流星☆ハレーション【2017ホワイトデー】/【渡彗斗のホワイトデー】 ～バレンタインチョコ争奪戦１位記念・プチＳＳ～

にゃごったー＠流星☆ハレーション公式 @nyagotter

ちゅーわけで、3/14は渡彗斗のホワイトデーぷちえすえすーがやってくるはずにゃご。とはいえあと１か月後のハナシにゃご。投票したアンタらは、忘れんよーにニャゴのこと見つめといてほしいにゃご Σ(●ФωФ●)ｶｶｯ

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21:45より【渡彗斗のホワイトデー】 ～バレンタインチョコ争奪戦１位記念・プチＳＳ～ pic.twitter.com/3FnpxKGMjq

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３月１４日はホワイトデー。 バレンタインのお返しに、どこでも好きな場所に連れて行くよと彗斗くんが言ってくれた。 それが嬉しくて、どこへ行こうか、ずっと決められずにいたんだけど……。[1]

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「じゃあ、彗斗くんの家に遊びに行ってもいい？」 「別に構わないけど……」と答えた彗斗くんは、予想通り眉をひそめた。 動物園とか植物園とかショッピングモールとか、普段は行かないような場所でデートしようと思っていたのかもしれない。[2]

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私も最初は、そうしようかなと思っていたんだけど……。 「うちの猫と遊ぶのもいいけど、よく飽きないね」 学校からの帰り道、公園で話す私たち。３月の風は、まだ冷たい。 寒がりな彗斗くんは厚手の手袋をしていた。[3]

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「うーん。悪いけど、アランとトーマスには遠慮してもらおうかな……」 言いながら、彗斗くんの腕を取って。手を取って。厚い生地の手袋を、えいやっと脱がせる。 「な、何だ急に……」[4]

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うわずった声で戸惑う彗斗くん。ずっと手袋に包まれていたはずなのに、冷たい手。色白の手。男の人らしく骨ばったその形を、私の手のひらで包む。指先でなぞる。ぶつぶつ言っていた彗斗くんも、だんだんと無言になっていく。[5]

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「ホワイトデーは、彗斗くんの家がいいの。……ふたりだけで、ね？」 彗斗くんは、ややあって、喉の奥で「うん」とＯＫをくれた。[6]

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私も確認を終えて、心の中で深くうなずいた。 傷ひとつない。大丈夫だね。 まだ何も知らない彗斗くんの、寒さでちょっと赤くなった顔を見上げて、私はにっこりと笑いかけた。[7]

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＊＊＊ 彗斗くんは器用な人だと思う。容姿端麗、文武両道。学校ではウルトラハイパーイケメンなんて言われて、１年から３年まで、あらゆる女子からキャーキャー言われてる。[8]

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聞いてみたら、高校に入学する前からファンクラブがあるんだって。ちょっと意味がわからないんだけど……って彗斗くんに聞いたら、僕が一番意味がわからないってムスッとしてたっけ。[9]

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もちろん私も、彗斗くんのなんでもできちゃうところは本当に尊敬してる。英語の難しい読解問題もスラスラ解いてしまうし、涼しい顔でヴァイオリンを弾く姿や、どんな人にも好印象を与えるソツのない物腰も……[10]

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ああ、こういう人が王子様って言われるんだなぁ。なんて素直に納得しちゃうくらい、彗斗くんは完璧な王子様だった。その人気は、卒業を間近に控えた今でも衰えるところを知らない。[11]

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でも、私は知ってる。私たちＵＭＡ研究会はよ～く知ってる……美浜高校の女子が夢見るほど、彗斗くんは理想の王子様なんかじゃないってこと。[12]

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気に入らないことがあると、すぐ顔に出るし。嫌味のひとつも言わないと気が済まないし。それでも収まらなければ、竜巻を起こして全部解決しようとするし……むしろトラブルメーカーなほうだと思う。……マーベルくんには負けるけどね。[13]

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それでも彗斗くんがウルトラハイパーイケメンであり続けられるのは、自分の表裏を上手く使い分けているから。 そして……自分の不得意分野を隠すのが、すごく上手いから。[14]

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彗斗くんは器用な人だと思う。 でも本当は、とっても不器用な人だって知ってる……。[15]

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＊＊＊ 「耐熱ボウルにマーガリンを入れます。レンジで１５秒。溶かさず、柔らかくなるぐらいにしましょう」 「溶けた。そして爆発した」 「１分１５秒もチンしたの！？　やりすぎだよ～」 「押し間違えたんだから仕方ないだろう」[16]

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「き、気を取り直していこう！　柔らかくなったマーガリンに砂糖を入れてゴムベラでよく混ぜます」 「混ざらないぞ」 「混ざるよ」 「いいや、混ざらないな」 「絶対混ざるから！」[17]

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「マーガリンだぞ？　砂糖だぞ？　別々で充分役目を果たしてるのに、どうしてわざわざ混ぜたりするんだ」 「普通の人は、そんなところに疑問を抱かないからっ」 「まさか君……この僕を、普通だとでも思ってたわけ？　見込み違いにも程があるな」[18]

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「めんどくさい感じに開き直らないで、黙って混ぜなさい！」 「ぐっ…………」 屈辱、という二文字が表情に浮かんでいる。歯を食いしばりながらお菓子を作る人、初めて見たなぁ……。[19]

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ピンク色の真新しいエプロンを身に着けた彗斗くんは、はじめてのクッキー作りに大苦戦中。 「ホワイトデーは、ふたりきりで僕の家で過ごしたいって言うから……。父さんも母さんも出張だし、お手伝いさんには昼で帰ってもらって、準備を整えたっていうのに……」[20]

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「さらに卵を割って、混ぜま～す」 「猫にも邪魔されたくない。ふたりだけで過ごしたいって言うから……僕は……」 「だって、アランとトーマスがお台所で暴れたら大変だもん」 そう。ここは彗斗くんの家の、広い広いシステムキッチン。[21]

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食器棚も冷蔵庫の中もきっちり整理されているし、シンクどころか排水溝の底までピカピカに磨かれている。生ゴミひとつ落ちてない。有能なお手伝いさんが完璧に整えたキッチンを……別の表現をすれば、生活感のないキッチンを……彗斗くんのゴムベラから滴るマーガリンが、容赦なく汚していく。[22]