風と蝶/薔薇を巡る物語

時系列:POD。ゴルディウスVSリギル(https://togetter.com/li/823814)の後、借りを返しに来たセンディスとリギルの戦闘。
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墓維鈍 @steelmgmg

意識のチャネルが、激しく軋みながら、肉体に合わさる。 ひどく感覚がおかしいことに気付いた。 「……(ヴォイド)」 呼びかけに対して応答する声はない。

2015-06-12 22:07:31
墓維鈍 @steelmgmg

「キブス!」 従順な下僕は暫くの時間を置いて漸く現れた。 音声に反応しただけで、こちらからの召集命令が届いているわけではないようだ。

2015-06-12 22:07:43
墓維鈍 @steelmgmg

……怪物にアクセスできない? 精神に形があれば、死にかけた蝶のように震えていたことだろう。 見えるはずの情報が見えない。 感じられるはずの模様がわからない。

2015-06-12 22:08:55
墓維鈍 @steelmgmg

杖の中の蝶は、凍りついたようにその羽ばたきを止めている。 ――そうか、そういうことか。 私はウイルスに感染し、システムにとって不都合な存在になったということか。

2015-06-12 22:10:56
墓維鈍 @steelmgmg

「怪物」からの隔離。 それは、 肉体修復ができなくなるということ。 相手の魂に強制介入できなくなるということ。 従僕を使役できなくなるということ。 つまるところ、 無力になるということ。

2015-06-12 22:13:53
墓維鈍 @steelmgmg

息をするだけで、孤独を感じる。 目を閉じるたびに、孤独を感じる。 種子を介して微細ながらいつも感じていた、ゴルディウスがいない。

2015-06-12 22:21:17
墓維鈍 @steelmgmg

(今の状態はあまりにも危険すぎる) 頭の中、いつでもどこか冷静な部分が囁く。 (混沌調律はまだ扱える。キブスに簡単なルーチンを与えておけ) いまや魔力収束の用のみを果たす棒切れで、軽く下僕を突く。 「汝、我が盾となれ」

2015-06-12 22:25:50
墓維鈍 @steelmgmg

調律した混沌は、不吉な気配を帯びて揺らめく。 経験に由来する勘、というものなのだろうか。 こんな日には、何かが来る……そんな気がして。 塒にしている部屋の錠を下ろす。 「何か」が「脅威」であるならば、こんな錠など何の意味もないことはわかっていたけれど。

2015-06-12 22:28:37
センディス @sendis_19

@steelmgmg ひっそりと一人で調査に調査を重ねた結果、会わねばならない対象は、結局、ゴルディウスと邂逅したであろうその場所から動いていないようだった。 「よし」 自分に言い聞かせるように、ひとつ、声を出して、その廃墟の門をくぐる。 →

2015-06-12 22:39:09
センディス @sendis_19

@steelmgmg 空気ごと朽ちたような気味の悪い空間に風を流し込むように、するりと滑るように、足音も立てずぼろぼろの廊下を行く。 意識を集中させる。気配は、ない。ない。ない。ない。ない。ない。ない。ない。ない。 あった。 辿りついたひとつの扉の前で立ち止まる →

2015-06-12 22:43:34
センディス @sendis_19

@steelmgmg 無意識に右の小指に巻かれた蔦を撫でていた。 この向こうに、いる。 そう確信して、拳を握り。 コンコン、 丁寧にノックを。

2015-06-12 22:46:59
墓維鈍 @steelmgmg

@sendis_19 扉の隙間から風が吹き込んでくる。 かすかに緑の匂い。でも、違う。 この向こうにいるのは、少なくともゴルディウスではない。 返事をしようか、迷う。 かち、かち、かち。 歯の根が合わない。言葉は出なかった。

2015-06-12 22:51:07
墓維鈍 @steelmgmg

@sendis_19 もしも扉の向こうにいるのが修羅であるならば、これで返事は充分だろう。 混沌を操り、凝縮。 殺風景な部屋を、戦場の色に塗り替える。

2015-06-12 22:55:42
センディス @sendis_19

@steelmgmg 返事はない。 代わりに、扉の向こうの空気が、変わった気がした。 「ふふ」 十分な返事だった。 「お邪魔するね!」 そう声をかけて、くるりと回転。 ちょっと礼儀がなってないのは承知。 回し蹴りをひとつ。 派手な音を立てて、その扉はこじ開けられた。

2015-06-12 23:05:36
センディス @sendis_19

@steelmgmg とん、とん、と部屋の中へ踏み入れ、口を開く。 「こんにちは、いや、こんばんは、かな」 「僕はセンディス」 「君に会いに来たんだ、リギルグレイヴ・クロバキウス」 「ゴルディウスとか、箱とか、僕の大切なものがお世話になったね」 そう言って笑った。

2015-06-12 23:18:31
墓維鈍 @steelmgmg

@sendis_19 「貴方がセンディス」 その小指に巻かれているのは、何? ――などと、分かりきった事を訊くのはよそう。 あれは証であり誓いなのだろうから。 「私はリギル、で構いません」 ぎこちなく微笑み返す。

2015-06-12 23:25:31
墓維鈍 @steelmgmg

@sendis_19 「挨拶しに来ただけではないでしょう。欲しいものは何ですか?」 中身が空になった箱を懐から取り出し、弄んで見せる。 「箱、謝罪、それとも」 「私がゴルディウスから受け取った分の愛情?」

2015-06-12 23:30:11
センディス @sendis_19

@steelmgmg 話に聞いていた通りの赤い髪が揺れる。 懐から取り出された箱に一瞬、視線が釘付けになった。 「そうだよリギル、僕は欲しいものがあるの」 「そう、君が持ってるその箱を返して欲しい」 「でも別に謝罪はいらないし」 →

2015-06-12 23:44:37
センディス @sendis_19

@steelmgmg 「ましてや、君がゴルディウスから貰った愛情は、確かに君のものだよ。大切にしてね」 「だから今日僕がもらいに来たのはね!!」 駆け出す。 →

2015-06-12 23:48:42
センディス @sendis_19

@steelmgmg 「僕の大事な大事な箱と!」 「君と!!」 「それから君を殴る権利だよ!!!」 →

2015-06-12 23:50:59
センディス @sendis_19

@steelmgmg 箱を弄んでいたリギルに向かって高速で真っ直ぐに飛び込む。 叩き込むのは得意の蹴りでも何でもない、武器ですらない、純粋な平手打ち。 綺麗な軌道を描いた右の手のひらが、その、白い頬に。 【その綺麗なほっぺ真っ赤にしてやる】 11 [5D6] 4,1,3,2,1

2015-06-12 23:59:20
墓維鈍 @steelmgmg

@sendis_19 乾いた音を立てて、引っ叩かれた頬。 じんわりと痛い。 子供だった頃に、こういう風に怒られた事が、あったような。 「私に勝てたら箱は返します、殴って下さっても結構」 でも。

2015-06-13 00:11:27
墓維鈍 @steelmgmg

@sendis_19 この身は朽ちゆくのみ。だから、 「私をあげることは、できません」 ありったけの力で横っ面に一発。 平手をお見舞いする。 【そっくりそのままお返ししますよ】11 [5D6] 3,2,3,2,1

2015-06-13 00:12:38
センディス @sendis_19

@steelmgmg そっくりそのまま返された平手の衝撃にバランスが一瞬崩される。 「いっった!!!」 頬をおさえて一歩、二歩下がった。 「まずはひとつもらった」 じんじんと微かに痛む右の手のひらに少し笑って。 →

2015-06-13 00:22:21
センディス @sendis_19

@steelmgmg 「あのね、僕はわりと悪い人なんだよリギル」 取った距離で助走をつける。 最後の踏み込みを深く、深く、バネのように膝を曲げーーーーー跳ね上がる。 「だから、君の言い分は聞いてやらない」 リギルの身長よりも高い空から、回転をかけて脚を振り下ろした。

2015-06-13 00:30:18
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