稲川淳二の『つぶやき怪談』(2017.04.26)

稲川淳二 @Junji_Inagawa

やわらかな新芽の黄緑色が目に優しいですね。 陽射しも明かるさを増してきました。 日毎に暖かくなってきて、風も薫ってます。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

もう春から初夏へといった感じですが、 １年を通してこの時季が一番爽やかで気持ちいいですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

みなさん、お変りありませんか？ 稲川淳二です。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

只今、海を見渡す茨城の工房に籠って、外へ出る事も無く、 ひたすら、ツアーの作業に取り組んでます。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

夜明けとともに水平線の真正面から昇ってくる朝日が、 硝子戸を通して室内と私を赤く染めると、新しい１日の始まりです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そして日が沈む頃には作業を終えて軽く一杯、 ＴＶも見ないし、時計も見ないし、 野鳥のさえずり、蛙の合唱、潮騒を聞いてます。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

とはいえ、やる事ばかりで時間が足りません。 弱ったなァ～～・・・

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そんな訳で、怖ーい噺で楽しんで下さい。 稲川淳二の「つぶやき怪談」、怖・楽しい時間を、共有しましょう。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

この話は制作スタッフの森脇さんという人が、 楽屋で時間を潰していた時に、私に話してくれたお話なんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

普段はひょうひょうとして、 人を笑わせたりおもしろい話をする森脇さんなんですが、 この日はやけにマジメな顔をして、私に話をしてくれたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

この森脇さんは東京の下町生まれです。 森脇さんがまだ小学校の１年生の時。 季節は夏、そろそろ夏休みが終わる頃でした。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

住んでいる場所の近くに、広い空き地があったんです。 夏草が４、５０センチも生い茂る、広場だったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その草が生い茂る広場に、 いつの間にかコンクリート製の下水管が置いてあったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

下水管の大きさは８０センチ、長さは３メートルほど。 それが、ふたつ、空き地に置いてあった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

もともと、その空き地は子供の遊び場だったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

あらたに下水管があったもんだから、 子供には絶好の遊び場になったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その中に入ったり、上に乗ってジャンケンしたり、 落としっこして遊んだんですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その日の夕方、いつものように森脇君が遊びに行ったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

すると、ふたつある下水管の中のひとつに、 カッちゃんという森脇君の友達がひとりでいたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その中に丸くなって、膝を抱えて座っている。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

森脇君は、 「あっ、カッちゃん来てたんだ」 そう言って自分も一緒に中に入ったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

下水管の中は狭いけど、 小さな子供ですから、簡単に入れて一緒に座れたんですね。 でも、なんとなくカッちゃんは元気がない。