「仲良くしようぜ」を振り返って（２）

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さて、続けよう。 ２０１３年３月１７日のヘイトデモの後、既に次のヘイトデモの予定は告知されていた。次回は３月３１日。この時は新大久保ヘイトデモと鶴橋ヘイトデモの東西同時開催とされていた。 pic.twitter.com/0pxRrM0E5x

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３／１７のカウンターを終えた翌日に、神原弁護士から《署名活動やろうよ》という提案があった。これは、まぁ３／１４に民団新宿支部にいった時の経緯を踏まえての事で、そこから署名活動開始に動き出した。この時の経緯は下記のようなカンジ。 pic.twitter.com/VbkQByVv1u

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この時の署名は３／２０に新大久保の路上で紙の署名用紙を使って集めるたのが最初。３／２２にネット署名を開始。署名用紙による街頭での署名活動が先行はしてたんですよね。そして、３／２６に第一次提出。これは有田議員も同席しての記者会見も開かれた。 pic.twitter.com/wAmnUJU4Ua

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また、弁護士１２名による人権救済申立と声明の公表というのも３／２９に行われた。 pic.twitter.com/E4nYAptdII

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これらは、いずれも３／３１のヘイトデモを《止めるため》に沢山の人が東奔西走して実現したもので、メディアでも結構拾われた。 結果的には、３／３１のヘイトデモは止めることはできなかったけれど、ここでまた、更にカウンター側の動員が一気に増大することになった。

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ヘイトデモの方はこんなカンジで、相変わらずのヘイトだらけ。 他方で、カウンターの方は、参加者の様々な工夫もり、実に多様な形態の《反対の意思表示》がなされることになった。たぶん、現在までの《あらゆるカウンター行動》の中でも、この日のカウンター行動が最も《多様》なんではないかと思う。 pic.twitter.com/GeriKKOmXG

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例えば、《仲良くしようぜ》と書かれた、トランプくらいのサイズのミニカードが該当で配布された。これは、名古屋方面の某研究者さんの善意で制作されたもので、結構好評だった。その後もお店で置いてもらえたりもしたくらい。

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また、《仲良くしましょう》と書かれた、Ａ４サイズくらいの簡易プラカードも該当で配布された。これは、ヘイトデモに対して《飛び入り》でカウンター行動に参加できる人が《仲良くしましょう》のメッセージを掲げられるように。

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山本夜羽音氏らの《知らせ隊》も活動がされていた。 ヘイトデモにあわせて沿道をあるきながら、あれがどういうデモなのかを説明する小さなチラシを道ゆく人に手渡して歩いていた。

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反原発系の人達による「ダンス隊」、「ドラム隊」もこの日は沿道から抗議を行った。ダンス隊は仮想して沿道でダンスしながらヘイトデモへの抗議をしていたし、ドラム隊は沿道からドラムを叩いて抗議の意思表示を行った。

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ヘイトデモ前に街宣車でＫ－ＰｏＰを大音量で流して盛り上げよう、という試みもなされた。 この街宣車にも《仲良くしようぜ》のプラカが貼られているんだけど、基本的に《陽気で街をアゲる》という方向のアクションだった。 pic.twitter.com/dSJDKMdLP8

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ヘイトデモコースの沿道にある大久保の淀橋教会は、ヘイトデモの通過にあわせ、沿道からゴスペルを歌う、という行動を行った。 勿論、淀橋教会さんは、カウンターとは全く無関係。彼らが彼らの意思で自律的になされていただけだったし、そういう行動があるのをカウンター側は誰も知らなかった。

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これ通称《ゴスペル隊》と呼ばれることになったが、本当に誰もしらない所で突然でてきたので、本当に多くのカウンター参加者を感動させた。 むちゃかっこいいでしょ、これ。 この《ゴスペルを歌ってヘイトに対抗する》なんていうカッコいいスタイルは、後にも先にもこれしか見たことがない。

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また、沿道の韓流百貨店に設置された大型の該当ビジョンから、著名人９人によるヘイトデモへの抗議のメッセージを流す、というアクションも実施された。あえて強調しておきたいのだけど、この時の著名人９名によるメッセージは、いずれも最後は《仲良くしようぜ》と呼びかけるシーンで統一されていた。 pic.twitter.com/BGhccaAy1E

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私も手伝ってくれた数名の方と共に、ヘイトデモの通過に合わせて沿道で署名活動を行った。やはりリアルにヘイトデモが通過していくのに合わせて《あれを止めるための署名を！》と呼びかけるのは効果的だったようで、署名ボード４台でやっていたけど、行列ができた。

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この日の沿道の一部。 《仲良くしようぜ風船》も、３／３１には配布されてもいた。 この日のカウンター参加者は４００とも６００とも言われている（正確なところは解らないが）。 この３／３１で、はじめてヘイトデモ側とカウンター側の数的優劣が《完全に入れ替わった》と言える。 pic.twitter.com/tPmwYDYDmJ

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デモに並走して《帰れコール》を浴びせつつ並走していったカウンター参加者達が、ヘイデモコースの終点にある柏木公園を《包囲》する、という行動も、この日はじめて行われた。その是非はさておき、この《柏木公園包囲》というアクションも、その後の《過激化の端緒》になった面は否定できないだろう。

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私なりにこの日のカウンターアクションの《種類》を整理してみたマトリックスを貼ってみます。 この３／３１のカウンター行動が、極めて多種多様なものだったことが解ると思う。 pic.twitter.com/8gQ2XMzRE0

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勿論、《しばき隊》も稼働しているし、罵声も飛び交ってはいた。しかし、基本的には《仲良くしようぜ》という平和的メッセージを基調としつつ《多様な表現》での《抗議活動》が展開されていた、というのが特徴じゃないかと思う。

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今の《カウンター》の有り様と比べてみても、全く違って見えるんじゃないだろうか。今のように罵声や攻撃的圧迫がメインだった訳ではない。そういうモノも内包している、《極めて多様な抗議》というのがこの頃のカウンターの特徴だと思う。全ての参加者の地道な《工夫》がここにはあった。

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また、誰も支配していない場所だったというのもある。今みたいに、ＣＲＡＣ、男組、のりこえねっと、といった《組織》がそもそもあまりなかったし、人的交流もそんなに密だった訳でもない。みんな勝手にやっていた。そういう、勝手にやってる人達による自然発生的な《多様性の力場》だったと思う。

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例えば、《ゴスペル隊》を出した淀橋教会さんは、カウンターとは全く無関係だった。ここに行ったカウンターの人間なんて、署名用紙もっていった私１人くらいじゃないだろうか（その時も、牧師さんが話は聞いてくれたけど「ウチは政治活動はできないんで」とやんわり断られてる。）。

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例えば、「知らせ隊」は動いていたけど、ここは野間氏とはむしろ仲が悪かった。知らせ隊の山本夜羽音氏とＡ氏は、実は一回しばき隊に入るんだけど、なんかソリが合わなかったらしく、野間氏から追い出されたりしてもいた（なぜ野間氏が彼らをパージしたのかは、未だによくわからない）。

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こうした事実からみても解ると思うのだけど、別にこの頃の《カウンター》は、しばき隊が支配していた訳でもなんでもなかった（はっきり言えば、悪目立ちしていたダケだった）。 よく誤解されるのだけど、しばき隊も、あくまで《カウンターの一部》であって《支配者》などではなかった。

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今から振り返ると、この日が新大久保闘争の《流れ》を決定付けた日だと私は思う。 ここで発揮された《多様性の力》こそが、その後の全ての《基盤》だったというべきだろうと、本気でそう考えている。