瀧本哲史・京都大学客員准教授流・試験監督事始メ

瀧本哲史氏( @ttakimoto )が、入試・定期試験の際の試験監督の心得を明かしてくださいました。 カンニング防止・摘発のためにここまで戦略的に手を打っているとは思いませんでした。とても面白い読み物になっています。
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瀧本哲史bot @ttakimoto

さて皆寝静まったと思うので、試験監督の話をしよう

2011-03-05 02:06:10
瀧本哲史bot @ttakimoto

まず、確認として、試験監督というのは教員の「雑用」として、頑張っても全く報われないどちらかというと租庸調の庸に近い。もっとも、入試関係では試験問題の袋詰めという割り当てがあって単純作業なのに他の人も含めて誰かが間違えると管理区間から帰れないというのに比べれば相対的には良い

2011-03-05 02:10:14
瀧本哲史bot @ttakimoto

私が、某京大学助手時代にしたのは入試と定期試験である。漫然と作業するのは人生の無駄なのでこの際精度の高いオペレーションを作ろうと思った。実績としては幾つかの不正を発見し、また、幾つかの不正を未然に防いだ。多分、3σぐらいの外れ値の成果を上げていると思う

2011-03-05 02:13:08
瀧本哲史bot @ttakimoto

他の場面では直接役に立たないノウハウだが、捜査方法の一部を共有、公開することは、一般予防的にも不正を減らすことが出来ると思うので、カウンターがしにくいものを中心に紹介しよう

2011-03-05 02:15:33
瀧本哲史bot @ttakimoto

まずは入り口での本人確認だ。これは替え玉防止策の意味がある。wikiにもあるように http://bit.ly/hCoGLh 実は結構ある。津田塾事件については http://bit.ly/gnCSpF これは私文書偽造になる。ウェブ試験を代わりに受けるのもそう

2011-03-05 02:21:35
瀧本哲史bot @ttakimoto

写真の張り替えは、入学書類との照合で解決するほかないが(さらには公的身分証明書との二重チェック)まずは貼ってある写真と来ている人との照合がある。これは入管とかでも問題になる。特に女子高校生は学校で集団で撮っている本人写真と実物が結構違う(笑)せいぜい数秒で見分けねばらなない

2011-03-05 02:25:24
瀧本哲史bot @ttakimoto

チェックポイントは目鼻耳口の相対的位置と首と手である。目鼻耳口の相対的位置は整形しても変わらない。これは戦後のナチスハンターでもよく使われたあとは、手と首である。これは結構年齢が出て隠せないので不自然な人ははじける

2011-03-05 02:27:39
瀧本哲史bot @ttakimoto

受験生を教室に誘導しきったら次にすべきこと。それはトイレの「消毒」である。消毒とはスパイ用語で盗聴器発見だが、この文脈ではトイレに教科書や通信機器が仕込まれていないかチェックすること。良くトイレに行く前にチェックするという対策があるがトイレにあらかじめ仕込む手がある

2011-03-05 02:31:32
にゃこ @nyakosama3

@ttakimoto 替え玉さんが「本人」と言い張ったらめんどくさいですよね。お前は偽物だって立証が難しそう・・。僕が試験官だったら告発する勇気をもてるだろうか。

2011-03-05 02:33:23
にゃこ @nyakosama3

@ttakimoto 服の中に仕込む⇒トイレ個室で確認という手も。。

2011-03-05 02:34:14
瀧本哲史bot @ttakimoto

何で今回このノウハウを提供するかというと誰にでも出来て、この方法を誰もが使っている可能性があるとなると、不正のリスクリターンが悪くなることで予防が出来るから。別に教員でなくても、院生でも職員でも出来る内容ではある。

2011-03-05 02:34:17
瀧本哲史bot @ttakimoto

@nyakosama8 トイレに行く人の数は少ないので身体検査対応が可能

2011-03-05 02:35:10
瀧本哲史bot @ttakimoto

次に試験監督の最大の問題点は、本来不正の発生確率がきわめて低いので、監督対生徒の比率が低いことである。つまり500人いる試験でも某京大学の場合、数人しか監督がいない。某私立大学では二十人に一人という配備状況。しかしこれは教員、職員にとてつもない負担

2011-03-05 02:38:27
瀧本哲史bot @ttakimoto

それでは少ない戦力でどうやって対応するか。試験の前はそれなりに緊張しているのでじっとしている人が多い。ところが潜在的に不正を行う学生は体の挙動が極端に多い。これは教室全体を広く見ているとわかる。この段階で動きの多い上位10%ぐらいにターゲットを絞る。

2011-03-05 02:42:11
瀧本哲史bot @ttakimoto

重点監視対象を作るというのが結構ポイントで、試験開始をしてからも不自然な姿勢をとっている学生を重点的にリストアップする。そして試験場全体に監視対象をマッピングするイメージ

2011-03-05 02:43:30
瀧本哲史bot @ttakimoto

挙動不審者の検出をあげるもう一つの工夫としては、試験開始前に不正行為に関するアナウンスをして反応を見るというのもある。人間は意識してなくても、嘘をつこうとすると身体が反応する。また、こうしたアナウンスをすること自体、リスクの告知によって防止する効果がある。

2011-03-05 02:46:50
瀧本哲史bot @ttakimoto

監視対象者が決まったら、試験開始。試験中は机間巡視を行う。ポイントは、まずは二回ルートを決めて回ること。不正を行うものは目の前に監視者がいるときはリスクを避ける。机間巡視は動いたり止まったりする。停止点は監視対象者付近。そして、近づいたときと離れるときの反応の違いを観察する

2011-03-05 02:51:01
瀧本哲史bot @ttakimoto

不正を行う時には試験の最初の十五分ぐらいで何らかのアクションがある。もともと解答時間には余裕がないから最初の段階で動きがある。最初に規範を超える勇気がないとだんだんプレッシャーが上がって出来なくなる。したがって初期段階で監視しているぞ感を出すことが未然防止になる

2011-03-05 02:53:25
瀧本哲史bot @ttakimoto

さて、巡視も三回目以降になると相手側はこちらの動きを読めるようになる。そこで実は、巡視しているときに歩いている近くを見ているふりをして、自分が通り過ぎたブロックや離れたブロックの監視対象者の動きを見る。彼らは警戒を弱めアクションをとっているはずだ。

2011-03-05 02:56:22
瀧本哲史bot @ttakimoto

一旦動きがあったら、基本巡視ルートを無視して、対象者の死角から一気に近づく。一度ことに及んだら、証拠隠滅をはかるのは難しいので慌てる必要はない。私の頃に見たことあるのは六法への書き込み、カンペっぽいものの仕込み。トイレへの仕込みを試験開始前に回収したこともある

2011-03-05 03:00:19
瀧本哲史bot @ttakimoto

試験中に摘発するのは他の学生への影響も多いし、プライバシーの問題もあるので試験終了後、出口で待ち伏せをしてさりげなく、任意同行を求めるだいたい累犯でトイレに行った学生をトラッキングすると頻度に外れ値がある。この後のプロセスをどう教育的なものにするかは各大学次第だ

2011-03-05 03:03:26
にゃこ @nyakosama3

@ttakimoto トイレへの仕込みの持ち主の特定とかはできたらやるんですか?実際カンニング行為はしなかった(できなかった)にせよ、そういうことを企てた人物の警戒もしくは排除という意味で

2011-03-05 03:03:55
瀧本哲史bot @ttakimoto

@nyakosama8 その人は必ずトイレに行く。そして、幾つかある個室の中でその特定の個室しか使わない。そしてトイレに行く人をトラッキングしておく。よりエスカレートさせるときには、トイレからびっくりして出てきたところでこれを探しているのと押収物を突き出す。

2011-03-05 03:06:23
瀧本哲史bot @ttakimoto

そこまでやるのか、という意見もあるだろうが、こうした小さな不正を見逃すと、どんどんエスカレートして、その学生が社会に出たときにより大きな悪をなす可能性もある。だからこそ、今、あなたが、そこで勇気を持って食い止めなければならない

2011-03-05 03:09:42