- karitoshi2011
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「東日本大震災」の「復興」政策の一環としての「防災政策」がなぜ、 巨大な防潮堤建設や、大規模かさ上げ工事のオンパレードになり、 「全国土建業ばら撒き選手権」のような予算の使い方になったのか? それは、社会学者の間では既に常識としての答えが共有されている、と思っていたのだが。
2017-04-02 01:26:54『「復興」が奪う地域の未来』(山下祐介 著 岩波書店 2017年)を読み進めて、後半の第Ⅲ部第7章を読んで、いつの間にか専門の社会学者が、「復興」予算の使い方の決定方法を忘れているのではないか、と心配になってきたので、確認しておく。
2017-04-02 01:32:53311前の2009年。 日本国民の多数は、バブル崩壊後の不景気から回復する見込みがない自民党政府に絶望していた。 年金会計の不正、不明朗な予算処理に嫌気がさしていた日本国民の多くは「年金会計を究明し、不明朗な会計処理をやめれば良い」との民主党の主張に期待して、民主党に政権を託した
2017-04-02 01:39:28しかし政権を握った民主党は頭を抱えることになる。 年金会計は、全国民に広げる過程で、膨大で複雑になりすぎ、正確さを喪失して、数年間では是正できず財源にできないものであることが分かった。 他の予算関係に関しては、各省庁の官僚が自民党政権時代の習慣を守り、情報を政治家に見せなかった。
2017-04-02 01:45:55その中で、民主党政権はできることを行おうとした。 「コンクリートから人へ」をスローガンにし、土建業への支出を削減し、直接人間へのサービスに回す予算を増額した。 当然、自民党政権時代のシェアに応じた予算配分を当てにして経営計画を立ててた土建関係企業は、窮地に陥った。
2017-04-02 01:49:27それに加えて、自民党政権時代に築いたマスコミへの「影響力」を総動員して、民主党の政策へのネガティブキャンペーンが展開され続けた。 当時は、2017年のように「あのコメンテーターは自民党のあの政治家の代弁者だ」というような見方をする国民は少なく、メディアのキャンペーンは成功した。
2017-04-02 01:52:53そこで起きたのが、東日本大震災だった。 「復興」の為には、ライフラインの復旧と、防災の為の土木工事が必要なことは明らかだった。そこで民主党政権は、官僚に命じて「復興」の為の財政出動を行った。官僚は、政権の命に応じる形で、嬉々としてばら撒きに入っていった。
2017-04-02 01:57:19民主党政権が意図した「復興」の為の土木工事は、東日本大震災による被害からの復旧を中心にした、必要なものに限定したものだったのかもしれない。 しかし、実際に予算を決める官僚は、民主党政権以来、干上がる寸前だった全国の土建業者に仕事をばら撒き、それよりも手厚く被災地に予算を配分した。
2017-04-02 02:01:40結果として、東日本大震災の津波被災地域には、地元住民の希望を丁寧に聞くことなく、巨大な工事計画が立案され、着工され始めた。その巨大工事によって、土建業者は民主党政権成立以来の不足分を補うようになった。 それが、宮城県や岩手県の巨大な防潮堤と、大規模かさ上げ工事になったのだ。
2017-04-02 02:10:01まとめる。 東日本大震災による津波被害が深刻だった地域について、 「復興」の為の工事計画と称するものは、最初から「住民の意図を重視する」とか、「これからの地域振興を考える」とか、そういう要素を無視して決めるものとして走り出してきたのだ。 そうなったのは戦後日本の「習慣」の踏襲だ。
2017-04-02 02:15:57そして、最も重要なことを付け加える。 戦後日本の「習慣」の踏襲を認めてきたのは、 それぞれの災害の「復興」で起きた問題を放置して、 例えば昭和22年制定の「災害救助法」の不備を改正させなかった、 我々有権者、つまり成人国民の責任だ。
2017-04-02 08:28:01