【憑依:クリーチャー】[艦これ二次創作]『深海disこれくしょん』-1廻。

初めての二次創作という名の盛大な破壊劇。 何もかもが破綻していくさまを楽しめる方向け。
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九重七志@憑依特化 @yorishirosama

【報告書の一ページ】 『昨日未明、××鎮守府周辺海域より深海棲艦の大軍勢が襲来』 『鎮守府艦隊は総員死力を尽くし奮戦するも、部隊全滅の大損害』 『周囲一体は深海棲艦により大地を浸蝕され、彼らの領海と化した』 『指揮官である[畝傍 七八]中将は彼らの手により戦死。死体は発見できず』

2017-03-12 00:59:21
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

【報告書の一ページ】 『生存者の話によれば、敵の首魁はレ級と思しき戦艦級の深海棲艦』 『通常の個体と異なり、謎の青い光を放っていたことから、未知の上位形態である可能性が推察される』

2017-03-12 00:59:33
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「(……ここは……どこだ――)」 目を覚ました[彼]が見た物は、周囲を埋め尽くす"赤" 赤く染まった、海。 彼は、それを知っている。 「(深海棲艦の海域……!? 俺は、あの時……?)」 彼は想起する。 撤退指示、波止場での絶叫、沈み行く愛する部下達。 眼前に、現れたのは――

2017-03-12 01:14:40
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「(――レ級。青い、レ級だ)」 明らかに異常な性能、ただのレ級とは比較にならないほどの。 「(俺は、アイツに……)」 殺された、そのはずだ。 ならば。 「(俺は今、どうして生きている……?)」

2017-03-12 01:22:44
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

意識はある。 周囲を見る事も出来る。 しかし、手足の感覚はない。 「(……海中――だよな、ここ)」 呼吸は、問題ない。 そう――呼吸が、出来ている。 「(俺は、一体、"どうなってしまっている"んだ……?)」 目を開き、身をよじるようにして、自らの姿を見ようとする。 「!」

2017-03-12 01:31:12
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

青白い肌。 歪に並んだ、獣のような歯。 そして、深い深い藍色の"装甲"が、躰の全てを覆っていた。 「(――駆逐……イ級!!?)」 そう、[彼]は再び、この海へと還ってくることができたのだ。 ――憎むべき敵、深海棲艦の姿で。

2017-03-12 01:41:30
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

【シンかイデぃすコれクしょン】

2017-03-12 01:43:09
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「なぜだ……! この俺が、深海棲艦になどに……!!」 イ級は、大きな体躯をビチビチと上下させる。激しい怒りを示すように。 「人間が深海棲艦になる、そんな事が有りうるのか?」 「……いや、待て。確か、大本営からの資料にあったはずだ。アレは――」

2017-03-14 01:07:50
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

【資料。薄れ行く記憶の果て】 『現状での定説は「深海棲艦は海の戦死者の怨念を、その肉体の中枢としている」』 『また、ある深海棲艦を撃沈することで、特定の大型深海棲艦に弱体化や強化などの影響が見られた』 『つまり、解放された怨念の残滓が、大型艦に流れる事で影響を受けたのではないか』

2017-03-14 01:19:11
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「……ああ」 イ級――いや、男は、ため息のような仕草をする。 何かに合点がいった様子だ。 「戦死者の怨念……そう、だよな。俺も……」 彼は死ぬ間際、潜水艦――おそらくは、ソ級に。海の中へと引きずり込まれたのだ。 「海戦死者、敵艦への憎悪――死して絶えること無い」 「……ああ」

2017-03-14 01:25:00
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

そう、彼は怨念となった。 憎悪を抱いて死を迎えた、海戦死者の怨霊に。 それは即ち、深海棲艦の中枢となる怨霊と同じ物だ。 最後に残った只一人、そうして死んだ彼は、混じりけの無い孤独な怨霊だ。 故に独立した意思を保ち、自ら行動を起こすことも可能だろう。 彼が望むものは、何か――

2017-03-14 01:34:59
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「――復讐だ」 彼は、憎悪する。 愛するものを、愛しき部下達を、護ると誓った女さえも。 全て殺した、全て沈めた。何もかもを焼き、何もかもを紅き海へ流した。 絶対に、赦しはしない。 正体不明の青いレ級、奴には必ず、全ての報いを受けさせよう。 彼がは憎悪を自覚した。そして――

2017-03-14 01:44:21
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

彼……否、イ級の眼窩に黒い光が宿る。 水底よりもなお昏く、星の光さえ拒絶する。 彼の憎悪を表すように、忘れることさえ赦さぬように。 エリート級、フラグシップ級、改級の深海棲艦が放つ光とはどこか異なり。 もしその姿を見る艦娘がいたならば、間違いなく新型と断ずるだろう。

2017-03-14 01:57:27
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

彼は、自分の姿に名前を付けた。 [駆逐イ級・"廻(カイ)"] 死せる怨霊はただただ廻るのみ、巡り続けたその果てに、ヤツの死があればそれでよい――。 こうして、元鎮守府周辺海域に、一つの怪物が生まれた。 "それ"が引き起こす、未曾有の災禍。今はまだ、誰も、彼も、知る由もない。

2017-03-14 02:05:32
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

【深カいディスこレクしョン】

2017-03-14 02:07:37
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

[近隣鎮守府による調査報告] 『××鎮守府周囲一帯の陸地は、深海棲艦により完全に浸食され、一つの海域と化した』 『例のレ級の所在は不明。また、姫級や戦艦級の戦力は殆どが撤退した模様』 『哨戒隊の報告によれば、黒いオーラを放つ駆逐級の深海棲艦を確認したとの事』『新型の恐れあり』

2017-03-14 02:15:55
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

[近隣鎮守府の調査報告] 『海域における現在の敵編成は、重巡ネ級他、重雷巡を含めた水雷船体が主体であると推定される』 『空母起動部隊による見敵必殺を重視した編成にて再度調査を行う』

2017-03-14 02:21:50
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

プロペラの音、木霊する爆音。空を覆い尽くす式神の群れ。 かつての友軍にさえ狙われる。禍々しく呪われたこの躯。 しかし呪いとは、禍つとは、そんなもので済む筈はない。 再び沈みゆく躯の内側で、彼はその真価を知る。 次回「移乗」 ――沈む船など、乗り換えてしまえば良い。

2017-03-14 02:37:58