Rickyさんによる、MMTの金融不安定性(ミンスキーテーゼ)の話。

PMとはPositiveMoney派の事です。http://positivemoney.org/
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wankonyankoricky @wankonyankorick

これはおいら自身も過去にあまり書いたことなかったけれど、MMTは「貨幣はだれにでも発行できる」と言い「100%準備は無理」と言ってはいても、いわゆる「アセット・バブル」と言われるような現象(ただし「バブル」かそうでないかは、それほど問題ない)を問題視していないわけではない。

2017-02-27 08:47:11
wankonyankoricky @wankonyankorick

ただ、たとえばサブプライムローン問題をやり始めると、ABSとか証券化とか難しくっておいらも及び腰になっていて。。。。意味が分からないこともあれば、意味が分かっても日本語でどう訳したらいいのかわからなかったり。。。

2017-02-27 08:50:44
wankonyankoricky @wankonyankorick

実際、MMTの成立の経緯から言ったら、政府負債の問題よりは民間債務の問題の方(金融不安定性仮説/スペシャル・ミンスキー・テーゼ)のほうが重要だったりするんで、、、、紹介というにはちょっと片手落ちだったんだよな。。。。。

2017-02-27 08:52:52
wankonyankoricky @wankonyankorick

PMの考え方で一つ気に入らないのが、100%準備制度のもとで、ベースマネー=マネーの必要量を中央銀行が潜在的経済成長率を基準に定める、という考え方で、これはMMTが「弾力的な準備貨幣(およびマネー)の供給」によって経済を安定化させようとする考え方の正反対を行くわけで。

2017-02-27 09:08:08
wankonyankoricky @wankonyankorick

MMTでアセットバブル(と言うより資産価格の上昇)が問題視されるのは、一つには資金調達の方法がヘッジ金融からポンツイ金融へと移行するにつれ(そしてその以降は必然的だ)金融脆弱性が増す、ということなんだけれど、あと一つは、所得に占める資産収入(金利や配当)の比率が高まったことで

2017-02-27 09:48:40
wankonyankoricky @wankonyankorick

これが所得格差や、バブルでもなんでも無理やり資産価格を引き上げなければならない金融構造を生み出している、という話で。現代の銀行システムによってABSの証券化を通じて資産価格の異常な高騰を生み出されている、というのは事実だとして、じゃあ、銀行システムにそれができなくなれば

2017-02-27 09:51:13
wankonyankoricky @wankonyankorick

それで問題解決か、というと、そうもいかないと考えているんだと思う。

2017-02-27 09:53:27
wankonyankoricky @wankonyankorick

資産価格の高騰より、その背景にあるそうせざるを得ない状況を取り上げる必要がある、と。資産バブル自体は、歴史的に繰り返し発生する状況なんだけれど、それぞれの時期に固有の制度的アレンジメントがあって、2007年から発生した世界的な金融危機を引き起こしたような構造・制度的アレンジメント

2017-02-27 09:57:03
wankonyankoricky @wankonyankorick

を、ミンスキーに倣ってMMC (Money Manager Capitalism)と呼んでいる。

2017-02-27 09:58:06
wankonyankoricky @wankonyankorick

例えば、証券化の手法自体は銀行に対する規制監督が強かった「管理資本主義」の時代に、銀行がリスク資産を「オフ・バランス」するために開発された「イノベーション」だったわけだけれど、金融自由化が進むにつれ資産価格を引き上げ、発生主義会計のもと、銀行がキャッシュフローを得る前に

2017-02-27 10:03:48
wankonyankoricky @wankonyankorick

利潤を計上する手段として定着していった。同じ一つの金融手法が制度的構造の変化に伴い役割を変化させてゆく(そしてそれがまた制度や構造を変化させてゆく)描写は非常に面白い。、、、んだけど、金融取引の話にはなれていないので、よくわからないところも多い。。。。

2017-02-27 10:06:32
wankonyankoricky @wankonyankorick

(たまに「あ、そいや、うちでもこういうこと、あったなあ。。。。」ってな話になると、がぜんイメージがわくのだが、そのせいで偏った理解になっていることは疑いない。。。。)

2017-02-27 10:08:51
wankonyankoricky @wankonyankorick

ABSの証券化が進むと、銀行の審査や引き受け(アンダーライティング)業務の性格にも変化が生じる。銀行は貸付によって先にリスクをとり、金利収入によって後から収入を計上するのではなく、証券化によってキャッシュフロー以前に収入を計上するようになる。そうすると貸付け時の審査なんか

2017-02-27 10:12:28
wankonyankoricky @wankonyankorick

無い方がいい、ということになる。それと同時に「金融自由化」「小さな政府」の流れの中で、規制監督当局の権限が縮小され職員数が減らされ、チェック機構が行き届かなくなる。

2017-02-27 10:14:13
wankonyankoricky @wankonyankorick

証券化により利潤が大きくなればなるほど(金融産業界によるロビー活動はともかくとして)、こうした「自由化の恩恵」が説得力を持つかに様に見えるようになり、銀行は巨額の利益を手にしながらリスク資産はシャドー・バンクの手に渡り目に見えなくなる。

2017-02-27 10:17:17
wankonyankoricky @wankonyankorick

審査やアンダーライティング業務の変質に伴い、モーゲージやABSによって資金を調達する層にも変化が出てきて、ポンツイ金融が当たり前になる。これを推し進めたのは資金を提供する側であるはずの銀行自身だった。

2017-02-27 10:19:47
wankonyankoricky @wankonyankorick

銀行は、リスク資産を審査し、連結対象でないノンバンクに転売し、ノンバンクが組成した証券のアンダーライティング業務を行い、原資産の発行者に対するサービサー(回収業者)となったが、リスク資産そのものを直接保有することはなくなった。原資産はあくまでも非連結のノン・バンクの保有となった。

2017-02-27 10:25:19
wankonyankoricky @wankonyankorick

だから銀行自身は、リスクのある貸付先(婉曲にサブ・プライムなどと呼ばれていた)でもなんでも、担保になり得る資産を借金で買わせることに傾注することになる。まあ、おいらの関心に即して言えば、こうして欧米における「ホワイトカラー層の高付加価値業務」やら「効率的な金融」が実現したわけだ。

2017-02-27 10:28:46
wankonyankoricky @wankonyankorick

アメリカでは、終戦直後には銀行の保有資産の40%を政府の債務が占めていた。これが金融を安定させ、『資本制の黄金時代』を支える要因の一つになっていた、、、というのがWray & Tymoign の見解。

2017-02-27 10:30:52
wankonyankoricky @wankonyankorick

金融ビジネスの変容の理由は、勿論それが金儲けにつながるからというのが一番なんだけれど、実際には一方で年金受給者や年金資産の残高が増える一方でこれらの資産に対するコミットメントを実現できる国内の投資フロンティアが減少していったという事情もある。

2017-02-27 10:34:42
wankonyankoricky @wankonyankorick

国内の投資フロンティアの縮小や資産所得で生活する層の増大といった課題をそのままにして、金融だけを規制だけしても(実効性のある規制監督の強化自体は必要不可欠だとしても)経済は(国民生活を安定させる、という意味で)安定しないだろう。

2017-02-27 10:44:43
wankonyankoricky @wankonyankorick

その意味では、マーケット・メカニズムを利用したほうがいい。ただしそれは金融産業が好き勝手に資産価格を膨らませることができるようにする、ということではなく、きちんとリスクをとれるようにする、という意味。莫大な報酬を得ながらリスクが顕在化した時には救済される、ということでは市場を

2017-02-27 10:50:19
wankonyankoricky @wankonyankorick

救うことにはならない。ベイル・アウトは決済システムを守るために行われるべきであって(そしてそれは中央銀行が弾力的な資金供給をできれば大体十分)、銀行やノンバンク産業を保護するためであってはならない。

2017-02-27 10:52:57
wankonyankoricky @wankonyankorick

非プライム層にポンツイ金融が蔓延したのは、銀行の側にそれを推し進めるインセンティブをもたらす金融商品が開発されたせいもあるが、こうした人々の賃金給与所得が不安定になり、ヘッジ金融による借り入れができなくなったことにもよる。給与賃金所得を安定させることが出来なければ

2017-02-27 11:03:25
wankonyankoricky @wankonyankorick

ポンツイ金融をなくしてしまったら、こうした人々が住宅を入手する機会は失われ、国内の投資フロンティアはますます縮小する。

2017-02-27 11:04:03