たゆさいオリジナル妄想 『テシナプス』第二話『ロードノル』その3

たゆさい @tayusai

たゆさいオリジナル妄想 『テシナプス』第二話『ロードノル』その3

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「まぁまぁそんな焦らないでよぉたまちゃん。それに今回の発見は特にたまちゃんにとってはかなりショックかもしれないんだからぁ。たまちゃんこそ今のうちに心の準備しといた方がいいかもよぉ」「は?」ライリの意味深な台詞におたま少し驚く。1

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「まあこんな所でいても目立つしな。話の続きは部屋でしよっか」すくよの言葉に従い3人は移動する。今回おたまとすくよはお忍びでここに来たのだ。公用車でなくレンタカーなのもそれが理由である。思わぬ所に敵がいる可能性がある。用心に越したことはない。2

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そしてライリの研究室。散らかった部屋の所々に怪しげな瓶やシャーレがあり、その中に穢れたデーヴァと化した人間の手や臓腑等のパーツが入っている。それらパーツからはケーブルが無数に生え、ライリ所有の研究用PCに繋がれている。3

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「すくよに頼まれてからねぇ、各地のデーヴァ死骸サンプルからエーテル情報を調べてみたのぉ。そしたらエーテルの構成比率がすごい見覚えのあるものだったんだぁ」ライリはPCのモニタに映るデーヴァから採取したエーテルに関するデータをすくよとおたまに見せながら言う。4

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「ああ、この間WMAのメイジ資料を寄越せって言ったのはそれを調べる為だったんか」すくよは合点した様子で腕組みする。「つまりWMA登録メイジに今回のテロリストがいると、そういう事だな！」おたまは愛弟子を狂わせた犯人の尻尾を掴んだ気になり興奮気味だ。5

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「でもねぇ……」ライリは唐突に真顔になりおたまの方を向いた。「解析の結果なんだけどぉ……どうもこのエーテル。たまちゃんのエーテルと98%一致したのよねぇ」「……は!?」おたま口をあんぐりと開け唖然としてしまった。6

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すくよはじぃっと隣のおたまに疑惑の目を向けた。「い、いや、いや、ままま待ってくれ！ これは間違いだ! 何かの陰謀だ！なんであたしが輪花にあんな事しなきゃならないんだよ！ おかしい、おかしいぞ！」おたまは冷や汗をかく! 7 pic.twitter.com/OE7ugzlve5

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「なあおたま。あたしは別にお前の事を疑ってるわけじゃないしお前の弟子の件は本当に残念だったと思ってる。けどなぁ」すくよは不気味なほど冷静におたまの肩をぽんと叩いた。「こりゃ素直に自首した方がいいぞ」「なんでッ！」おたまは半ばパニック状態だ。8

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「でもぉ、わたしとしてもこれをたまちゃんのものとするには証拠として不充分だと思うなぁ。実際にこの人たちが使った魔法の構造式はたまちゃんが使う魔法とは完全に別だったもん」「ほら! ライリもこう言ってる！」「別に魔法なんてて使う人で違いが出るもんだろ」すくよは未だ疑いの目だ。9

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「とにかくたまちゃんのエーテルが穢れとして植え付けられたという事は間違いないねぇ。たまちゃん。誰か身近の人で怪しい人はいなかったぁ?」ライリが質問する。「身近って言っても、そんなテロを起こすような奴と友達になった事なんて……ああ隣の反愛国党テロリストは別だよ」10

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おたまはすくよを指差して言った。「おいあたしの活動をテロと一緒にするなよ。文化弾圧労働賛美のゴミ野郎共を片っ端からぶっ殺してるだけだよ」少し不機嫌そうな顔をするすくよだがそれで何かを思い出したようにはっとし、おたまを見た。11

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「おい、そういえばお前に兄貴が昔クーデターを起こそうとしてなかったっけ？」「ああ、『ジャグラの変』でしょ」ジャグラの変、おたま等ルート族の国、「オルレシア」にて数年前に起きた大規模クーデターだ。12

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おたまの父親にしてオルレシアの王、大蛇「ヘルビラ」の穏健派路線に不満を抱いた、ヘルビラの第一子である王子「ジャグラ」を筆頭とした過激派グループによる大規模クーデターである。これ自体失敗に終わったが、ジャグラは逃走し現在も世界のどこかに潜伏し再起の機会を窺っていると噂だ。12

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「まさか兄貴が絡んでると？バカなっ。何故今になって」「じゃあなんでデーヴァからお前のエーテルが出るんだ？」「……」二人は黙りこむ。ピロリロリロリー！ 突然ライリの携帯端末が鳴り出した。「あ、ごめんねぇ、電話だ」ライリは電話に出る。13

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「はい、はい、へ? はあはあ、なるほど、分かりましたぁ」ライリは電話を切り、おたまとすくよに言った。「二人ともぉ、たった今ここの近くでデーヴァが出たって情報が入ったよぉ。どう、行ってみない？」14

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つづく