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2017年3月20日

絶望の終わり

センディスとダムドの模擬戦のようなもの。あるいは、センディスとザダムドリータの物語の終わり。
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センディス @sendis_19

ダムドの行方を追って、同盟の勢力内へ。 行く先々に巨大な魔境が立ち塞がっている……というわけでもなく、まるで旅行をするような穏やかな追跡に、何度となくセンドと顔を見合わせた。彼は一体を考えているのか。 →

2017-03-04 10:27:51
センディス @sendis_19

そしてついに見慣れたディザの近郊の森を抜け、広い野原までやってきた。この先の城塞を越えてディザの街の中に入るまできっと一日もかからないだろう。 「戻ってきちゃったね」 『ディザでも一度情報を集めようか。案外黄金の海を堪能したりしてるかもしれない』 「観光ならいいんだけどさ」 →

2017-03-04 10:28:41
センディス @sendis_19

今までの彼の所業を考えれば、それが大事な相棒や生活を置いているディザの中にいるかもしれないということが、どれほど恐ろしいかという話だ。 日は草花を暖めていたが、湿気っぽい空気は雨を予感させた。 「早く行こう」 センドの背を叩くと、彼は返事の代わりにゴーグルをしっかりとかけ直した。

2017-03-04 10:29:55
墓維鈍 @steelmgmg

@sendis_19 「探し物はここでおしまいだ、センディス」 うなじに息がかかるほど近い場所から声がかかる。 すん、と鼻を鳴らす小さな音。 「土と花と風。君はいつもいい匂いがする」 振り向けば、きっと君は見るだろう。 愉悦に唇を歪めたダムドの顔を。 →

2017-03-04 10:58:41
墓維鈍 @steelmgmg

@sendis_19 → かさり。かさり。 虫が這いずるような気配。 空間中の混沌濃度が上昇する。 何も無い平原が、魔術と戦の気配で塗り替えられていく。 「大丈夫。ディザには何も仕掛けてない。これまで俺が歩いた場所にもな。今日はセンディス、君を奪い――そして、君に与えにきた」

2017-03-04 11:02:31
センディス @sendis_19

@steelmgmg 唐突な男の登場に、反射的に距離を取りながら振り向いた。ざりざりとした砂のような声。間違えようもない、自分が追ってきたはずの赤い衣の男の姿だ。 「ダムド!!」 じりじりと混沌濃度が上がっていくのを肌で感じる。 →

2017-03-04 11:28:10
センディス @sendis_19

@steelmgmg ディザの心配はひとまず置いておけるとしても、作られていく戦場の空気が興奮と怒りに火をつけた。 「やっと僕に直接手を出す気になったんだね」 最初からそうしていればよかったんだ。ザダムドリータに危害なんか加えなければ。 →

2017-03-04 11:28:50
センディス @sendis_19

@steelmgmg 出方を伺うようにセンドはダムドを睨んだまま、ブーツで地を叩いた。交戦合図だ。 「奪うも与えるも許すつもりはないけど、僕は君に聞かなきゃいけないことがあるんだ、少しおとなしくしてもらうよ!!」

2017-03-04 11:29:22
墓維鈍 @steelmgmg

@sendis_19 「俺も君がそうおいそれと言うことを聞いてくれるなんて思ってないさ。じゃあ、こうしよう。君が俺に勝ったら、俺は言うことを聞いておとなしくする。俺が君に勝ったら、その逆だ。同盟の人って、割と好きだろう? そういうのさ」 こちらも右足を僅かに引き、力を溜める。

2017-03-04 11:39:44
センディス @sendis_19

@steelmgmg 「ああ、大っ好きだねそれ!!」 野蛮だと謗られてもおかしくはない原始的な物事の決め方。勝った方が上。 ずっとそのルールの中で生きてきたも同然だ。このやり方はシンプルで身に馴染む。 先に駆け出したのはセンドだ。 →

2017-03-04 12:24:19
センディス @sendis_19

@steelmgmg 前回の交戦で、あの義肢がただの代用品ではないことはわかりきっていた。 『しっかし遠距離は苦手なんだな』 ゆえの速攻。やられる前にやれ。に、見せかけて彼は足場だ。 ダムドの胴に組みつき、動きを押さえるその背を台に僕は駆け上がり、肩を強く踏み締めて、跳ぶ。 →

2017-03-04 12:25:36
センディス @sendis_19

@steelmgmg 越えてきた戦場の数は違えど、根本の戦術基礎は同じ道を辿ってきた同一人物だ。行動の意図が述べられなくてもわかる。 頭の中で遊ぶように考えるだけだった"もう一人自分がいたなら"の戦い方が今、実現しようとしていた。 →

2017-03-04 12:26:10
センディス @sendis_19

@steelmgmg 高く、高く、宙を踏み、もうひとつ高く。 舞うように空でくるりと横の回転をつけて右足を振り抜けば、ブーツに仕込まれた薄い刃と、もう一段奥から厚い鋼の礫が撃ち出される。 「っらああああああああ!!」 刺し斬り貫け。と、鋼の雨が日の光に鈍く輝きながら降る。 →

2017-03-04 12:27:02
墓維鈍 @steelmgmg

@sendis_19 仕込んだロジックが走るより早く、センドが懐に飛び込んできた。 邪紋による法則の書き換えは魔法のそれより指向が固定される分初動が早い。まして、既に全身を邪紋に侵された彼であれば尚のこと。 ――なんて冷静な分析をしている時間はなく。 →

2017-03-04 13:18:00
墓維鈍 @steelmgmg

@sendis_19 身動きが取れない、そう頭で判ったときには、既に銀の弾丸が体に降り注いでいた。 ぎりぎり反射的に身を屈め、組み付いているセンドを盾にする。 それでも掠めていく礫と、そして左肩に受けた仕込み刃の傷は、軽減できない痛みを伝達してきた。 →

2017-03-04 13:19:45
墓維鈍 @steelmgmg

@sendis_19 「い、た、い」 額の傷が熱い。血が目に入り、視界がかすむ。 「――……」 《アクティベータからの攻性信号を確認》 《解凍プロセス、全工程クリア》 《左腕部機構の戦闘使用を承認》 《物理ロック、解除》 肩口の傷が、"内側"から裂ける。 →

2017-03-04 13:20:53
墓維鈍 @steelmgmg

@sendis_19 蛹が羽化するように、左腕全体にその亀裂は広がっていく。 ずるり 表皮を突き破り、 ずるり 現れるのは四本の、 ずるり 昆虫にも似た、 ずるり 黒い肢。 →

2017-03-04 13:21:16
墓維鈍 @steelmgmg

@sendis_19 保護液に濡れた四肢でセンドを引き剥がしたのと、右脚に仕込んだ風の魔法ロジックが起動したのが同時。 脚部先端から放出されるジェットの加速度で、センディスに接敵。 →

2017-03-04 13:21:38
墓維鈍 @steelmgmg

@sendis_19 「――"調律"!」 蟲の四肢で触れた肌から、センディスの身体に刻まれた邪紋そのものにむりやり介入する。 奏でるのは"痛み"。 "タクトと調律術式が埋め込まれた肢"ゆえに為せる技。 【痛覚調律】19 [5D6] 3,4,4,6,2

2017-03-04 13:21:53
センディス @sendis_19

@steelmgmg センドごと貫いて、急所に当たれば儲け物。そうでなくとも次の攻撃に繋げやすくはなる。落下しながら、そのまま踵を叩き込むかそれとも一度センドに受け止めさせるか考える。 しかし、判断よりも早く、それは迫ってきた。 「なん……っで!?」 →

2017-03-04 14:30:21
センディス @sendis_19

@steelmgmg 羽化するように左腕という殻を割って生えた新たな四本の肢が、腹に腕にと絡んで、ひやりとした感触が肌を伝う。 調律、という響きにぞっとする。 感覚は邪紋をなぞってさらに深くまで潜り込んできた。傷をつけないまま透明な刃が差し込まれているようだ。 「……ぁ?」 →

2017-03-04 14:32:29
センディス @sendis_19

@steelmgmg 冷たさがピークを越えて、突き刺さるような痛みを覚えた瞬間、それは爆発した。 「あ゛っひぃあああああああああああああああ!!がっ!!?」 刺激から得る痛みとは違った、痛覚のみを引き摺りだされて撫でられているような錯覚。 →

2017-03-04 14:33:26
センディス @sendis_19

@steelmgmg 考えることすら吹き飛び、ただ悲鳴と唾液の泡だけが口からこぼれていった。 四肢に掴まれたまま痙攣すると、動くだけで痛覚が身体の内を暴れまわる。ガクガクと震えながら逃れる術を探すようにダムドを睨むと、その背に、地上から跳び上がってきたセンドが見えた。 →

2017-03-04 14:34:30
センディス @sendis_19

@steelmgmg 『離れろ!!』 叫んで、ダムドの背中へ仕込み刃を蹴り込んだようだった。 このまま空中からまとめて蹴り落としても、僕の頑丈さなら問題ないという定番の考えだろうが、それは、今、とってもまずい。出血もないのに血の気が引く。 →

2017-03-04 14:36:15
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