- dramawrite
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展開ということだから、つまり発展であり、前に進むということ。ひとつ前のシーンの状態が、変化し、新しい情報が頭の中に入るということを意識しなければならない。というと、当たり前というかなんとなくわかるけどやっぱりよく分からない。
2017-05-03 00:18:27そこで僕は、物語の文章を分解して観察してみることにした。小説やシナリオを単語単位で分解して研究をしたところ、一つの仮定を提示します。
2017-05-03 00:35:07感情情報とは、登場人物の感情を表した文章です。『鳥肌が立つ』『チッと舌打ちをする』『冷や汗をかく』といった登場人物の感情が現れる文章は、感情情報を含有しています。
2017-05-03 00:47:29行動情報は、登場人物の行動を表した文章です。『歩く』『手に取る』『逃げる』『戦う』といった登場人物の行動が表れる文章は行動情報を含有します。
2017-05-03 00:49:30最後に事実情報は、登場人物が干渉しない第三者による圧力や、説明の文章です。『風が吹く』『川が流れる』『星が瞬く』といった情景の説明や、ハプニングを表した文章は事実情報を含有します。
2017-05-03 00:52:18事実情報は、物語の登場人物が干渉しているかどうかで見分けることができるのですが、感情情報と行動情報は、登場人物の行動が、元となっているので区別ががつきづらくなっています。これらの区別の仕方は後述します。
2017-05-03 00:57:09感情、行動、事実という情報要素を踏まえ、『康太と香織が、夕焼けの海を背に愛を確かめ合い、歩き出す』というシチュエーションを構築してみます。
2017-05-03 01:13:51例えば、 『康太と香織は、お互いの顔を見合わせる。手をつなぎ、一緒に歩き出す』 という文章があったとします。この文章は、僕の仮定から考えると『心地の悪い文章』に該当します。『顔を見合わせる』『手をつなぎ』『歩き出す』という行動情報を含有した文章が連続しているからです。
2017-05-03 01:26:16同一の展開情報が連続して続くと、文章にメリハリが生まれず、物語が急展開or急減速を起こしてしまいます。また、『顔を見合わせる』と、『手をつなぎ』の文章の合間に情報の隙間が発生するため、読者が消化不良を起こしてしまいます。
2017-05-03 01:33:13『三種類の要素を"非連続"で繋いだ文章は、『読んでいて心地の良い文章』になるのではないか』という仮定を先述しました。そこで、『顔を見合わせる』『手を取る』という展開要素の合間に感情情報を挿入してみたいと思います。
2017-05-03 01:36:39『康太と香織は、お互いの顔を見合わせる。頬が紅に染まり、瞳が潤む。康太が香織の手を取ると、香織はニコりと笑った。二人は歩き出す』
2017-05-03 01:43:58『顔を見合わせる』という行動情報と『手を取る』という行動情報の間に『頬が紅に染まり、瞳が潤む』という感情情報を挿入することができました。その結果、『顔を見合わせる』という行動の結果どのような変化が生まれたのかということを別の側面から説明することができました。
2017-05-03 01:48:16『康太と香織は、お互いの顔を見合わせる。火照る頬と潤む瞳。春風にたゆたう紅のアネモネ。康太が香織の手を取ると、香織はニコりと笑った。夕焼けに燃える草原を背に、二人は歩き出す』
2017-05-03 01:50:28と、このように『春風にたゆたう紅のアネモネ』『夕焼けに燃える草原』という事実情報を加えることで、情景が一層広がったかと思います。同じ展開要素が連続すると、文章のリズムが変調しますが、それぞれの要素を順番に並べることによって、整ったリズムを持った文章を作ることができます。
2017-05-03 02:00:42今回はビート(やり取り)の内で感情情報、行動情報、事実情報を並べ替え、文章を構築しましたが、これは、物語の構成にも応用することができます。アクト(幕)、シークエンス、シーンにもそれぞれ伝えたい展開要素を決めることによって、物語の展開を逆算をすることができます。
2017-05-03 02:07:04要するに起承転結の、転の部分で、『実は魔王は父親だったのだ!デデン!』という衝撃の事実をばらす展開(事実情報)を構築したかったら、承と結の部分で、事実情報をメインで扱ってはいけないよということです。必ず前後は、登場人物の行動がメインの描写になるか感情の描写がメインになります。
2017-05-03 02:14:42最後に、感情情報と行動情報の見分け方についてですが、これは、「登場人物の目的に沿った行動であるかどうか」で考えてみると分かりやすいかと思います。
2017-05-03 02:18:32もしくは、身体変化(表情、生理現象)擬音(オノマトぺ)、比喩、隠喩を使った文章、色彩(ライトモチーフ)、五感を刺激する描写は感情情報として扱われます。
2017-05-03 02:22:57