フォビドゥンフォレスト4話「大規模作戦・発動!」 #3 「風間新司」

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フォビドゥンフォレスト登場人物紹介(主要人物1) - Togetterまとめ togetter.com/li/1020993 @togetter_jpさんから

2017-03-20 00:57:11
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(前回までのあらすじ:俺は片桐。田舎町の風科に住む高1だ。俺は僚勇会って組織で北の森に出る妖怪共と戦っている。今週は月曜の夜に新種の妖怪とバケグモの大群と戦い、水曜には町中に妖怪が出るっつう異常事態続きだった。俺もぶっ倒れたり、病み上がりで空中戦をしたりでエライ目にあったぜ。)

2017-03-21 23:02:57
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(昨夜は僚勇会メンバーでもある知り合いの黒音さんに付き合ってゲームをしたりで寝不足気味だが、そんなことをやってられんのは余裕が出てきたからってことでもあるよな。ともかく今日は金曜。コレ以上妙なことは起きねぇでくれよ…)

2017-03-21 23:05:19
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フォビドゥンフォレスト4話「大規模作戦・発動!」 #3 「風間新司」

2017-03-21 23:05:35
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「ふぁああ」 いつものバスを待ちながら、俺は手を口で押さえる。 「眠そうだね…どうしたの?」 瑠梨は腕を交差させて体を擦りながら聞いてきた。1月の後半はまだまだ冬真っ只中だ。 「徹夜?」 「ん、いや?昨夜遅くまで黒音さんと一戦やってただけだぜ」 1

2017-03-21 23:15:38
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「…ふぅん。…それなら今日は無理して迎えに来てくれなくても良かったのに」 「いや、別にゲームしてただけだしな」 バケグモと姑獲蝶の事件の煽りで、本部はまだ忙しいってのに呑気に遊んでた訳だからな。日課くらいはちゃんとしなきゃいけねぇ。 2

2017-03-21 23:23:54
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いや、手伝おうとはしたんだぞ?ただ仮にも病み上がりだから、休んでろと追い返されちまったんだ。訓練室すら使わせて貰えねぇ。そこを黒音さんに掴まっちまったのが昨日の学校帰りのことだったんだ。療養の為の時間で夜更かししてゲームしてちゃ本末転倒なんだが断りきれなかった…。 3

2017-03-21 23:29:49
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「それくらいは別に良いと思うけど、私のお迎えを休んで寝ておけば良かったのに」 「そんなこと言ったって、これも俺の…」 俺は言葉を止めた。別に瑠梨も知っていることなんだが、あんまり口にしたいことじゃねぇ。少し話題をずらす。 「…そもそも。お前、一人で起きれんのかよ?」 4

2017-03-21 23:33:14
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「起きれるもん」 瑠梨は少しむくれてみせた。 「そんなこと言ってお前、水曜は会長に起こしてもらったんだろ?」 水曜の朝は、俺はまだ入院中だった。火曜もだが、その日は瑠梨も巫女の仕事の後で学校だった筈だ。 「うん!!」 瑠梨はすっげぇいい笑顔で肯定しやがった。 5

2017-03-21 23:40:08
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こんなことを話しながら登校したんだと嬉しそうに話す瑠梨。いっそ毎朝起こして貰ったらどうだ、と言いたくなったが止めておいた。肯定されちまったら何か立ち直れねぇ気がする。そもそも会長は俺より遥かに忙しい上に、家も遠いから毎日はとても無理だけどな。だから。 6

2017-03-21 23:44:05
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「…よかったな」 とだけ返しておいた。 「うん!…でもさゆちゃんも、平気だって言ってるのに無理して来てくれて…嬉しいけど悪いことしたなぁ…」 「…別にお前のせいじゃねぇだろ」 そこでバスが来た。瑠梨は何か言いかけたが中断して、バスに乗った。 7

2017-03-21 23:47:09
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「でも私のせいじゃないって言ってもはる君のせいでもないからね?」 話を再開した瑠梨はそんなことを言い出した。 「いや、俺のせいでいいだろ」 「えー。無理したのは良くなかったけど、頑張って戦った結果入院したんでしょ?何も悪くないよ」 「違ぇだろ。俺が弱かったせいだよ」 8

2017-03-21 23:50:59
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「…そんなこと無いよ」 「俺がもっと強けりゃ、余裕で敵をぶっ倒して入院もしねぇで済んで、会長やお前に余計な世話掛けねぇで済んだんだよ。いや恵里やラッタ達にもか」 「……」 「一昨日のもそうだ。もうちょい上手く立ち回れりゃ早めに乃愛達を助けられた筈だ」 9

2017-03-21 23:54:28
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「それは後からだから言えることでしょ?」 「かもだけどよ…」 俺は両手を握り合わせて、それを見つめていた。 「ダメだよ。はる君」 瑠梨がその両手を取ってゆっくりと解いた。 「そもそも皆で戦ってるんだから、そんな言い方は皆にも失礼になるよ」 「それは…」 10

2017-03-21 23:57:39
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「はる君はもうじゅうぶん強いんだから、ね。精一杯自分に出来ることをしたんだから、自分を責めちゃダメだよ。はる君にしか出来ないことが一杯あるのは自分で分かってるよね?」 「…まあ、そうだけどよ」 口ではそう言ってみるが、瑠梨が認めてくれても、素直には頷けねぇ。 11

2017-03-22 00:02:40
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並列思考や昆虫との会話は俺だけの力だし、有用性もある。でも必須って訳でもねぇ。代わりは効かねぇが穴埋めは出来る。具体的に言うと俺がいねぇ日はドローンを多めに持っていけば良いだけの話だ。そりゃコストの節約にはなるけどよ。そもそも俺じゃなくクワガタたちの力だ。 12

2017-03-22 00:04:32
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「分かったよ。ありがとな」 「…うん。分かればよろしい」 瑠梨は手を離すと、何故か自慢げに胸を張ってみせた。多分、俺が納得いってねぇのは分かってんだろうけども、この辺で手打ちにしてくれるようだ。 「ところで瑠梨」 「なに?」 「さっきの言い方だけどよ」 「うん」 13

2017-03-22 00:25:41
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「『じゅうぶん強い』とか言われると成長上限みたいだからやめてくれ」 「ええ…?そんなこと言われてもなぁ…あっ。言い方、といえばはる君」 「ん?」 「さっきの言い方だと、黒音さんといかがわしいことをしたようにも聞こえるから気をつけたほうがいいよ?」 「…それ、何の話だっけ?」 14

2017-03-22 00:28:48
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生徒会室で朝の会議を終えると、俺達は教室へ向かった。会長がいなかった他には変わったこともなく、少し早めに終わった。週の前半、俺がいねぇ間にヘルプの新司達が頑張り過ぎたのかも知れねぇな。俺がいないおかげで捗ったとかほざいた久浦は小突いておいた。 15

2017-03-22 22:46:03
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先輩は午前の授業だけ受けて、午後は早引きするらしい。予定より一ヶ月遅れで戻ってくるアイツを迎えてやるために無理に理由をつけたらしい。アイツも先輩に迎えられたら喜ぶ…より先に早引きさせた罪悪感で死なねぇかアイツ?…なんだか不安になってきたぞ…。俺が気にしても仕方ねぇが。 16

2017-03-22 22:59:15
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俺達が教室に入ると生徒はまだ半分くらいだった。まだ10分くらいあるからな。近くのやつと挨拶を交わすと俺達は荷物を置いてから窓側へ向かった。乃愛が自分の席に座り、友達と話していた。乃愛は昨日の夕方には退院できた。衰弱はしていたが、怪我自体は軽傷だけだったのが不幸中の幸いだった。17

2017-03-22 23:14:22
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ガキ共も乃愛と同じくらいかもっと軽症だった。それもこれも新司のお陰だな。 「乃愛ちゃん、もう大丈夫なの?」 「うん、平気。心配掛けてごめんね」 気丈、ってのはこういう時に使う言葉だったか。乃愛は気丈に微笑んでいる。妖怪に食われかけた恐怖は窺えねぇが、疲れた様子は見て取れる。 18

2017-03-22 23:21:03
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「本当、悪かったな…」 「あはは、気にしないの。ていうか全然片桐くんのせいじゃないでしょ」 乃愛は手をパタパタ振りながら笑う。 「でもよ…」 妖怪に結界を抜けられて、一般人を巻き込んだのは俺達僚勇会の不手際で、とっとと助けられなかったのは俺の責任が大きい。 19

2017-03-22 23:30:19
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一歩間違えば、乃愛はこうしてここに居られなかった筈だ。 「はる君」 例え無事にしても一生後遺症が残る様な大怪我を負った可能性だってあった。他のガキ共も同じだ。新司が妖怪の邪魔をしなきゃどうなってたか。 「はる君…!」 「片桐くん」 二人の声で我に返った。 「お、おう」 20

2017-03-22 23:34:58