【悪堕ちシナリオ】シリンダー内のヒロイン
【シリンダー内のヒロイン】 「彼女を解放しろ!」 主人公の正義感に満ちた怒りの声が、地下実験施設に響き渡る。彼と対峙する、白衣に眼鏡を掛けた研究者は、にやりと笑みを浮かべて返答した。 「解放する、ね。君はまだ彼女の素晴らしさを理解していない。彼女は、我々を導く新たな存在なのだよ」
2017-03-27 16:53:33彼女は、液体に満たされた円筒状のガラスシリンダー装置の中にほぼ直立する形で、裸の状態で拘束されており、頭部を中心に、様々な色、形のケーブルに全身を緩やかに拘束される形で、目を閉じ静かに佇んでいた。 主人公は、彼女のあられもない姿を見て赤面するも、視線を逸らさずに構えていた。
2017-03-27 16:58:12「さぁ、その力を存分に我々のために振るってくれ!」 研究者はそう叫ぶと装置を解放するスイッチを押した。 シリンダー内の液体が徐々に解放され、彼女を拘束するケーブルは収納され、シリンダーが蓋を開けた。 その場にうずくまっていたヒロインは、少しの時間の後、顔を上げて立ち上がった。
2017-03-27 17:04:43「くっくっく、お前の力を奴に見せてやれ」 研究者はヒロイン元へ歩み寄り、全身を眺めて言った。 それまで意識が固まってなかった彼女は、その言葉に反応するかのように目を開けた。 「……分かったわ」 その瞬間、彼女の手刀が研究者の腹部を貫いた。 「な……ぜ……洗脳は完璧のはず……」
2017-03-27 17:08:21「洗脳? あなたがこの私を洗脳できたと? 私を覚醒させた時点で、あらゆる拘束から解き放たれた新しい存在になったことに気付かなかったのかしら」 その場に絶命した研究者の白衣を剥ぎ取り、全裸だった彼女は、申し訳程度に白衣を着用した。 「あなたもいつまでそこに突っ立っているつもり?」
2017-03-27 17:12:27彼女は主人公の方を振り向き、まるで家畜を見るような冷たい目で彼を見つめた。 「ふふ、でも、私を覚醒させてくれたこいつには感謝してるの。私の力をあなたに見せてやれ、だっけ。その命令は実行してあげてもいいわ」 彼女は冷たい微笑を浮かべながら、右手をゆっくり彼の方に伸ばして掌を広げた。
2017-03-27 17:17:44彼女は広げた右手を、ギュッと握りしめた。 次の瞬間、空間が圧縮され、彼の身体が拘束されたまま空中に浮かび上がった。 「どうしてお前が……」 「どうして? あなたも下らないことを聞くのね。私は生まれ変わったのよ。生まれ変わる前の弱い私も、それに関わる全ても、もう私には要らないのよ」
2017-03-27 17:21:48彼女は彼の身体を、彼の首ごとギリギリと締め上げ、意識が朦朧としてきたところで解放した。 その場に崩れ落ち、息も絶え絶えになって立ち上がることができない主人公。 彼女は、そんな彼の元にゆっくりと歩み寄った。 彼の側に優しく跪き、そのまま彼の顎に手を当てて、顔を彼女の方へ向かせた。
2017-03-27 17:36:30「でも、1つだけ信じて。私があなたのことを想っていた気持ちは本物よ? だから、私が思う、最大の礼儀でもってあなたの魂を送ってあげる」 彼の耳元で囁いた直後、嬌声を挙げ始めた。 途端に白衣を突き破って背中から巨大な翼が生え、頭部からは角が、臀部からは長く靭やかな尻尾が生えてきた。
2017-03-27 17:40:44「サキュバス、あなたも知っているでしょう。男性の精を貪る魔物。正確には私はサキュバス自身じゃないけど、それと等しい力を手に入れたの。これまで弱い私に尽くしてくれてありがとね、それだけは感謝しているけど、もう要らない。あなたはここで私に命を吸われて、その快楽の中で果てさせてあげる」
2017-03-27 17:46:47異形の姿となった彼女は、その両手で彼の両頬を包み込み、彼の唇に濃厚な口付けを交わした。 「んはぁ……これはね、おまじないよ。これから起こるすべての事に対してあなたに気持ちよくなってもらうための、ね」 その口付けによって意識が覚醒したのか、主人公が口を開けた。 「俺はまだ……」
2017-03-27 17:59:19「あら?」 「俺はまだ、お前を救うのを諦めていないからな……」 「ふぅん、まだ私を救うとか考えているんだ。へぇ、ふぅん、あー、なるほど、もしかして……」 彼女は彼の懐に手を入れて弄った。 「自分の命を賭けて私を救いに来たわけね、自分が絶命したと同時に起動する、この爆弾が保険」
2017-03-27 18:04:21「こんなものが、私の吸精によって果てた瞬間に爆発したら興冷めじゃないの」 彼女は彼の懐から小型の爆弾を取り出し、それをそのまま力を掛けて握りつぶした。 爆発する……と思った瞬間、爆発も爆風も、彼女の片手を中心に圧縮された空間の中に閉じ込められ、そのまま粉々に砕け散った。
2017-03-27 18:06:57「残念ね、不意を突かれなければこういう風に私の能力で爆弾すら無力化できるのよ」 勝ち誇ったような笑みで彼を見下すヒロイン。 「切り札すら失って、いよいよ絶望したって顔じゃない。いいわ、あなたの全ての感情が、絶望すらも私の糧になるのだから。それじゃあ、いただきます」 ―完―
2017-03-27 18:14:31