2017 年空想の街花の目覚め海の目覚め#毒と恋

2017年2月4日~2月5日にかけて行われる空想の街、花の目覚め、海の目覚めにて活用したタグ、#毒と恋 の取りまとめ。
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sawajimayura227 291view 1コメント
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  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-01-31 14:26:51
    #空想の街 #空想街愛室 薬来(やくらい)相馬 28歳、若き植物学者。 空想の街における花の目覚めの調査兼友人であるアリスの食堂における怪事件の相談に乗るために助手の佐倉万里と共に来た。性格は真面目だが毒を盛られた過去から臆病な面がある。左目が失明し眼帯をつけ、杖をついている。
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-01-31 14:32:57
    #空想の街 #空想街愛室 佐倉万里 薬来の助手の女性、24歳 強気で繊細、なおかつ素直になれないところがある。薬来が好きだが、過去の彼の身に起きた中毒事件を知っているため、自分の気持ちを控えている。 薬来の料理を先取りして食べる癖がある。かつて男性に嫌悪感を持っていた。
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-01-31 14:35:24
    アリス=ガーデンライト 空想の街の北区で食堂を経営してる。夫ともに暮らしているが、食堂経営がトラブル続きで難儀している。名前が可愛らしいのがコンプレックスな本人自身はかなりの肝っ玉母さん気質。 #空想の街 #空想街愛室
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-01-31 14:37:44
    シオン=ガーデンライト アリスの夫、気弱でアリスに支えられながら、食堂の経営者をしている。とてもアリスを愛している。 #空想の街 #空想街愛室
  • 毒と恋~はじまり~
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 02:44:10
    先生は気づいてないのだろうか、食事をする前に、顔色が青くなることを。 植物学者である薬来(やくらい)相馬の助手は、そっと自分のスプーンを掴んだ。 「先生、穴が開くくらい見つめても、料理がさめてまずくなるだけですよ」 先生はあぁと頷き、小さく笑う。 「あぁそうだね」 #毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 02:44:38
    「どうにもお腹が空かなくて」 先生は言う、でも助手は知ってるのだ。さっき先生が小さくお腹を鳴らしていたことを。お腹が減ってしょうがないのに、我慢してるのだろう。目の前の食べ物が怖くてしょうがないのだろう。これに毒が混じってたら……あらゆる毒に耐性のある男は恐れてる。 #毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 02:45:24
    助手は先生の前にある焼き飯をひと掬いする。そして先生の許可もなく、豪快に食べてしまった。 もくもくと食べてる助手に呆気に取られ、やがておずおずと先生は聞いた。 「大丈夫なのかい、君は」 けろりとした顔で助手は頷く。 「すごいおいしいですねー、塩っぱみがちょうどいい」 #毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 02:45:54
    「食べて、先生」 助手が言うと、先生はおずおずと焼き飯を見た。そうして銀の匙で掬って一口食べた。少し頬が緩む。 「そうだね、うまい」 それからスイスイと先生はご飯を食べ始めた。助手はそれに胸をなで下ろす。 あぁ良かった……ご飯を食べてくれた。もうそれだけでたまらない。#毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 02:46:52
    先生はご飯を食べるのが苦手だ。別に食べることに興味が無い訳では無い、むしろかつては好きな方だ。でも今は食べるのが怖い。口腔摂取するということに怯えてる。理由は簡単だ。 かつて愛した人に、毒を盛られた……その経験が深く心を抉っている。だから食べてまた、と思ってしまうのだ。#毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 02:47:22
    その運命がたとえ避けられないものだとしても、頭でわかっていても、体は正直だった。先生の毒で失明した左目を覆う眼帯を助手はそっと見る。 昼食を食べ終わると、杖をつきながら二人で外に出た。研究室のある大学へと向かう途中で、女子学生が男子学生にチョコレートを渡すのに出くわした。#毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 02:49:01
    「あれ、なんです?」 その現場を通り過ぎた後に、先生は頭をかしげた。まだ三十代には突入していないのに、世の中の流行り廃りには疎い先生だった。ここ数年で流行り出したイベントも知らないようだ。助手は言った。 「バレンタインというものだそうですよ」ばれんたいん……先生は呟いた。#毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 02:49:29
    その名を持つ聖者が恋人たちを応援していたという逸話を元に、お菓子会社が勧めているイベントだと話すと先生は何だか寂しそうに笑った。 「それはそれは、楽しいでしょうね」 「先生も学生からもらうかもしれませんよ」 「僕がですか? それはまた面妖ですね」大真面目に先生は言った。#毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 02:50:02
    先生は存外に人気があるんですよと言いかけて、助手は口を閉じる。言ってもあまり伝わらないだろう。左目の視覚を失い、杖をついて歩く様な身で何故と言い出す未来が容易に想像出来た。 先生は小さく息をつく。 「いやはや恋を応援するとは……そのお菓子会社も罪深い」 助手は先生を見た。#毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 02:50:40
    「どういうことですか」 先生は顔を伏せた。 「君は恋をどう思いますか?」 「ひどく恥ずかしい感情だとおもいます……自分がそれまでの自分でいられなくなるような」 「そう……恋は実ればとても楽しいですし、実らなくてもその思い自体は非常に甘美です」 だから思うんですね、私は。#毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 02:51:22
    「恋は毒だな……と」 助手は拳を握りしめた。 「中毒性があるのですか?」 「ええ、とっても。とてもあって恐ろしい」 助手は黙り込んだ。 頭の中で、家にあるトリュフチョコの姿を思い浮かべる。上手に作れたあれは先生へのプレゼントだった。 「そうですか」助手は掠れた声で言った。#毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 02:53:05
    口が乾き、寒々とした風が助手の体を通り過ぎた。#毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 14:11:15
    昔と言うには差し支える程の過去の話だ。二年前、先生は若いながらも新進気鋭の学者として日々研究に勤しんでいた。 彼自身が優秀だったということもあるが、その助手がすこぶるの才覚の持ち主だった。那月希(なつき)倫子、天から才を頂いたと褒めそやすほどの一族那月希家の忌み子だった。#毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 14:11:36
    彼女自身が何か悪い性質を持っていたわけではない。ただ呪われていた。 那月希の家は繁栄のために行った儀式で、神と契約していたのだが、神からその代わり一族最高の才を持った人間は、呪いを背負うのだ。お伽噺のような話だが、本当だった。彼女は恋をしてはいけなかった。愛する人を…… #毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 14:14:18
    殺すだろうと呪われていた。 そういう運命を背負っていた。 #毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 14:14:38
    当時先生は密かに倫子と付き合っていた。もちろん殺すという運命を承知済みで、そして結果として、毒を倫子は盛った。 運命に逆らえなかった……。 現在先生の助手を務める助手は、当時ゼミの学生としてそばにいた。 助手はその時から先生が好きだった。でも倫子も大事な友達だった。 #毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 14:14:50
    二人が幸せであればそれで良かった。でも運命はそうはさせなかった。倫子は収監され、代わりに助手は助手になった。 皮肉なことに助手となり、さらに先生の人となりを見て、自分の恋は加速した。どんどんと。 一度助手は倫子に手紙を送った。 先生を好きになったーー懺悔だった。 #毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 14:15:27
    その手紙の返信は来なかったけれど ーー。 「恋は毒ね」 家に帰って助手は呟いた。 寂しい言葉だった。 確かに恋は人をおかしくする。自分だってそうだ。先生がご飯を食べれるように、毎度毎度毒味をするのだなら正気の沙汰ではない。 でも先生が食べてもらえるなら何でもした。 #毒と恋
  • 佐和島ゆら @sawajimayura227 2017-02-03 14:15:55
    何でもできた。 つんと鼻の奥が痛くなる。 あぁたまらない、本当にたまらない。 先生はあの頃と違って何もかもに臆病になっている。いや生きることにすらきっと臆病だ。それでも愛しい。 あの優しい目で見られただけで、自分は何度も恋をするだろう。 今日はだめだ湿っぽい気分だ。 #毒と恋

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