FF14 うちの子妄想まとめ バッシュの悪夢(2)

ばかむーと @bakamut_ff14

大樹の根元で目が覚めた。 …そうか、仮眠を取っていたんだったな。 ならば充分だ、行こう。 大体2時間位か？ そんなことを考えていると大きな獣の足音が聞こえる。 「…やるか」 剣を構え、出てきた獣と対峙する。 ーーーー

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見た目の割には俊敏な奴で手こずった… ここの森も思いの外、油断ならない。 久しぶりに手応えも感じたが… 手応え？ 【…】 何か聞こえたか？ 「…」 気のせいか。 行こう、進まなければ…

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ーーーー かれこれ、もう何体殺した？ 数え切れない、倒した側からまた出てくる…… 何だこの森は、好戦的な奴が多すぎる…！ 持っている力を惜しんでいたら手傷を負うだろう。 遠慮はなしだ！！ 【…】 また、何か？ 気にしている場合ではない、剣を振らねばやられるだけだ…！！

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ーーーー …流石にやり過ぎたか。 ひたすら戦い続けて、通った道には倒した獣が。 体には血が。 洗う暇もなければ、拭う暇もない。 少し休もう…ちょうどいい岩陰に腰掛け、目を瞑る。 【なぜ休む？】 「！？」 ハッキリと聞こえた声に驚いたが剣を構える。 辺りを見回すが誰もいない。

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【お前は休まなくとも戦い続けられるだろう？】 「どこにいる…！」 【なぜ休む？】 「…何故？疲れた時に休むのは普通だろう」 【本当に休む程疲労したか？】 …身体は未だに軽い。 【お前はまだ物足りないはずだ。強大な敵を、相手を求めている…だからこそ、雑魚には殺しても何も思わん】

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「別に、殺されるか殺すかの境遇だから殺しただけだ。求めていない」 【人をか？】 「獣だ」 【来た道を見ろ】 「は？……あ！？」 来た道を見ると、獣ではなく冒険者や兵士が転がっていた。 【人と獣の戦いだったというのに、お前は両方を殺した…跡を見れば大抵筋書きは共倒れ。だな？】

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「俺は…！！」 【お前は戦うことでしか喜びを得られない。そして、戦う事で存在意義を得る。お前は元より争いの化身】 「俺は…」 【蛮神から産まれた。その時点で人として暮らすのはとても無理があるというもの】 「…」 【お前は渇望するだろう、強き相手を、闘争を…己の全力を出す機会を】

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「…そうなのかも知れんな。俺の行動とお前の言うそれは辻褄が合うし、俺も覚えがないわけではない…いつぞやの誰かにも答えたしな、好きなことは戦いだと」 【理解しているなら何故迷う？人としてあろうとするから苦悩する。人の心なんぞ捨ててしまえ、楽になるぞ】

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【もしお前が闘争を望むなら。これ以上はないという闘争を望むならば】 「…」 【霊災を起こせ。然すればお前の周りの全てが敵になる。中には五万と満足の行く腕の猛者もいるだろうよ。そいつら全てと渡り合えるぞ？何、お前の蛮神としての力を解放すれば余裕だろう】 「だが…」

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【欲求のままに生きろ。余計な葛藤は持つ物ではない…化け物が人のフリをして何になる？】 「！！」 【…】 「貴様は何者だ…」 すると背後の岩から手が伸びてきたのか、後ろから顔を押さえられる。 強い力で顔を上に向けられるとそいつと目が合った。 【お前。かもしれんな？】 「…」

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ーーーー 「…」 吐き気がする程スッキリとした目覚めだ… 寝たのはフレデリックの部屋だったか。 ベッドには誰もいない、皆は起きてるんだな。 フレデリックにでも聞いてもらおうか、そう思って寝室のドアを開けた。 「…」 「…」

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何故、カゲツが血を流して倒れているのか。 何故…？！ 他の奴らは！？ 家を駆ける。 皆、皆が死んでいる！！？ フレデリックだけが見つからない…！！ 頼む、せめて誰か…！！ そう願い、玄関から飛び出す。 庭に、見覚えのある両手剣が突き立てられたフレデリックが倒れていた。

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「！？フレデリック！！」 近付かなくても分かる、もうとっくに死んでいる。 「誰がｯ！！？」 【お前だよ】 「馬鹿な…！？」 【夢だと思ったか？お前が覚えてないだけで、外で帰りを待ってたそいつを殺したのさ。その後はゆっくり、笑いながら中の奴らを殺して回ったぞ？】 「嘘だ！！俺は」

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【化け物】 「っ…！！」 【お前が居るから皆が死んだ。お前が不幸にした】 「…」 【お前は化け物だろ？なぜ泣く？化け物は泣く必要は無い】 【人ではないんだよ。諦めろ。今、辛いのだろう？ならば人である事をやめろ。然すればそんな思いは金輪際する事は無い。欲求のまま、快楽のみだぞ？】

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「存在するだけで…俺は危険か……？！」 【化け物だろ？そんなもの、当然】 「そうか…なら、俺は」 人でありたかった。 何故？それはいくつか理由があった。 1つは蛮神の化身である事を忘れたかった。 2つはその事から逃げたかった。 最後は、皆と一緒に。変わらない人でありたかった。

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恐らく、気付いていないだけでまだ他にもあるだろう。 【何をする？】 「危険な存在、俺みたいな化け物に存在理由はあるか？」 「欲求のままに快楽を得るだけの存在？そんなもの俺は望んでいない。第三者からしても迷惑極まりない」 「否定はしない、化け物が人のフリをしてるのかもな」

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「だったら、最期も人のフリをする」 突き立てられた両手剣を抜く。 「これ以上、化け物を世に出してたまるか…！！」 しゃがみ、無理な体勢だが左手を支点にして右手で両手剣を首にめがけ振るう。 「…すまなかった」

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「っ！？」 酷く汗をかいている… 夢…か。 しかし、嫌な夢だった…夢とはいえ人を化け物化け物と… 無性に腹が立って来た。 ついでに腹も減った。 「…起きよう」 寝室のドアを開ける。

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「…」 夢ではなかったのか？ カゲツが血を流して倒れている。 家を駆ける。 やはり、皆が死んでいる。 庭も相変わらずだ。 ーーーー 何度首を斬れば良い？ そもそも斬れているのか？

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どこまでが夢だ？それとも現実か？ ーーーー 首がダメなら頭だ。 だがダメだ。 なら胸はどうか？ ダメだ。 みんな死んでいる。 何度目覚めても。

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ーーーー ついに、寝室から出ても誰もいない。 家を駆けても誰もいない。 庭にも誰もいない。 剣も無い。 「皆…出かけてるのか？」 散歩でもしよう、じゃなければ狂いそうだ… 門をくぐり振り返る。 家の横に大量の石が並んでいる。 「勘弁…してくれ……！！」

ばかむーと @bakamut_ff14

手元には何もない。 どう死ねばいい？！ 夢だろ？！現実でも構わん、死ねば夢でも見れるのだろ？！ 皆が生きているのが夢か。今が夢か。 そんな難しい本があったな？！ ハッキリシテくれ！！ 「あぁ！！ああああああああ！！！どうしろってんだよ！！クソッタレ！！殺せ！！目覚めさせてくれ！」

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「殺してくれ！！！」 「はっ！？」 「は！？」 「こ、殺してくれ？！」 「ふ、フレデリック！？」 非常に驚いた顔をしたフレデリックが隣にいた。 「い、いやぁ…うなされてゴロゴロしてたから声をかけていたんだけど唸るだけで…そしたら突然殺してくれ！！って叫ぶもんだから驚いたよ…」

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「そ、そうか…」 「…大丈夫かい？」 「…これは夢か？」 「へ？」 「どれが現実で、夢か分からない。皆が生きているのが夢か、現実か。化け物がここにいていいのか…」 「…」 フレデリックが非常に困った顔をしている。 「ほれ」 フレデリックが頬を引っ張ってきた？！ 「い”い”い”っ」

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「痛いかい？」 ぱっと離す。 「痛い！！そこまでせんでもいいだろう！？」 「じゃあ現実だよ」 「は、はぁ？！」 「ほら、前に僕も悪い夢を見た時にバッシュもこうしてくれたろ？同じことも言ったぞ？なら現実だぞってね」 「……」 「おはようバッシュ。酷い目にあったんだね…よしよし」