシ @agodenderu

おかん210 ドン・マーベラスの攻撃はほとんど当たらなかったし効かなかった。 「なぜだ、なぜ効かぬ」 「当たり前だろ、無職であることを捨て、まだ何者でもないお前が勝てるわけないんさ」 おかんは適当な衝撃波でドン・マーベラスを撃破。信玄餅を回収して崩壊するハローワークから脱出した。

2016-08-30 07:08:51
カメックスシ @agodenderu

おかん211 おかんは理解した。ホワイトおかんとは無職を極め、「無職」の境地に至った人間の姿。 労働を知らず、悲しみも苦しみも知らないその精神には一点の曇りもなく、まさに純白。 故に無職は美しい。 夏は終わったし、宿題は終わってない。 「夏の強化合宿編」完

2016-08-31 06:59:15