丸山天寿先生の「卒業式の回想」

丸山天寿 @tenjumaruyama

【回想】ー卒業式のシーズンになると学生時代を思い出す。我が母校は倫理的に出来の悪い学校、早い話が不良校。何しろ、この私が風紀委員長をしていた。卒業式の日に急に病気になる教師がたくさんいた。体育教師などは学校に来ると間違いなくボコボコにされる。それを楽しみにしていた生徒がいたのだ→

丸山天寿 @tenjumaruyama

【回想】ー卒業式に出席する体育教師はある意味で、尊敬の目で見られていた。拙の卒業式の日、最も人気(？)のあったごつい体育教師が出席し、悪ガキどもは尊敬と感謝の目を彼に向けた。戦いがいのある相手だ。私を含めた悪ガキどもは式の終わりを待った。ところが、その日の式は例年とは違った→

丸山天寿 @tenjumaruyama

【回想】ー送辞と答辞が始まった。答辞を読んだのは、生徒会長のT嬢。当時は珍しい女性の生徒会長。彼女の答辞が凄かった。学校と教師に対する感謝をせつせつと涙を流しながら読んだ。悪ガキどもはその内容に聞きほれ、貰い泣きする者も出た。講堂は静まりかえり、彼女の涙が紙に零れる音が聞えた→

丸山天寿 @tenjumaruyama

【回想】ー彼女の涙の答辞が終わると、講堂全体に拍手が巻き起こり、結局悪ガキどもは暴れる事なく、式は無事に終了した。荒れる筈だった式を、大人しいT嬢が救ったのだ。世の中の争いを防ぐのは、何時でも女性だ。その後、彼女は上京したと聞く。永い間会っていないが、時が彼女を美しくする。