2017年4月1日

ラン・スルー・フィールド・ウィズ・ザ・ストライダー #2

ニンジャスレイヤー×ストライダー飛竜のクロスSS。エイプリルフールネタ。#2
0
おゆはり @SSoyuhari

「ラン・スルー・フィールド・ウィズ・ザ・ストライダー」#2

2017-04-01 19:59:27
おゆはり @SSoyuhari

「アータはね、そこがダメ!アータは。そこがダ!メ!」「でもあの人、すごく困ってそうに見えたから…」「だーから!そこがダ!メ!困ってそうに見える人皆が困ってるワケないのよ!」「それは……そうかも知れないけど…」「アーン!モー!」ドスン!彼はバイオバンブー製のカウンターを殴った。 1

2017-04-01 20:00:19
おゆはり @SSoyuhari

男……そう、7フィートを超すたくましいボンズ・ヘアの男である。男はエキサイトして、カウンター隣に座る少女にまくしたてた。「アータはね、気負いすぎ!若いのに余計な気使いすぎよ!あんなヨタモノの面倒までアータが見る必要無いの!」少女は少し困ったような顔で男のことを見ている。 2

2017-04-01 20:01:05
おゆはり @SSoyuhari

「でも、ザクロ=サンだってどんな人でも面倒見てあげて…」「アタシはそういう大人だからいいのよ!何よ、今はアータの話でしょッ!」ザクロと呼ばれたボンズヘアー男は、その厳つい顔をズイッと少女に近づけた。「若いうちにヘタな気の回し方知ると、後で後悔するわよ」 3

2017-04-01 20:01:56
おゆはり @SSoyuhari

「へ、ヘタな気?」「そうっ!アータまだ若いから分かんないでしょう。皆が皆イイ人じゃないの。善意を逆手に取るようなヤツもいるのよ」ザクロはタバコに火を点け、配管をむき出しにした天井に煙を吐き出した。「面倒見る役は大人のアタシに任せて、アータは子供らしくワガママになりなさいな」 4

2017-04-01 20:02:38
おゆはり @SSoyuhari

少女はしばらく目をパチパチさせていたが、ふと時計を見て慌てて席を立った。そろそろ日が昇りきる時間だ。バー「絵馴染」の開店準備はまだである。「仕込みをしないと」「ンモー!言ったばかりでしょ!舌が乾く前の、とにかくアレよ!話聞きなさい!」ザクロは少女に、今日の休暇を命じた。 5

2017-04-01 20:03:35
おゆはり @SSoyuhari

大繁華街ネオカブキチョの一角、ニチョーム・ストリート。ゲイバー、オスモウサウナといった特殊な飲み屋や風俗店が軒を連ねる歓楽街だ。街頭のモニタには扇情的なビデオが流れ続け、通行人の欲情を刺激する。通りを歩くのは、ゲイマイコやサイバーボーイ、レズビアンオイランパンクスや観光客。 7

2017-04-01 20:05:42
おゆはり @SSoyuhari

抑圧的なマッポーの世において、セクシャルマイノリティへの偏見の目は実際冷たい。だが故に自由を、日々の暮らしの癒しを求め、抑圧された人々が自然と集まる。言わばこの街は、アウトサイダーのヘイブン(避難所)だ。マイノリティが集まるこのニチョームで、他人の性嗜好を咎める者はいない。 8

2017-04-01 20:06:57
おゆはり @SSoyuhari

ザクロの経営するゲイバー「絵馴染」のドアが開き、少女が外に出てきた。バッグを肩に掛け、左手には細長い布袋を持ち、その胸は平坦だった。向かいのゲイマイコポルノショップ「真剣味」の若いゲイマイコが彼女にアイサツする。少女もアイサツを返すと、ゆっくりと大通りに向かって歩き出した。 9

2017-04-01 20:07:35
おゆはり @SSoyuhari

ハードレズビアン・ゴシックポルノショップ「フラ・ダ・リ」の前だ。「あー、ヤモト=サンじゃなーい!」「ヤモト=サン、コンニチハ!」双子の人気ユーレイゴス、オブツダンとセンコウが少女に声をかけた。「コンニチハ。お仕事の準備中?」少女は顔を上げ、穏やかな笑みを返した。 10

2017-04-01 20:08:22
おゆはり @SSoyuhari

「そうよ。ヤモト=サンもいつでも遊びに来てね。三人一緒にセプク・ショーしましょ」センコウがけらけらと笑うと、妹のオブツダンがそれをたしなめた。「ダメよー、この子を困らせちゃー」姉は気にも留めず、手に持ったワインを煽っている。「カワイイのに誘わないと、シツレイだし」 11

2017-04-01 20:09:18
おゆはり @SSoyuhari

このような事はチャメシ・インシデントだ。だが心配は無い。この街の住人は、自分達の趣味を他者に無理強いすることはないからだ。ヤモトと呼ばれた少女は、手を振る二人に丁寧にオジギをし、その場を後にした。オスモウサウナ風呂「キマリテ」を過ぎ、大通りに出る。目的地は特に決めていない。 12

2017-04-01 20:10:15
おゆはり @SSoyuhari

ヤモト・コキはこの街が好きだった。無論、彼女自身は特殊性癖を持つ訳ではない。だが、マイノリティを差別せず、全ての者を許容する優しさがこの街にはある。それに、ヤクザ等による搾取を防ぐために違法薬物は一掃されているのだ。実際ネオサイタマには珍しいレベルの奥ゆかしい街でもあった。 13

2017-04-01 20:11:47
おゆはり @SSoyuhari

(((迷惑?そういう考え方がダメなのよ!もっと自分が楽しみなさい!)))ザクロの小言がニューロンに木霊する。「自分が楽しむ、か…」ザクロの言いたい事は分からないでもない。でも、行き場のない自分を匿ってくれた者に負い目を感じるなというのも無理な話だ。14

2017-04-01 20:12:31
おゆはり @SSoyuhari

「絵馴染」の主人ザクロは、ネオサイタマ市民らしからぬ義侠心溢れる男だ。ワケありの人間は放っておけない性分の持ち主であり、知恵者でもある。自治会の役員として、ソウカイヤ等の危険な組織とも上手く渡り合ってきた。このマッポーの世、ニチョームが自治を保っているのは彼の尽力が大きい。 15

2017-04-01 20:13:50
おゆはり @SSoyuhari

簡易宿泊施設を転々としていたヤモトを、自らのバーに迎え入れたのもザクロだ。従業員用の八畳間を与え、行くあてができるまで無期限で滞在することを許したのだ。「良くしてもらいっぱなしって訳にはいかないよ」「そりゃそうよ!アータの食い扶持は探さなきゃだわ、働くにせよ勉強するにせよ」 16

2017-04-01 20:15:08
おゆはり @SSoyuhari

「でもダメよ夜のお仕事は……だーから今は違うの!違う話!」ザクロはヤモトの胸倉を引っ掴んだ。ヤモトの背筋がピンと伸びる。「アータはね、若くてカワイイなんだから、こんな服着てちゃダメよ!もっとこう、シュッとした格好なさい!男共がハッと振り向くような!」 17

2017-04-01 20:15:49
おゆはり @SSoyuhari

「……」気づくとヤモトはニチョームを遠く離れ、アマザケ・ストリートにいた。見上げれば、ビルとビルの間には無数の電線やケーブルが張り巡らされている。縦横に空を覆うことで、少々の重金属酸性雨をも防ぐのだ。枝葉の天蓋めいたそのアーケードの下は、若者向けの商業施設が猥雑に立ち並ぶ。 18

2017-04-01 20:17:11
おゆはり @SSoyuhari

日は少し傾きかけていた。ライトサイバーゴス系ブランド「電動」のショウウィンドウの前で、ふと足が止まる。若者向けの洒落た衣装を着るマネキンと、ガラスに映る飾り気のない自分を見比べる。ザクロの小言がニューロンに蘇る。そして目に入るのは、店内で楽しそうに談笑する若者達……。 19

2017-04-01 20:19:18
おゆはり @SSoyuhari

「うむ……終わったら合図をする。ではな」女は話を終えると、後ろを振り返った。とあるビルの屋上、貯水タンクの影に隠しきれない大きな黒い塊がそこにはある。 21

2017-04-01 20:20:16
おゆはり @SSoyuhari

「待たせたな、大兄。出番だ」女は邪悪な笑みを浮かべた。偉大なる計画を完遂させるための、数あるプランのうちの一つを実行に移す時である。「……」沈黙は、黒い塊の肯定の意を示す。そもそも、彼にはそれを拒否する術が無かった。 22

2017-04-01 20:21:24
おゆはり @SSoyuhari

女はその豊満な胸元のポケットから、一本の無針アンプルを取り出した。その中は、白い気泡めいた何かが入り混じった黄色い液体で満たされている。「……」「そんな顔をするな。全てはあのお方の復活のため……期待しているぞ」それが、黒い塊が聞いた最後の言葉となった。 23

2017-04-01 20:22:15
残りを読む(96)

コメント

コメントがまだありません。感想を最初に伝えてみませんか?