秘密のルームシェア忠義⑥

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227 「じゃあ、俺も風呂入ってくるから眠かったら先寝ててな」 ドライヤーを持って立ち上がり、お風呂場に行き また最恵の香りに反応しないように もやもやした気持ちを振り払うように 頭から勢いよくシャワーを浴びて 急いで身体を洗い終わらせる #秘密のルームシェア忠義

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228 着替えてから水を飲もうして リビングに行くと 電気がついて光が漏れてる 「まだ起きてたんや？」 ドアを開けてリビングに行くとまだ最恵が起きていて 切なそうな… 俺を待っていたような顔をするから 吸い寄せられるように隣に座ってしまう #秘密のルームシェア忠義

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229 でも隣に行くと下を向いて目線を合わようとしないから 俺もそのまま黙ってしまう 静かな時間がしばらく続いた後 やっと俺を見て話し出す 『…あのね大倉くん、今日亮ちゃんと話…出来たよ、』 「…うん、そんな感じやな、」 #秘密のルームシェア忠義

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230 『亮ちゃんとは…別れたよ？』 え…、どゆことや 今、なんて？？ 嬉しさと複雑な気持ちと… 俺の色んな感情が混ざりあって出てきた言葉 「より戻したんやないの？」 『え…どうして？』 「帰ってからずっと最恵の様子が変やったから」 #秘密のルームシェア忠義

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231 こんな最恵、絶対変やもん 俺も期待したりガッカリしたりで 勝手に振り回されてるけど… 俺は最恵の側に居れたら、 それでええって決めたのに ほんま諦め悪いな そんな俺のカッコ悪さを知られたくなくて ついわかってる男のふりをしてしまう #秘密のルームシェア忠義

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232 「だから俺も話そう思うてた…。亮ちゃんと仲直り出来たなら今まで通りやでって…、最恵に気い使わせてもうてごめんって」 俺の精一杯の男らしい気持ちを伝えたと思ったら 何か言いたそうにじっと俺を見つめて そのまま最恵の瞳から涙がこぼれ落ちる #秘密のルームシェア忠義

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233 「…待ってや最恵、…何で泣いてるん…？」 ほんまに何で泣くん？ 俺、嫌がる事しかたな…？ 最恵にはずっと笑うて欲しくて いつもの可愛い笑顔が見たくて どうしたらいいかわからなくて「泣かんといてや…」って 小さい肩をそっと抱きしめる #秘密のルームシェア忠義

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234 しばらく俺の腕の中で身体を預けてた最恵が ゆっくり顔を上げて俺を見上げてる やっぱ可愛えな 守ってあげたくなるくらいや あかんわ、俺がもたへん こんな可愛いくて それで上目遣いなんて反則やな そう思ってると突然慌てて離れようとする #秘密のルームシェア忠義

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235 ここに居って欲しくて どこにも行って欲しくなくて 今度はぎゅっと抱きしめてしまう 「お願いや、行かんといて…っ、俺は最恵が側に居ってくれるだけで十分や…」 こんな俺の気持ちが… ほんの少しでもいい 届いてくれへんかなと思いながら… #秘密のルームシェア忠義

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236 そんな俺の想いとは違く 明らかに俺の腕の中で落ち着かなくなる最恵 もしかして俺って重いかな？ 男がこんなこと言うたらドン引きなんかな？ いい加減にしろよ、俺は 最恵の負担になってしまうわ 慌てて抱きしめてた身体の 腕の力を緩める #秘密のルームシェア忠義

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237 「あっ、ごめんなっ…、いきなりこんなん…忘れてや、」 じゃあ戸締まりしてあるからおやすみなって言うて 逃げるように急いで部屋に戻る俺 ……… ドアを閉めると 勢いよくベッドにダイブして 目を瞑って大きく溜息をつく #秘密のルームシェア忠義

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238 こんな自分が居るなんて 情けない男だったなんて 今まで知らなかった こんな俺じゃ最恵に嫌われてしまうわ ベッドに潜り込んでも 何度も何度も寝返りをうっても 寝付けない長い夜を過ごした #秘密のルームシェア忠義 pic.twitter.com/PLWRwJ1LZF

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239 ー次の日ー …… いつの間にかうとうとと寝てたみたいや 寝不足のせいか頭痛いわ 最恵は…？ そうか、もう起きたみたいやね リビングで物音が聞こえる 頭を掻きむしって 重い気持ちとだるさを振り払うように 急いで制服に着替える #秘密のルームシェア忠義

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240 下に降りると 最恵が朝ご飯の準備をしてて 目が合うと笑顔で挨拶してくる 『大倉くん、おはよ〜』 「おん、おはよっ…用意してくれたん？」 『うん！コーヒーも淹れようか？』 「あ…、うん、じゃあ頼むで」 『うん、待ってて』 #秘密のルームシェア忠義

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241 やっぱりなんかええなぁ…こういうの 最恵とこんな生活が毎日続いたら幸せやろうな あれ…？なんだか いつもより目が赤くないかな つい顔をじっと見つめてしまう 『…ん〜？どうしたの？』 「…最恵、昨日眠れなかったんやないの…？」 #秘密のルームシェア忠義

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242 え…、何で？って感じで 俺の言葉にきょとんとしてる そういえば 俺の部屋で一緒に寝てもいいかって 昨日は来なかったもんな 「昨日俺が先に寝てもうたから、怖くて眠れなかったん…？」 何を言ってるのって顔してから思い切り吹き出す最恵 #秘密のルームシェア忠義

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243 「…何がそんなに面白いん？」 『あはははは〜、ごめん…っ、だってっ、私っ、子供じゃないのに…っ、』 何やねん、心配したのに 怖かったならかわいそうやったなって… それなのにそんな笑うことないやろ！？ ちょっとムキになってしまう俺 #秘密のルームシェア忠義

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244 「ちゃうわ、最恵は子供やで！…雷がコワイ言うてるし、この間だって一人で眠れないって一緒に寝たやろ〜！？」 って… うわ、やばいわ ちょっと言い過ぎたかな？ ちらっと最恵を見ると 何も言い返さずに少しシュンとした顔になってる #秘密のルームシェア忠義

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245 あー、またやってもうた こんな事で最恵と気まずくなりたくなくて そんな顔見たくなくて慌てて謝る 「あ…、最恵っ、ごめんな…？こんな朝からケンカしたないねん…」 『私も笑い過ぎてごめんね、本当に色々と大倉くんのお陰で助かってるのに…、』 #秘密のルームシェア忠義

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246 良かった、喧嘩にならずに済んだわ こんな事で気まずい空気にしたないねん 『ほら、大倉くんの手当てが良かったからこの通りだよ』 傷口を得意げに見せてくる無邪気な笑顔 そんな顔も…可愛えな〜 ああ〜！もうあかんわ デレデレして重症やな俺 #秘密のルームシェア忠義

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247 膝はかなり擦りむいてたけど きれいに洗ってすぐ消毒したし 指の傷口もうくっつきはじめてる 「ほんまや、ずいぶんええな〜」 最恵がにこにこと笑ってくれてる それだけで俺も嬉しいわ 「じゃあついでに消毒しなおそうな、」 #秘密のルームシェア忠義

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248 手際よく消毒して、絆創膏を張り替える 「あ…、せや、こっちもな」 そう言って充血した目に目薬を点す 「これでよしっ！」 後は俺がやるわ〜って言って すぐにカレーとオレンジとコーヒーを出して 一緒に席について食べ始める #秘密のルームシェア忠義

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249 朝食を食べ終わって学校に行く準備をして 俺の支度が終わって そろそろかなって頃に呼んでみる 「最恵、早よお行くで〜」 遠くから小走りで俺に近づいてきて 玄関で一緒に靴を履く 「じゃあ、学校の見える角のところまで一緒に行こうや」 #秘密のルームシェア忠義

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250 やっぱり女の子やし… 学校で一緒に住んでるってバレたら嫌やろうから仕方ないかな 俺は別にええねんけどな〜 ほんまは俺の彼女やから近づかんといて〜って言いたいくらいや 玄関を出て鍵を閉めると そっと近づいて 俺の左手を握ってくる最恵 #秘密のルームシェア忠義

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251 うわ、急にどうしたん！？ なぁ最恵…？ これってどんな気持ちなのか どんな意味なのか聞きたいわ でも言ったら居なくなりそうで どこかに行ってしまいそうで… 小さくて柔らかい手をしっかり握り返し 学校に着くまで無言で歩いていく #秘密のルームシェア忠義