劇場出没2017(だいたい全部)

音楽・芝居・映画など劇場へ出向いたことを、記憶に代えて自分用でまとめ完了。
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ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

子供鉅人「マクベス」(本多劇場)初日。この芝居がこれほど、邪悪で禍禍しいかを全開で示されることは滅多にない。 主役2人の役と役者の性を入れ換えた意図はわからないのに、大成功なのははっきりしている。 見逃すのが惜しい出来栄えでした。開演前に少し雪。

2017-02-10 22:57:49
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

栗山民也演出「蝶々夫人」(新国立劇場)。第1幕は長すぎて退屈。 第2幕は主人公が悲劇のヒロインになると自覚して一貫した舞台になり、すべて自分で引き受けようとするタイトルロールに安藤赴美子もふさわしかった。ピンカートンは、子どもまで母親の死に立ち合わせられるのに、一人だけ現実逃避。

2017-02-12 00:33:35
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

永井愛の傑作では最後に思いがけないメッセージがある……いや単純に驚きというべきか。 二兎社「ザ・空気」(東京撃術劇場)はそこまで深く入りこんでくる感じがなかった。 主人公の番組編集長は預言者で、避けたいことを口にしては実現していく。最後に用なしとなるのは役割として当然かも。

2017-02-16 23:05:15
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

「ザ・空気」での2年後は預言外だから(編集長の重要な行動も記憶がないし)、唐突なのかも知れない。登場人物はすべて敗北し、現場を去ってしまう。「この一線は譲れない!」という戦いがくりひろげられる。その一線を人が行ったり来たりしているのかといえば……

2017-02-16 23:10:19
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

「ザ・空気」では譲れない一線こそ自在に動いているのかも知れない。編集の若者もキャスターも、みずからの説明と別に、譲れないにともなうであろう責任感がどこにもない感じ。そして一線を動かした連中は(声だっておそらく作り声で)舞台上に現れず、生きているかも定かでない。

2017-02-16 23:15:19
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

「ザ・空気」は、「鴎外の怪談」ほどでなかったものの斎藤緑雨で盛り返した「書く女」、「敵」が素敵に立てこもる「歌わせたい男たち」、卒業劇でありつつ「愛」(作者のことでありません)を解剖したような「見よ、 飛行機の高く飛べるを」、そんな「動く一線」への関心に位置づけたくなった。

2017-02-16 23:20:16
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

野田地図「足跡姫」(東京芸術劇場)は、手がかりが見つかられなければ全部わからなかった、つまらなかったという感想で不思議もない。メッセージを探そうにも、史実と触れた瞬間、不確かな人物(まがい者)があふれだしてくる。芝居の約束ごとから一つ一つ丹念に逃れて、しかも行き着く先は終始曖昧。

2017-02-16 23:25:09
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

「足跡姫」は、猿若座とか十八代目とかほのめかしにもかかわらず、真正につながる者は舞台上にいない。あるのはイメージに結晶しないようなノイズばかり(唖然とするような美しい場面がなかったのは、無関係に残念でしたが)。 たしかに面白がっていたのに、説明しようとすればたちまち不得要領……

2017-02-16 23:55:11
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

「クルターグ・テント『遊び』をめぐって」(ザ・フェニックスホール)。 まったく知らずにいた作曲家の「小品」をたっぷり。1曲めを耳にした瞬間、素晴しい曲で現存作曲家でもっとも重要な一人という説明通り、と。音の必然性というのか、少ない音なのに力強く迫ってきた。知性とユーモア。

2017-02-27 18:50:04
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

クルターグは、しろうとからすれば、ていねいに説明されないと思いがけない姿までたどりつけそうにないのがほとんどかも(ザ・フェニックスホール)。最少限の音といっても、短いのをしつこく繰り返す怠惰とまったく違うし(クラスターだと豊潤)、編曲ないし書き替えも、エッセンスを変形している。

2017-02-27 19:05:06
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

「ラインの黄金」(びわ湖ホール)。ミヒャエル・ハンペの演出は、いかに新機軸を打ち出すかより、「ワーグナーの要求に正当に応える」を前面に出している点で、十分驚ける。舞台全体で何が示せるかを優先して、シェローのような緻密な演技を歌手に求めていない。それでもローゲはおいしい役。

2017-03-04 19:05:46
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

ハンペ演出の「ラインの黄金」(びわ湖ホール)はにもかかわらず、資本制の泥まみれであることを浮き出している。鑑賞の対象であった黄金は欲望の対象となり、ヴォータンが流通させることになる(そこからは貨幣めいてくる)。しかもその端緒がアルベリヒの「盗み」だと正当化したのに、どんどん……

2017-03-04 19:13:18
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

「ラインの黄金」(びわ湖ホール)わかりやすい演出で思いがけない発見もあったけれど、舞台が暗く、役ことに異なる衣装の微妙な色合いがカーテンコールにようやく明らかとなったのは残念。 ヴォータンがもっと力強く横暴で、アルベリヒがどんどん邪悪になっていく風であってよいのでないかしら。

2017-03-04 19:20:36
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

「ラインの黄金」(びわ湖ホール)2日目。 ヴァーグナーの音楽は雰囲気を形成し、少しずつ推移する。一気の転換はまずない(のでニーベルハイムへの高速エレベーターもない)。演出家も指揮者も、場面と音楽を合わせようと努めていた。その頂点がアルベリヒ退場の場面(1日目は気づかず)。

2017-03-06 18:55:05
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

「指環」全体でアルベリヒは、ヴォータンともどももっとも強い意志の持主。「ラインの黄金」ではことごとく挫かれ貶められる。その屈辱が、世界支配の裏返しとして指環に呪いをかける。なりゆきをことごとく捩じ曲げる呪いは、すべてを失った引替だ。うらみつらみとは違うように思える。

2017-03-06 19:00:30
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

ヴォータンは驚くほど呪いに無頓着で、不安を口にしながらも敗者の捨て科白としか考えていない。実際には「ラインの黄金」以降、ヴォータンの企てはことごとく成就せず、お膳立て自体が神神族の没落を推し進める手立になる。 アルベリヒが大きな登場人物と気づけるのはハンペ演出の特徴かも。

2017-03-06 19:05:07
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

ハンペ演出「ラインの黄金」(びわ湖ホール)は思いがけず意味の大きな上演かも(1日目は察知できなったようだ)。破綻や支離滅裂もほとんどない。 「ヴァルキューレ」は一転して家庭劇(兄妹→男女の性愛と妻の裏切り、妻への裏切りをはらむ父娘の葛藤と情愛)になるので、また別の工夫がありそう。

2017-03-06 19:15:19
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

いずみホールのシューベルト企画6回目。シューマンは渦がずっと巻いていました。カーターは、音が慎重にあちらこちらへ配置してある風。シューベルトは途中から本当にうっとりしてしまい、素人には感想なんか出てきません。 毎度ながらイザベル・ファウストはいいなあ。

2017-03-09 19:00:25
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

いずみホールのシューベルト最終回は、アンドラーシュ・シフがまず第18番の追加から。20番のあと休憩で21番。あちらこちらへあてどなく漂いつづけながらもとろけてしまう。 シューベルトはおもしろいはずがアンコールからシフおやじに暴走の気配。挙句に煽ればOKみたいなのがニョキニョキ。

2017-03-17 23:24:43
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

5週間ぶりに「ザ・空気」(兵庫県立芸術文化センター)。 中立は、中立の位置がかわる時どうなるのか。主張することも身を守ることもできない立場のなさがある。それとない印象かと思えば、科白にあった。 そこに注意が向くと、編集マンの姿がはっきりしてくる。

2017-03-19 00:28:35
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

「ザ・空気」の編集マンは、最下層ゆえに外部の力を頼るしかないのだ。にもかかわらず同情も擁護もひきおこさないのがすごい。 一方で編集長とキャスターは実のところ並んで坐る。

2017-03-19 00:36:49
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

「親愛ならざる人へ」(ABCホール)。 語ることの仕掛がいっぱい。結婚式のカリスマが自身で最悪の結婚式を語り、主人公が登場して心の中を大声で怒鳴りちらすように語る語る…… 心の中かと思っていると、どうやら口にしているらしい。ドタバタがどんどん進行するのでそんなことも忘れがち。

2017-03-21 19:20:06
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

東京・春・音楽祭「神々の黄昏」(東京文化会館)。 ブリュンヒルデ&ジークフリートは3月29日に来日と。カヴァーキャストなしってこと? 乱暴すぎるように思う。事実関係はわからないけれど、臆測が禁じえない。

2017-04-01 22:28:36
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

「神々の黄昏」はジークフリート出立の場面で、快速と力強さで行くよと宣言した印象。ヤノフスキの指示がすっかり行き届いているのか、体力温存のごとく軽く小さくしか動かないことが多い。 それにしても作曲の腕が大いにあがって精緻にして巧妙きわまりない曲に引きずりまわされている風。

2017-04-01 22:37:44
ASHIME#theatre-goer @Ashime2010

「神々の黄昏」に到ってあまり登場人物にはっきりした造形はないとたかをくくっていた。じっさいとりわけハーゲンがジークフリートに槍を突き立てて以降の音楽が素晴しく、あの荘重な葬送曲にまるでふさわしくない人物だなあなどとも。

2017-04-01 22:44:09
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