悠久なる世界の欠片 第四部

レクリウスとマリューシャの物語。 不定期 & 虫食い 連載
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目次と設定

まとめ 悠久なる世界の欠片 目次&設定 「タイトル未定の物語」から、正式タイトルへ改題。 同時に、長くなってきたので第×部ごとに分割。 物語のあっちこっちを飛び飛びに呟くごとに更新。 更新は不定期。 ゆえに、不定期連載にして虫食い連載 なのは相変わらず。 3637 pv 59

第四部

第四部第一話より ~ 次期国王誘拐事件

次期国王誘拐事件 ─ 発端
夢乃 @iamdreamers

夜もすっかり更け人通りの消えた裏道を、マントとフードに身を包んだ人影が通り過ぎていった。その向かう先には高い塀が見える。城を囲む城壁だ。人影は城壁の脇に出ると、城壁に沿って進路を変えた。 #twnovels

2015-06-14 23:15:17
夢乃 @iamdreamers

そのまま城壁の脇を暫く歩く。何気なく歩いているように見えるが、その意識は城壁の内側に向いている。 (結界は弱い、な。この程度なら気付かれることもない・・・) 城壁に沿って2テナーほど進んだところで、人影は歩みを止めた。 #twnovels

2015-06-14 23:15:38
夢乃 @iamdreamers

(あの辺りか) 前後の気配を探る。人の気配はない。と、その姿が掻き消えた。後には夜の静寂が残るのみ。 #twnovels

2015-06-14 23:15:59
夢乃 @iamdreamers

人影は城の中庭に現れた。二階を見上げると、部屋の位置を確認する。照明は消えているが、月明かりだけで目的の部屋はすぐにわかった。もう一度周囲の気配を探り、誰も来ないこと確認すると、その姿を再び消した。 #twnovels

2015-06-14 23:16:36
夢乃 @iamdreamers

次にその人影が姿を現したのは城の中の一部屋だった。人の気配を探る。そう広くはない、しかし、一人の子供が休むだけには充分に広い部屋の中央に置かれたベッドの上で、少女が微かな寝息を立てている。 (楽勝だな) 人影はそっとベッドで眠る少女に近寄る。 #twnovels

2015-06-14 23:17:15
夢乃 @iamdreamers

(ん?) 手を伸ばせばベッドに手が届くほどの距離まで近寄ったところで、人影はふと歩みを止めた。 (これは、結界?かなり強いな。これを誤魔化して近寄るのは・・・難しいか・・・) #twnovels

2015-06-14 23:17:58
夢乃 @iamdreamers

暫くその場に立ったまま、考えを巡らすようすを見せる。 (仕方がない。時間もないことだし、ちょっと魔力を使うが、この方法しかないか・・・) 方針を決めると、人影は即座に実行に移した。 #twnovels

2015-06-14 23:19:13

夢乃 @iamdreamers

与えられた寝室でまどろんでいたレクリウスは、ふと目を覚ました。自分は今、何を感じたのだろう?何の気配も感じられない。マリューシャに与えた首飾りの結界にも異常はない。 そのまま再び眠りにつこうとする。そこでレクリウスは完全に目を覚ました。 #twnovels

2015-06-14 23:20:24
夢乃 @iamdreamers

(結界が感じられない?まさかっ) レクリウスは飛び起き、マリューシャの寝室に続く控えの間の扉を勢い良く開けた。控えの間で眠っていた二人の侍女の一人が目を覚まし、レクリウスが寝室への扉を開けようとしているのを気付くと飛び起きた。 #twnovels

2015-06-14 23:21:00
夢乃 @iamdreamers

「レクリウスさん、マリューシャ様の寝室ですよ!いくら護衛でも、私たちを通してください!」 数年来マリューシャの身の回りの世話をしている侍女のメイニーは声を上げた。 「緊急事態だ」 レクリウスはそれに構わず、寝室への扉を開けた。 #twnovels

2015-06-14 23:21:52
夢乃 @iamdreamers

(くそ、やられたっ) 寝室にマリューシャの姿はなかった。いや、マリューシャだけではない。彼女の眠っていたはずのベッドも消え、ベッドのあったあたりの床も丸く抉れている。 (俺の結界ごと、瞬間移動したか) #twnovels

2015-06-14 23:22:33
夢乃 @iamdreamers

魔力を放出し、部屋の外、中庭までを探るが何も発見できない。 「マリューシャ様!」 そこへ、寝室へ入ってきたメイニーが叫び声をあげた。続いて入ってきたもう一人の侍女セルニアは、マリューシャが消えたことを知ると声もなくへたり込んでしまった。 #twnovels

2015-06-14 23:23:15
夢乃 @iamdreamers

「騒ぐな」 マリューシャの護衛を受けてからこの二人にも剣の手ほどきをしているが、突発自体への対応には対応できないか。 「すぐにこのことを伯爵へ連絡しろ。その後は伯爵の支持に従え」 「・・・レクリウスさんは」 「俺はすぐに後を追う」 #twnovels

2015-06-14 23:24:23
夢乃 @iamdreamers

それだけ言うと、レクリウスの姿は部屋から忽然と消えた。二人の侍女は暫く呆然としていたが、 「伯爵に報告に行くわよ」 先に我に返ったメイニーはセルニアを促し、ことの次第をアルザイン伯ラックハウトに知らせるため、部屋を飛び出した。 #twnovels

2015-06-14 23:25:19
次期国王誘拐事件 ─ 追跡
夢乃 @iamdreamers

深夜。割り当てられている部屋で眠りについていたラックハウトは侍従によって起こされた。 「伯爵。マリューシャ様付きの侍女が緊急の要件で目通りを求めております」 「こんな夜更けに?」 彼の眠りは深かったが、侍従の言葉ですぐに覚醒した。 #twnovels

2015-09-23 17:03:53
夢乃 @iamdreamers

とはいえ、完全に覚醒するには無理がある。 「マリューシャの侍女が?メイニーか?セルニアか?」 「いえ、二人共に来ております。どうします?朝まで待たせますか?」 ラックハウトは少しだけ考えると頭を振って答えた。 #twnovels

2015-09-23 17:04:22
夢乃 @iamdreamers

「二人共マリューシャの下を離れて来たということは、余程のことだろう。すぐに通しなさい。それから、私に熱い茶を頼む」 「かしこまりました」 侍従が立ち去ると、ラックハウトはベッドから降り、寝巻きの上からガウンを羽織ってベッドに腰掛けて待った。 #twnovels

2015-09-23 17:04:52
夢乃 @iamdreamers

待つほどのこともなく、侍従は二人の侍女を伴って部屋に戻ってきた。すぐに茶の準備のために部屋を出る。三人になったところで、ラックハウトが二人に尋ねた。 「何があった?」 侍女の二人はしばらく目を見交わしていたが、意を決したようにメイニーが話した。 #twnovels

2015-09-23 17:05:37
夢乃 @iamdreamers

「マリューシャ様が何者かに攫われました」 「何だと。レクリウスはどうした」 彼は思わず立ち上がり、怒鳴りそうになりそうな声を抑えて言った。 「レクリウスさんは真っ先に気付きました。気付くとすぐに、マリューシャ様の捜索に飛び出して行きました」 #twnovels

2015-09-23 17:17:20
夢乃 @iamdreamers

「そうか」 ラックハウトが考え込んだところへ侍従が茶を載せた盆を持って戻ってきた。 「お待たせしました」 「ああ、すまんな」 茶を受け取ってそのまま言った。 「ダナンを呼んでくれ」 「かしこまりました」 #twnovels

2015-09-23 17:06:51
夢乃 @iamdreamers

再び侍従が出て行ってから、娘の侍女二人に控えの間で待つように言って、着替えにかかった。扉がノックされたのはまだ着替えが終わる前だった。 「入れ」 「お呼びだそうですが」 深夜に呼び出された護衛隊長は眠気も見せずにラックハウトの前に立った。 #twnovels

2015-09-23 17:07:25