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「#12 「強化方針①」<フォビドゥンフォレスト4話「大規模作戦・発動!」>」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1104131
2017-04-25 01:20:52(前回までのあらすじ:俺は片桐。田舎町の風科に住む高1だ。北の森の妖怪共と戦う僚勇会の一員だ…幼馴染のラッタ…永友礼太と戦闘訓練をして休憩していた俺だが、そこへ会長…佐祐里先輩達が別の訓練室から出てきた。ちょうど良い、先輩達に聞きたかったことがあったんだ)
2017-04-25 23:27:10「で、ハル。誰に話なんだ?」 桐葉さんは顔だけをこっちに向けて聞いてきた。ベンチに寄りかかって両腕を上へ伸ばしている。 「あー…」 普通に考えたら、恵里に聞かれたくない話を恵里が戻ってくる前に聞いたほうが良いんだろうが…もっと気になるほうを先に聞いとくか。 「会長」 1
2017-04-25 23:31:14「私ですか。何でしょう」 佐祐里さんは俺に質問されることを予想していたのか意外そうな様子は無かった。 「あの、作戦のある来週の土曜日って…」 「瑠梨ちゃんの誕生日、ですね」 そう、この人は自分の誕生日は忘れても瑠梨のを忘れるわけがねぇんだ。笑顔が暗い。 2
2017-04-25 23:39:52「仕方なかったんです。大勢を動かせるのは土日くらいですし、天候的にも来週後半は冷え込むようですから…」 俯き気味に喋る佐祐里さんは自分に言い聞かせてるみてぇだ。ちなみに、わざわざ冷え込む時を狙って森に入るのは雪崩を警戒してのことだ。暖かい時のほうが雪が溶けやすくて危ねぇ。 3
2017-04-25 23:59:09「にしても…急過ぎません?」 月曜にバケグモ事件、水曜に姑獲蝶事件があってから準備したにしちゃあ、立案やシフト調整の手際が良過ぎるし、実行までの猶予も短過ぎる。 「元々、鳩寺くんの力を借りての敷設作戦自体は用意していたんですよ。雪解けを待ってはいられませんでしたからね」 4
2017-04-26 00:12:13昼間にも会議で説明されたが、レベル3と4での砦や櫓の再建は確かに急務だった。でも従来の方法じゃ、雪上で資材を運搬するのが大変だし、雪解けを待ってたんじゃ、5月の頭になる。風科の冬は長ぇんだ。冬は妖怪が少ないから焦らねぇでも良いって意見もあったんだが…そこへ今週の事件だ。 5
2017-04-26 00:19:47「実行時期の候補も、来月以降もを含めて何パターンか考えていたんですが…」 「今週の騒動を受けて早めた…いや、一番早いパターンにしたってことですか?」 佐祐里さんはようやく少し笑った。 「ええ、この機を逃すと、次は早くてもう半月後になりそうですからね」 6
2017-04-26 00:34:45兼業者も多い僚勇会で大規模に人を動かすには準備が要る。それに暖かくなっちまったら、この作戦の意味がねぇ。雪崩も起きやすくなるし、川も凍りにくくなる。第一、今の訳の分からねぇ事態が今後も続くんなら、調査の為にとっとと森の中に拠点が欲しい。それは分かってんだけどな…。 7
2017-04-26 00:44:56表情に出ちまってたのか、佐祐里さんは話題を変えた。 「瑠梨ちゃんには水曜のうちに…全部お話しました。勿論責められはしませんでしたが、流石に残念そうでしたね……」 佐祐里さんは天井を見つめながらフフフと自嘲気味に笑った。 「し、仕方無いでしょう。先輩…」 「フフしにそうです」 8
2017-04-26 00:55:52「あー…誕生日会ですけど、代わりに再来週のどっかでやります?」 まさか前倒しで金曜日までにって訳にもいかねぇだろう。作戦の準備をしなきゃならねぇ。何より瑠梨本人も砦のパーツの禊をしたりで忙しい筈だ 「ええ、取り敢えず埋め合わせの日だけでも来週中に決めましょう…」 9
2017-04-26 01:01:50先輩はそれでようやく一呼吸ついて微笑んだ。人命も関わる僚勇会の仕事が優先なのは仕方ねぇとは言え、瑠梨の誕生会の予定を自分で潰しちまった訳だから、相当参ってたんだろうな。 「それで、お話は他にもあるんですよね?」 「…はい。分かりますか」 「それはそうですよ」 10
2017-04-26 01:12:21「このお話だけなら恵里ちゃんに聞かれても良い筈ですよね。片桐くんは『そういう気』だけは回らないでしょうし、この為に恵里ちゃんに出てもらったわけじゃないんでしょう?」 何で軽くディスられたんだろうな…?なんだ『そういう気』って…?まあ良い。それより本命の質問を聞いちまおう。 11
2017-04-26 01:20:11「あの…これは藤宮先輩達にも聞きたいんすけど…」 「何だ」 「こんなことを言うと怒られそうですけど…」 「何だ?」 何つったら良いんだろうな…悩んでも仕方ねぇな、思い切ってそのまま聞くか。 「短期間で大幅に強くなるにはどうしたら良いですかね」 …空気が凍った様に感じた。 12
2017-04-26 01:25:40四人とも軽く目を見開いて黙っている。そりゃこんな虫のいいことを言ったら怒るか…。俺だって毎日鍛えてるし、こうして戦闘訓練もしてる。仲間の力も頼る時は頼る。それでも今週の事件の時みてぇに、どうしても俺個人の力が強くなきゃならねぇことだって有る筈だ。それも今すぐにだ。 13
2017-04-26 23:32:47「そうですね…強いて言えば戦法を変えるか…」 と佐祐里さんが口を開く。 「使う武器を変えるか…」 藤宮先輩が続く。。 「個人レベルの話じゃないならだけど仲間を増やすとか…」 幸川の兄ちゃん。 「修行の内容と量を見直すか…ってところだな」 桐葉さん。 14
2017-04-26 23:38:33「あれ?」 4人のアドバイスを聞いた俺は、多分ポカンとしてたと思う。 「どうしました?」 佐祐里さんが眉を動かす。 「てっきり怒られるかと…」 「何だハル、怒らせたかったのか?」 桐葉さんが腕を伸ばし、指先で俺の額を小突く。 「いて。いや、勿論違ぇけどさ…」 15
2017-04-26 23:44:41「別に楽したくて言ってんじゃねぇだろ?」 「そりゃさ」 佐祐里さんが立ち上がって指を一本顎の辺りに立てる。 「イレギュラーが立て続けに起こったせいで、今まで通りの地道な修行だけじゃ不安になった…ってことですよね」 「要約されちまうと…そうっすね」 16
2017-04-26 23:54:16「貴方の責任じゃないですよ…イレギュラーを無くすのは僚勇会全体の懸案ですし、月曜の件なら私の判断ミスでもあります」 「それこそ俺のミスでしょう」 被害者の救助を優先した結果、俺達はたった三人とクワガタ数匹で大群と戦うハメになったが、あれはそもそも俺が飛び出したせいだ。 17
2017-04-27 00:00:34「あれは、私のミスです」 佐祐里さんが近付いてくる。 「でも」 「私のミスなんです」 佐祐里さんが近付いてくる。 「う…」 「結果論になりますけどね、最初から普通の隊みたいに5人以上入れば、助けた女性の護衛役を引いても4人残せた訳ですから。出撃時のミスです」 18
2017-04-27 00:10:15「いや佐祐里お前、4人いようが何人いようが同じことだろ。人命救助で急いで行ったら想定外の数の敵がいたってことなんだから。月曜はたまたま精鋭が4・5人いりゃ対応できる数だったかも知れねぇけどよ、敵がもっといたら同じことじゃねぇか」 桐葉さんが指摘する。 19
2017-04-27 00:40:33「それは…」 先輩が言い淀む。 「ハルの話にもなるけどよ、その場その場で最善を尽くすしかねぇじゃねぇか。お前らは、まあ良くやったよ」 「そうそう。それで桐くんさ。まず前提としてどういう方向で強くなりたいのかな?」 幸川の兄ちゃんが話を戻した。どういう方向って言われてもな…。 20
2017-04-27 21:45:02