ドリーとセンディスの、大事なお話

時系列:POD。かつてセンディスが持っていた《希望の箱》から復元されたドリー(ザダムドリータの一部)が、センディスと大事なお話をする。
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センディス @sendis_19

僕はセンディス。花壇作りまくってとても背中がバキバキになってるところ。ブリッジすると気持ちいい。

2015-06-21 21:03:07
ザダムドリータ・クロバキウス @TheDamnedRita

@sendis_19 (あっあっブリッジしたまま慌てさせてしまった)(体勢崩さないように咄嗟に手を伸ばす)

2015-06-21 21:15:44
センディス @sendis_19

@RavenWalker_POD (ゆっくりぺしゃん) 「あっ、えっ、」(慌てて普通に立ち上がる)

2015-06-21 21:18:57
ザダムドリータ・クロバキウス @TheDamnedRita

@sendis_19 「えっと、あの」 (少し頬を赤らめ、目を伏せる) 「ひさしぶり、かな」

2015-06-21 21:21:48
センディス @sendis_19

@RavenWalker_POD 「ひさしぶり……」 突然現れた姿を見つめて呆然としたまま、返事がオウム返しになる 「ねぇ、あなた……きみは……」 目を伏せた知っているはずの顔をのぞき込む

2015-06-21 21:31:20
ザダムドリータ・クロバキウス @TheDamnedRita

@sendis_19 覗き返す瞳は金。虫龍の色。 「ドリーだよ」 「いつも一緒にいたのにひさしぶり、ってのも変な話だけど」

2015-06-21 21:34:59
センディス @sendis_19

@RavenWalker_POD 相棒とは違う瞳の金。いつか遠くにいってしまった色。 もっとよく見ていたかった色。 「ドリー……」 君の名前。 知らなかった名前。 「ドリー、会いたかったよ。だから久しぶりでいいんだ」

2015-06-21 21:42:04
ザダムドリータ・クロバキウス @TheDamnedRita

@sendis_19 センディスと目が合う。 いつも俺をぼんやりと見ていた目。 ようやく、見つめ返すことができた。 「俺も会いたかった」 「返さなきゃいけないもんがある」

2015-06-21 21:49:49
センディス @sendis_19

@RavenWalker_POD その金に吸い込まれるように目を離せないでいる。 「返すもの?」 きょとんと首を傾げる。 何か、貸していただろうか。 いやそんなものないはずだ。 自分と彼とのあいだにあった物なんて、あの大切な箱くらいしか。 あ、箱。

2015-06-21 21:55:56
ザダムドリータ・クロバキウス @TheDamnedRita

@sendis_19 軽く頷いて、懐から黒い立方体を取り出す。 データを吐き出したそれには、もう何も描かれていない。 「悪いな、お兄ちゃんがずっと借りてて」 それから、 「ありがとう」 ずっと大切に、持っていてくれて。

2015-06-21 22:00:59
ザダムドリータ・クロバキウス @TheDamnedRita

@sendis_19 小さな箱を、センディスの手に握らせる。 「いつもこうしてくれてたよな」 その手の温かさが名残惜しくないと言えば嘘になる。 箱の中にいる間感じていた、薄ぼんやりとした熱。 筐体を得て感覚精度が上がっても、あの時の包み込むような温もりは、きっともう味わえない。

2015-06-21 22:06:12
センディス @sendis_19

@RavenWalker_POD 「ずっと、ここにいてくれたんだ……」 手渡された箱を撫でながら呟く。 自分でもよくわからない気持ちで持ち続け、眺め続けた箱。 大切だということだけが確かだった。 だから本当に肌身離さず持って…… 「うわ恥ずかしい!」 思い返して真っ赤になった。

2015-06-21 22:14:27
ザダムドリータ・クロバキウス @TheDamnedRita

@sendis_19 「あっ、その、全部見えてたとか、そういうことはさすがにない」(わたわた) 「ただ、なんつーか。気持ちが強く動いたりとか、向いてるときは、なんか波みたいなかんじがして」 声がかけられないのがもどかしかった。

2015-06-21 22:23:39
ザダムドリータ・クロバキウス @TheDamnedRita

@sendis_19 箱を撫でるセンディスの手つきを見つめる。 改めて視覚を通すと、あんな風だったんだ。 「な」 「こっちも」 言葉にしてみる。漸くそれができる、ようになった。

2015-06-21 22:27:51
センディス @sendis_19

@RavenWalker_POD こっち、の意味を理解するのに少しかかった。 「ああ」 触れることができるのだ、と今更のように気づいて手を伸ばす。 何故だかちょっとドキドキしてしまう。 ゴルディウス相手ならすぐ抱きついたり撫でたりできるのに。 慣れの違いか。 →

2015-06-21 22:39:57
センディス @sendis_19

@RavenWalker_POD ぎこちなくその髪に触れる。 触ったことのある感触と触ったことのないくせっ毛の感じ。 「ドリー」 これが今の君か。 箱を撫でていた時のように優しく、大切なものを壊さないようにする手つきでゆったりとその髪を指で梳く。

2015-06-21 22:45:06
ザダムドリータ・クロバキウス @TheDamnedRita

@sendis_19 掌の感触が、今度は曖昧なものでなく、明確な形あるものとして感じられる。 どき。 どき。 鼓動が早くなるのも、同じくらいはっきり。 痛いくらいわかる。 けれど。心臓から送り出されて、全身を巡るこの感情には、まだ形がない。

2015-06-21 22:52:30
ザダムドリータ・クロバキウス @TheDamnedRita

@sendis_19 不明瞭な感情は、あるいは筐体側の情報の混入か。 「俺はドリー」 自分を確認するように。 センディスの口癖を真似て、返事してみる。 「死んだら花壇になるはずだった、ドリーの記憶だ」

2015-06-21 22:56:35
センディス @sendis_19

@RavenWalker_POD 自分の口癖に似た返事に、ふと笑う。 「覚えてたんだね」 なんて愚問すぎるか。だって彼は記憶そのものなのに。 「そう、死んだら花壇にしてあげようって思ってた。君のこと」 あの時ふわふわとしていた君に告げた提案。

2015-06-21 23:04:14
センディス @sendis_19

@RavenWalker_POD 「結局、できなかったね。ごめんね」 思えばなんとなく交わしてきた接触で、彼の願うとおりのものを差し出せたことはあまりなかった。 「肉が食べたそうな君に骨しかあげられなかったりさ」 「ああ、でもいつかの暗殺者は頑張って捌いたっけね」

2015-06-21 23:09:43
センディス @sendis_19

@RavenWalker_POD するすると、思い出が溢れてくる。 数は多くない。でも大切に持っていたそれが。 君が記憶なら、今僕の中にも君がいる。 「ふふ、そうだ、人の肉を食べるっていう君が面白くて、骨だけでも美味しそうに食べてくれた君がなんだか好きで、興味持ったんだった」

2015-06-21 23:13:30
ザダムドリータ・クロバキウス @TheDamnedRita

@sendis_19 「あんときは世話になった。あーいう味の趣味は、なかなか通じんからな」 名によってザダムから識別され、形を成していた期間はごくわずか。 少ない記憶の中に、交わした約束、果たせなかった思いが強く刻まれている。

2015-06-21 23:23:09
ザダムドリータ・クロバキウス @TheDamnedRita

@sendis_19 ザダムは龍から人に成り。そして俺は箱の中の亡霊になった。 「……俺は、花壇になってもいいぜ」 俺は死に損なってしまった。他者の記憶から忘れられることが人の死だと言うなら、記憶そのものはどうやって死ねばいいのか。

2015-06-21 23:31:04
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