『社会運動と若者 日常と出来事を往還する政治』富永京子(ナカニシヤ出版)についてのつぶやき

省略
5
家賃下げろデモ @housing_demo

久しぶりに全然運動に関係ないこと書きます。(今日は朝から晩まで運動のミーティングがあって、早く寝たら早く起きてしまいました。寝れなくて書いてるだけですので、読んでも特になりません。長いです。)『社会運動と若者』、早く誰か書評を書いてくれよという思いを抱きつつ、私は私で思うところが

2017-04-10 02:15:18
家賃下げろデモ @housing_demo

あるわけです。ただ、研究書ですし、社会運動について書かれていますから、みんな色々言いたいだろうと思われます。ただ、面倒なので、Twitter上で議論をするつもりはありません。(いつもはしませんが、無責任とののしられようとも、他の方から怒られたら消すかもしれません。)という前置き。

2017-04-10 02:17:04
家賃下げろデモ @housing_demo

おそらく筆者ご自身が気づかれているかもしれないのですが、この本の副題「日常と出来事を往還する政治」は、研究書としてはその通りであっても、(ご自身の)実存としては違うのではないか。先んじて語を結べば、この本は、『社会運動と若者』ではなくて、『若者×組織として見る社会運動』なのでは。

2017-04-10 02:19:22
家賃下げろデモ @housing_demo

いくつかの要因から、私はこれを、筆者による社会運動理解のみならず、筆者による社会そのものの存立のあり方の理解だと、捉えています。第一に、研究者が書く論文は、それが論文にかかれないことがほとんどなのですが、「自分とは何か」「自分の抱えている思いを言葉にすると何か」だと思っています。

2017-04-10 02:20:59
家賃下げろデモ @housing_demo

今日読み終えた、森山至貴『LGBTを読みとく』では、あとがきにて、「あとがきから本を読む」ということが書かれています。私も、立ち読みするときは、あとがきから読みます。また、新雅史『商店街はなぜ滅びるのか』のあとがきでも、新さんのご実家が酒屋からコンビニへと変わった話が出てきます。

2017-04-10 02:24:23
家賃下げろデモ @housing_demo

これは単なるエピソードではなく、文章を書く人間が、文章に実存を投影させている/文章に自分自身が出ざるをえないということの象徴なのではないか、と思われるわけです。新さんは商店街について考えることが自分について考えることであると思っているし、森山さんは書いている内容が分かるように

2017-04-10 02:26:49
家賃下げろデモ @housing_demo

あとがきを読む、なぜならば文章と人格は切り離せないから、というわけです。そして、『社会運動と若者』の場合も、これがかなりの程度、あてはまるのではないか、というのが、実はこの本を理解する上で、かなりエッセンシャルなように思われるわけです。

2017-04-10 02:28:18
家賃下げろデモ @housing_demo

本題に一回入ったのに、小休止。おそらく次に書くことは、「分かる人には分かるけど、分からない人には分からない記述」になるのではないかと思います。それというのも、「運動をしたことがない人は、運動のこと分からないよね」と(運動参加者同士の会話でときどき出てくる)いう問いの受け止め方

2017-04-10 02:30:36
家賃下げろデモ @housing_demo

が、「それは運動参加者の傲慢だよ」となるか、「運動に参加したことがなくても、その人なりに運動の理解の仕方があるんじゃない?」となるかで、おそらく本書の読み方が、かなりの程度変わってくるように思うからです。そして、ここが、3つ目のtweetに帰結すると考えています。

2017-04-10 02:31:51
家賃下げろデモ @housing_demo

つまり、筆者は、本題にあるように社会運動と若者の関係を見ようとしているだけでなくて、社会運動を組織と若者という二軸から見ようとしており、同時にそれは、筆者から見た、社会の存立メカニズムの一形態だと理解しているのではないか、ということです。

2017-04-10 02:33:59
家賃下げろデモ @housing_demo

この本で強調される一つの点は、社会運動に参加する若者が、世代の上下(高齢者―若者がその典型)と「ダサい運動」―「かっこいい運動」という認識図式を有しているということにあると思います。そしてそれは、おそらくは同時に、流動化社会における世代間対立のみならず、組織をめぐる認識なのでは。

2017-04-10 02:36:48
家賃下げろデモ @housing_demo

細かくはぜひ本文を、という他はないのですが、エキタスのデモにおける旗の扱いをめぐる記述が、象徴的なのかなと思います。エキタスが、これまでのデモで旗を掲げることを認めなかったのは、一方で、デモに参加する人のデモ参加へのハードルを下げるためです。他方、私にとりこちらの方が重要に思われ

2017-04-10 02:38:19
家賃下げろデモ @housing_demo

るのに書かれていないこと(少なくとも強調されていないこと)は、労働組合に対してのメッセージだ、ということです。(だから、4月15日のデモに際して、「旗を掲げよ」というメッセージが、私にとってはきわめて重要な意味を持つように思われるわけです。)これは、運動における認識図式が様々に

2017-04-10 02:39:38
家賃下げろデモ @housing_demo

ありうる中で、またそこに正統性が本質的には存在しない点において、「若者―非若者」×「組織―非組織」あるいは「組織への従順―抵抗」という点から社会運動を見ていることの証左ではないのか、と思われるわけです。つまり若者は、非若者による運動を毛嫌いするだけでなく、組織化された運動にも

2017-04-10 02:41:52
家賃下げろデモ @housing_demo

一定の距離感を抱いている。しかし、①流動化する社会においては、社会の組織化の形態そのものも流動化するため、アイデンティティの確保が困難になる。②そうであるがゆえに運動も一つのアイデンティティになる(おそらくはこれが社会運動のサブカルチャー化)。③しかし、「既存の」運動には

2017-04-10 02:42:59
家賃下げろデモ @housing_demo

違和感を抱く。既存の運動への違和感は、一つには世代、一つには(運動)組織として、ダウンサイズされる。ここにおいて、例えばSEALDsのメンバーが言う「SEALDsは組織じゃない」という当事者カテゴリーをもって、「SEALDsがそう言っているんだから、SEALDsは組織じゃない」

2017-04-10 02:46:32
家賃下げろデモ @housing_demo

という観察者カテゴリーをあてはめることは、私は間違っていると思います。しかしその当事者カテゴリー(非組織としての運動体)と観察者カテゴリー(組織としての運動体)とのズレこそが重要であって、それは世代論以上に、本質的に運動論だと思います。というのは、運動はひとりでやっていないから。

2017-04-10 02:48:34
家賃下げろデモ @housing_demo

そして社会運動を観察することもまた、社会の観察の一つの形式だとするのであれば、このような世代×組織という認識枠組みは、どのように筆者のスタンスと関わるのか。そこで、あとがきが重要になるのだろうと思われるわけです。今回は珍しくあとがきから読まなかったのに、Twitterでこの本を

2017-04-10 02:50:16
家賃下げろデモ @housing_demo

検索したら、「あとがきを読んだ」というのを見てしまったわけです。そこでは、①「私がこの本を書こうと思った理由は、まだ自分がぎりぎり若いと思ったからだ」と書かれているばかりでなく、より本質的には、②「何となく理不尽に大人にさせられた」と就職のことを書かれている。そして、この

2017-04-10 02:52:23
家賃下げろデモ @housing_demo

「させられた」という表現にこそ、筆者のある形での実存と、それを反映した社会の観察の図式が見て取れるのではないかと思います。一般論ではありますが、アカデミックポストもまた、一般の労働市場の傾向に漏れず、不安定化・劣化しているという指摘があります。具体的には書きませんが、まだ30代に

2017-04-10 02:53:49
家賃下げろデモ @housing_demo

もならない時点で大学にご奉職されるというのは、相当に優秀な研究者なのだろうと、私には思われるわけです。しかし、そのような輝かしいキャリアはむしろ、大人に「なることができた」のではなく、「何となく理不尽に」「させられた」という感覚を抱いている。これは、就職先の具体的な労働環境

2017-04-10 02:55:10
家賃下げろデモ @housing_demo

や待遇への不満をかこつものではなく、就職することで、ある形での自由(大学院生であれば、夜中に寝れないときに、好き勝手なことをtweetしても、大学から怒られることはない)を放棄せざるをえないこと、より抽象的には、ある組織との関係性から、個人の自由を拘束されること。

2017-04-10 02:56:25
家賃下げろデモ @housing_demo

稲葉剛さんがスピーチなどをするとき、「路上生活をされた方が」ではなくて、「路上生活をさせられている方が」というように表現されることがあります。する・されるではなく、「させられる」。ここに私は、権力のにおいを嗅ぎ取るわけです。自由の拘束によってそのようにせざるをえないという権力を。

2017-04-10 02:58:17
家賃下げろデモ @housing_demo

いわば本書は、「流動化した社会における、若者×組織という認識図式から見た社会の理解の一形態」というべきものだと思われるのですが、(おそらくは社会運動にアイデンティティを有してはいないであろう)筆者にとっては、「運動参加者から見る」運動論ではなくても、「社会の一員として見る」運動論

2017-04-10 02:59:54
家賃下げろデモ @housing_demo

であると同時に、社会運動を、社会運動そのものが政治構造や社会構造に与えた影響というよりは(社会運動のマクロ的理解)、参加者のライフコースやアイデンティティから読み解こうとする(社会運動のミクロ的理解)とうい意味で、きわめてすぐれた研究書であると思われるわけです。

2017-04-10 03:01:58