東京Vvs浦安 GK&3バックの4枚でのボール前進のメカニズム 343vs442
ロティーナ監督の仕込んだ343は、442に対して「各選手を442の急所に配置したぞ!そのポジショニング優位で殴るぞ!」である事は前回(togetter.com/li/1075040)多少説明したので、今回はGK&3バックで実際にどのようにボール前進を図ったかを図解で見て行きたい
2017-02-04 00:26:12相手がプレスの開始ラインをセンターサークルの敵陣側先端〜ハーフウェーライン付近に設定している時(≒ブロックを形成して待ち構えている時)は前回説明した通り、中央のCBが深めに構え、左右のCBは相手2トップの脇でボールを受けるために、中央のCBより前に位置する pic.twitter.com/H4JgImi8Zr
2017-02-04 00:26:47しかし、試合中には相手が高い位置からプレスに来る事もある。その際にGKを利用して相手のプレスを回避できるかはボールを前進させる際に非常に重要。何故なら、GKをポゼッションに組み込む事で、フィールドプレイヤーが11人vs10人という図式になる(相手GKはプレスに参加できない)からだ
2017-02-04 00:27:00フィールドプレイヤーが1人多いという事は「必ずフリーの味方が1人居る」という事でもある。安定してボールを前進させるためには味方がオープンな状況でボールを持つ事が重要で、GKをポゼッションに組み込む事ができればフリーの味方を作る事が容易になる(≒足元の優れたGKが必要とされる理由)
2017-02-04 00:27:11ロティーナ監督は相手が高い位置からプレスに来る事を想定して、GK&3バックの4枚でプレスを回避し、ボールを前進させる策を仕込んだ。中央のCBが少し上がり、左右のCBは左右に広がる&自陣方向に落ちて、GKを加えた菱形を形成する pic.twitter.com/rbvXNmilZu
2017-02-04 00:27:48前回の解説でも出てきた“菱形”。菱形ということはやはり対角線の概念がある。図だとGKから中央のCBのパスコースが対角線となり、「相手ゴールに一番近い&ピッチの中央」。なので、相手はここを優先的に切らざるを得ない。中央からボールを前進させられる事は避けなければならないからだ
2017-02-04 00:27:58この場合、相手2トップはまず間を狭めて中央のパスコースを閉じ、中央のCBをケアしつつ、左右にボールが出た際は片方のFWが寄せる。右に出たら右FWが寄せて左FWは中央のCB。左に出たら左FWが寄せて右FWは中央のCB。所謂“釣瓶の動き” pic.twitter.com/LULkF6yvm5
2017-02-04 00:28:35しかし、4vs2では当然プレスはハマらない。攻撃側はGKに一度戻す事で安全に逆サイドのCBにボールを運べるし、そこからCBが持ち上がってボールを前進させる事ができる。ポゼッションにGKを組み込む事ができるとこうした利点がある pic.twitter.com/UkNESCMDuU
2017-02-04 00:28:57ここからは東京Vvs浦安のTMで実際に何が起こったか。GK&3バックの4枚でのボール前進、ビルドアップに対して、浦安はどういう対応をしたかを解説していく
2017-02-04 00:29:02浦安が採った対抗策はこれまたセオリー通りの対応だった。「SHを1列上げて、2トップ&SHの3枚を3バックにそのままぶつけてきた」のである。数的同数によるプレス。TM1本目、林、井林、畠中の3バックはこの対応に非常に困る事になった pic.twitter.com/QlFLOXvTEb
2017-02-04 00:29:28この場合、東京Vが採り得る策は幾つかある。「相手の前3枚の間にDHを落としてボールを受けさせる」「相手SHが1列前に移動した事でフリーとなっているWBにパスを通す」「WGが落ちてきて受ける」「CF目掛けて蹴り飛ばす」などである
2017-02-04 00:29:35まず「相手の前3枚の間にDHを落としてボールを受けさせる」。相手の前3枚は左右に大きく広がった3バックを捕まえるために同じく左右に広がらざるを得ない。その隙間にDHを落として受けさせるというもの pic.twitter.com/avLi6Do7pS
2017-02-04 00:30:02試合前練習でもDH橋本が縦パス受けてスムーズにターンする練習を繰り返していたように、ロティーナ監督は数的同数プレスに来られる事を見越して準備していた。ビルドアップに詰まった時はDHがこのエリアに顔を出して受ける事を求めていたし、「必要のない時は下がるな」と釘を刺す事も忘れていない
2017-02-04 00:30:10ただし、実際はDHが顔を出すタイミングが悪く、橋本も井上潮音も試合中に「パスコース(を作れ)!」とベンチから連呼される事となっている。実装のために準備、練習は重ねているが、頭で考えずとも自然と体が動くレベルに達するまではまだ時間が掛かるようだ
2017-02-04 00:30:20次に「相手SHが1列前に移動した事でフリーとなっているWBにパスを通す」。試合中も浦安の左SHが1列前に移動した&相手左SBを右WG高木三男がピン留めしていた事で、右WB澤井が常にフリーとなっていたが、浦安のプレスに苦しむ4人はパスを通せず pic.twitter.com/ZBZMJLbgum
2017-02-04 00:30:48試合中にはGKに対して「一度CBに当てて、戻しをWBに直接通せ」と指示が出ていたが、GK武田も足元の技術に特に優れるわけでは無いので上手く行かず。試合翌日のトレーニングでは早速GKからWBへライナーを通す練習が設けられる等、「GKのキック練習は今までになく多い」とのこと
2017-02-04 00:30:57仮にGKからWBに通せた場合の事を考えてみよう。相手SHが1列前に上がっているのでWBはフリー。ただし幾らフリーとはいえ、GKが蹴ったボールが届くには時間が掛かる。目の前のWGのマークを捨て、相手SBが必死にスライドする事は可能 pic.twitter.com/mgYgoCyAlZ
2017-02-04 00:31:27ここでもう1つの「WGが落ちてきて受ける」が活きてくる。WGのマークを捨てて相手SBがWBに行くと、当然引いて受けるWGがフリーに。普通であれば落ちて受けるWGにそのまま付いて行くが、そうなるとWBがフリー。加えてその先には広大なスペース pic.twitter.com/HoAO86TAjv
2017-02-04 00:31:50実際にTMでも、高木三男がGKからのボールを受け、背後のスペースに走るWBにパスを通すシーンは何度かあった。このように、相手SBにマークすべき相手を2人押し付け、守備の基準点を狂わせる事でサイドからボールを前進させる狙いは既に見られる
2017-02-04 00:31:58そして最後の「CF目掛けて蹴り飛ばす」である。相手が連動してプレスに来て、手近なパスコースを全部塞がれる、またはどこにパスを出すか判断の時間が無い場合、CF目掛けて蹴り飛ばすのは極めて現実的な手段である。そのために「ハイボールを競り勝てるCFが居るか否か」は試合結果に直結してくる
2017-02-04 00:32:07ハイボールを競り勝てるCFが居ない場合、相手はGKまで躊躇なくプレスを仕掛ける事で、ボールを回収できる目処が立つ。相手のプレスも躱せない、苦し紛れに蹴ってはまた回収される、の繰り返しでは何時まで経ってもボールを前進させられないどころか、失点は時間の問題となる
2017-02-04 00:32:15その点、東京Vはドウグラスと平本という空中戦でもそれなりに競り勝てるCFが居るので、「最悪蹴り飛ばせばいい」は成立する。ただし、徳島のように近年は大型CBを擁するチームが増えてきているので、そういうチーム相手の試合では相手の出方を注視しなければならないとも思う
2017-02-04 00:32:27GKをビルドアップに組み込むメリットをもう1つ述べておくと、相手を自陣に引き込む事で、「相手DFラインとGKの間にスペースを作り出す」事ができる。GKを組み込んだビルドアップに対して単発のプレスを仕掛けても、前述のように躱されるのが道理。なので、相手は連動してプレスを仕掛けてくる pic.twitter.com/76WKCELod5
2017-02-04 00:33:16連動してプレスに行くためには、DFラインを高く保ち、選手を次々送り込まなければならない。すると、DFラインとGKの間にはスペースが生まれ、抜け出せば大チャンス。相手がそれを嫌ってDFラインを上げないとすれば、中盤が間延びしてDHやWGがボールを受けられる pic.twitter.com/Aa5xiJ3cP0
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