【完結】図書館大戦争(仮)

思いついたはいいけど書いている時間がないのでプロットだけ垂れ流すことにした文アルオールキャラ全員強制潜書大乱闘なんちゃら的なやつ 2017/09/10 完結しました 閲覧ありがとうございます
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シロ@〆最新節済 @siro_xx

「あんなの起きたうちに入らないよ。呂律も回ってなかったのに」「ええ……」「その辺にしておけよ。島崎だって、取材でもしてないと落ち着かなかっただけなんだからさ」「国木田……」「さ、全員復活したことだし、俺達も食堂組に合流しようぜ。そうしたら話も聞けるし腹も満たせる。一石二鳥だろ?」

2017-09-10 20:00:28
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独歩が花袋と藤村それぞれの肩に腕を回した。「そうすっか!あー言われてみりゃ腹減ったな」「今日の献立なんだっけ」「カレーだよきっと!」「そうだったか?」去っていく三人をネコはひと鳴きして見送った。「……やれやれ」「ああ、ここにいたか」三度の呼び止めにネコはややうんざりした顔をした。

2017-09-10 20:07:03
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「そんな顔をするな。文豪達の様子はどうだ?」館長はネコに訊ねた。「侵蝕度合いの激しい者から順に補修を行っている。ひとまず、耗弱状態になった者については終わったはずだ」「そうか」「そっちは何かわかったか?」「下手人の行方は目下調査中だ。お上はこの件について報告書を書けだとさ」

2017-09-10 20:13:46
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「それは司書の仕事になるな。……まあ、吾輩も伝達役として報告の義務があるが」「俺達の戦いはもう少し続きそうだな」「仕事だ。仕方ニャイな」ネコは溜息を吐いた。館長が苦笑する。「まあ、だが。全員無事に帰ってこれてよかった」「その点は吾輩も同意する。……誰一人欠けなくてよかった」

2017-09-10 20:19:53
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同時刻。補修室では司書が洋墨瓶と調速機を手に、眠る直哉の顔をじっと見ていた。「……」「3、2、1……よし、志賀先生はもう大丈夫です。後は自然に目を覚ますまで待っ……」「うおおお急に飛び出してあっぶねえな……って、……あれ?」調速機の針が0を指した途端、直哉が叫びながら飛び起きた。

2017-09-10 20:28:12
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「……し、しが……」ベッドサイドの椅子に座っていた実篤が呆然と呟いた。「ん?あれ?ここ、補修室か?んじゃあさっき飛び出してきたトラックは夢……」「志賀ーっ!」「うおあっ!?」実篤に抱きつかれ、再びベッドに倒れた直哉は天井を見ながら目を白黒させていたが、司書の存在に気づいて頷いた。

2017-09-10 20:36:09
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「帰ってこれたんだな、俺達」「はい、全員無事に!」「そりゃよかった!……で、あー、武者、無事を喜んでくれるのは嬉しいんだが重……」「志賀あっ、よかった……よかった……っ」「……ははっ、武者も無事で何よりだ!そうだ、これから……」「だーっ、うるっせえ!」カーテン越しに治が絶叫した。

2017-09-10 20:44:39
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「起きた直後からうるせえよ!こちとら病人!頭すっげーズキズキするわけ!病院ではお静かにって言うだ……」頭を押さえながら叫ぶ治の頬を、春夫の大きな手が左右から挟み込んだ。「あんたもうるさい。隣のベッドで永井さんが寝てるんだぞ」「ふいはへん」「……全く」春夫は呆れたように言った。

2017-09-10 20:49:51
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春夫は手を離した。「それで、あのあとどうなったんだ?」「……檀くんに負けました。俺、偽物だってわかってても、どうしても檀くんを斬ることができなかった」「……」「先生にあんな大見得切ったのに情けないです。先生が大元の偽物を倒してくれなかったら、俺、檀くんに殺されてたかもしれない」

2017-09-10 20:54:32
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治は一度口を閉じ、両の手をぎゅっと握りこみ、迷いながらも言葉を続けた。「……それもいいなって、思ってしまった。生きるって決めたのに、今度こそ逃げないって決めたのに、死が少しでも近づいてくるとその決意が揺らいでしまう。あの地獄に帰るのもいいかなって……だから、負けたんだと思います」

2017-09-10 21:02:14
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「すみません」治は謝罪の言葉を口にした。春夫は溜息を吐く。治の頼りない背中がびくりと揺れた。春夫は頭を掻きながら治を見た。目が合わない。文字通り、合わせる顔がないということなのだろう。春夫は慎重に言葉を選びながら言った。「別に、勝った負けたはこの際どうでもいいさ」「……」

2017-09-10 21:11:23
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「あんたが生きて帰ってきた。それだけで十分だ。……その、つまりだ」春夫は治の頭に手を乗せ、ぎこちなく動かした。「……よく頑張ったな、太宰」「……っ」治の目から涙が零れ落ちた。「あっ、ありがとうございます、嬉しい、俺、すごく嬉しいですっ……今なら死んでもいい……」「だから死ぬな!」

2017-09-10 21:17:16
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最奥のベッドで荷風はこっそりと溜息を吐いた。喧しい。だが、会話に割って入る気にもなれなかった。もう少し寝たふりを続けてから頃合いを見て退散しようと目を閉じる。なんにせよ長い戦いは終わったのだ。今はそれでいい……。(……取材好きの彼ではないが、今回のことは本にして纏めておきたいな)

2017-09-10 21:26:40
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目を閉じたまま荷風はぼんやりと考える。今回は全員がそれぞれ見える場所で見えるものと戦って、そうして大半が『いつの間にか終わっていた』状態になっているはずだ。現に荷風自身も、自らが遭遇した敵が不運なまでに強敵だったことくらいしかわかっていない。

2017-09-10 21:34:52
シロ@〆最新節済 @siro_xx

このまま各人の記憶に流れるままではよくないだろう。図書館全員で挑んだ激戦の記録、それは形にして残しておくべきものだ。今後の教訓としても。「……よし」荷風は起き上がった。「永井さん?」「永井先生、気が付きましたか?」「僕はやることができたので失礼するよ。ああ、身体のほうは大丈夫だ」

2017-09-10 22:10:34
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司書と春夫は去っていく荷風の背を見送り、それから顔を見合わせた。「……あの人の考えることは俺にはわからん」「げ、元気ならそれでいいのでは……」「礼と詫びくらいは言わせてほしかったんだが……。仕方ない、後で直接部屋に行くか」春夫は微笑とも苦笑ともつかぬ顔をしながら肩を竦めた。

2017-09-10 22:14:31
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「浄化は済んだけど、結局、まだまだ謎は残ったまま、か」秋声は赤い紐できつく封じられた有碍書を見ながら呟いた。「それは追々政府の方が解明してくれるでしょう。僕達が今すべきことは、次の戦いに備えて十分な休息を取ることです」横から鏡花が言う。「わかってるよ」秋声はいつものように返した。

2017-09-10 22:23:27
シロ@〆最新節済 @siro_xx

そう。いつものように。「……やっと戻ってこれた」「そうですね」「鏡花とこんなやり取りをするのもなんだか久しぶりな気がするよ」「そうですか?まあ、確かに終盤は本当に戦ってばかりで会話らしい会話をする余裕もなかったですからね」

2017-09-10 22:30:16
シロ@〆最新節済 @siro_xx

秋声は苦笑する鏡花をちらりと見て、少し迷った後に口を開いた。「……何か食べに行かない?」「いいですよ。アルコールランプを取ってきますね」「君は……、はあ、まあいいよ。待ってるから」「はい」自室に向かう鏡花を見送り、まだ騒がしい図書館を見渡して、秋声は肩を竦め、笑った。

2017-09-10 22:37:35
シロ@〆最新節済 @siro_xx

【図書館大戦争(仮) おしまい】

2017-09-10 22:37:53
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