- Minagawa_Aoi
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体調が思わしくないので、休憩がてら黒澤明監督の「七人の侍」を観る。 昔某所にあった古美術商の親爺さん(故人)から聞かされていたのだが、実はこの作品に出てくる陶器、その親爺さんの店が監督からの依頼で集めた古丹波の名品揃いだという話だった。 …確かにエラい上物がさりげなく置いてある。
2017-04-20 07:57:22で、その親爺さん曰く、「ああ出てきたと思ったら三船敏郎氏が乱暴に扱って割れたり砕けたのを劇場の大画面で観て叫びそうになった」と。 一流の映画監督は、一流の作品を創るためには鬼になる人種だとよく判る話だが、確かにあれ程存在感のある逸品でないと、あそこまで締まった画面にはならない。
2017-04-20 08:01:40見る者が見たら息を吞むような古丹波の壺や酒器・食器を平然と、あるいは乱雑に扱い、時にたたき割ったりするのだから豪儀な話だが、下に挙げたシーン1つとっても、中央奥に置かれた壺の存在感や緊張感が尋常ではなく、やはり「本物が要った」のだろうと思う。 pic.twitter.com/LG755CcKfR
2017-04-20 08:13:42まぁ、黒澤監督は新築した木造天守閣1つを映画撮影のために燃やしてしまえる人だから、古丹波程度は大したことはないかも知れないが。
2017-04-20 08:25:57なお件の親爺さんに聞いた限りでは、「黒澤監督の映画撮影に使うから古丹波の器を用意して欲しい」とだけ言われ、黒澤監督の映画に出るならということで張り切ってかなりの上物を集めた由だった。それだけに、映画での必要あってのこととは言え、そういう扱いを受けたのは流石にショックだったそうな。
2017-04-20 08:31:56なお、念のためにお断りしておくが、ここまでの古丹波関係の話は今から四半世紀ほど前、件の親爺さんが健在の頃に聞いた話で、きちんと裏は取れていない。だが、作中に出てくる陶器が片っ端から某古陶館で拝んだことがあるのとそっくりなのを考えると、多分大きく外れてはいまい。
2017-04-20 08:37:06ともあれ、そんな逸話を聞かされていた作品なので「七人の侍」は以後何度見てもあそこの壺はウン百万、そこの酒器なら何十万とそんなろくでも無いことばかり考えてしまって、素直に楽しめなくなってしまったのであった。 人間、裏話を知らない方が楽しめることはままある。
2017-04-20 08:52:36